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カゴメとNECの合弁会社、少量多頻度灌漑に対応したAI営農アドバイスと自動灌漑制御に対応したサービスを提供へ

NECの農業ICTプラットフォーム「CropScope」をベースとしたソリューション

 カゴメ株式会社と日本電気株式会社(以下、NEC)の合弁会社であるポルトガルDXAS Agricultural Technology LDA(以下、DXAS)は20日、NECの農業ICTプラットフォーム「CropScope」に、少量多頻度灌漑に対応したAI営農アドバイスと自動灌漑制御機能を加えたサービスの提案を、2022年11月より開始したと発表した。同社では2023年4月からの展開を目指している。

 少量多頻度灌漑とは、作物が必要とする量の水や肥料を多数回に分けて少しずつ与え、作物にとって最適な土壌水分量を保つ栽培手法のこと。この手法は、最適な土壌水分量を保ち消費する水の量を削減するものとして一般的に知られているというが、刻々と変化する最適な水分量を判断するのが難しいほか、広大かつ複数の圃場をもつ生産者にとっては管理が複雑で作業負荷が大きいことから、普及が進んでいないとのこと。

通常の灌漑の場合、水過剰ストレスあるいは水欠乏ストレスが植物にかかってしまうが、少量多頻度灌漑では水ストレスのない状態を維持できる

 そこでカゴメとNECでは2022年4月より、NECのCropScopeで提供されている、水や肥料のAI営農アドバイスを用いた少量多頻度灌漑の実証試験を、ポルトガルで実施してきたが、その結果、CropScopeを活用していない圃場と比較して、約15%少ない灌漑量で収穫量が約20%増えたという。

 今回は、この実証試験で得られた成果を踏まえて、少量多頻度に対応したAI営農アドバイスと、作業負荷の軽減につながる自動灌漑制御機能を加えたサービスを、DXASが主に欧州、米州、豪州の加工用トマト市場に普及させていくことで、さらなる営農支援を加速するとした。

 なお自動灌漑設備の導入によって、灌漑や施肥などのAI営農アドバイスを自動で制御可能となるため、煩雑で手間のかかる手動での作業が不要になるとのことだ。