ニュース
日本オラクル、部門横断の業務を自動化するAIエージェント最新動向を発表 Oracle AI Agent Studioで企業の意思決定と開発を加速
2026年8月3日 06:15
日本オラクル株式会社は7月30日、業務アプリケーションのAIエージェント活用に関する最新動向を紹介する説明会を開催。Oracle Fusion Agentic Applicationsの最新情報と、AIエージェント開発プラットフォームの最新アップデートが紹介された。
Oracle Fusion Cloud Applicationsは、2023年からAIを取り込み、「自律型企業(Autonomous Enterprise)」実現に向けた進化を続けてきた。「2026年はその発展形として、より広範囲の高度な業務プロセスを自動化するエージェント型アプリケーションの提供を始めている」(日本オラクル 理事 クラウド・アプリケーション事業統括 事業戦略推進本部兼AI実践エンジニアリング部 本部長の中山耕一郎氏)。
具体的なエージェント型アプリケーションとして、高度なAIエージェント・ユースケース、業務目標・目的に沿って自動遂行する型、複数業務領域を横断する型などを提供する。
デモとして紹介されたのは、主力製品の生産能力が十分でなく、現在の予定では顧客の需要を満たせないことが、「経営意思決定支援ワークスペース」上で業務上の問題点として表示されたケース。その結果、収益に悪影響が生じる可能性があるとのアラートが出ることになった。
このアラートに対処するため、AIエージェントが問題解決に必要となる生産・営業・財務・人事など各事業領域の論点を表示。その上で、優先度が高いアクションを提示する。
このケースでは、営業サイドで顧客の要求の詳細を確認することを推奨。AIエージェントは、段階的に製品を導入することを顧客に提案する。しかし、それでも需給ギャップが大きいことから別の施策を提案し、もともとあった生産管理領域における自動化計画を前倒しできないかの検討を指示している。
「何をやっているのかをあらためて説明すると、事業系の課題や日々起こる問題に対し、これまで人手で、指示型でトップダウンやボトムアップでそれぞれの部門が対応し、最適な案を見いだしていくという流れを、AIエージェントに肩代わりさせている。
部門間の調整については、人のコミュニケーションによって『こういった事象が発生したので、数カ月の時間軸で問題に対処していこう』というのが、これまでの一般的な常識になっており、数日・1週間といった時間軸が必要だったものを、AIエージェントが圧倒的に短縮するという成果を上げている。また、どのように意思決定したのかという透明性が上がるし、ブラックボックス化も避けることができる。企業の意思決定の質向上にもつながるのではないか」(中山本部長)。
「AIエージェントが担当部署が異なる複数業務課題にトータルで回答できるのは、Oracle Fusion Cloud Applicationsの特徴として、会計・財務、営業、購買、在庫・SCMといった異なる部門の業務であっても、単一のデータモデルで、業務データ、業務プロセスが同じ場所で動いていることが挙げられる。他社ERPは、業務ごとにシステム、データが分かれているので、大きな強みとなっている」(中山本部長)。
すでに22のエージェント型アプリケーションを提供済みだが、「在庫プランニング・コマンドセンター」、「生産準備ワークスペース」、「サプライヤー資格ワークスペース」、「カンバン管理ワークスペース」の4つの新しいOracle Fusion Agentic Applicationsが追加された。
さらに、業務アプリケーションとしてオラクル製品以外を利用している顧客など、多様なニーズに対応するために、さまざまなAI開発手段を用意している。AI環境として組込AIとカスタムAIをそれぞれ提供しているほか、オラクル以外の業務アプリケーションを利用しているケースにはOCI AIサービス経由で利用できる仕組みも提供する。
「Oracle AI Agent Studio」は、AIエージェント、エージェント型アプリケーションを、開発・構築・実行・連携・制御・テスト・監視するために、Fusionに統合された開発プラットフォーム。オラクルのアプリケーション部門も利用するAI開発プラットフォームとなっている。
また、安全にAIを利用するために、ガードレールとして、エージェントへのリクエストやそのレスポンスをチェックしたり、外部データサービスを利用する場合でも、AI側に利用者のデータを保持させない連携方法をとるなどの仕組みを作っている。
AIエージェント開発プラットフォームについては、日本オラクル クラウド・アプリケーション事業統括 事業戦略推進本部 AI実践エンジニアリング部 Fusion AI Evangelistの小野俊隆氏が、最新の動向を紹介した。
当初、生成AIは「答える」ことから始まったが、エージェント型AIは「仕事を進める」際のパートナーとなっている。ただし、AIによって開発と実装のスピードがアップした反面、企業統制と説明責任が伴うなど、相反する要素も生まれている。
こうした要素を踏まえ、「AI Agent Studio」は新たな開発者体験を提供する。「ビルダーエクスペリエンス for Fusion」は、ノーコードでは、Agentic App Builderに何をすべきか伝えることでアプリを構築する。プロコードは、AI Studio Skillを追加して、使い慣れたツールを活用しながらエージェントの制御を維持する。
課題となっているEnterpriseレベルでの統制と開発の民主化、AIファーストのBuilderエクスペリエンスを実現。アイデアからスタートし、AIフローの構築、自然言語での改善、テストを行ってリリースという一連の作業を迅速に遂行することができる。
プロコード開発においては、ビルダーエクスペリエンス for Fusion プロコードによって、自然言語ではあいまいになりやすい仕様を明示化し、管理可能な同じものが再現できる状態を維持する。自動テストによる変更の影響も管理していくことができる。
企業がAIエージェントを本番運用する際に検討すべき要素についても、ビジネス要件・プロダクト定義など16項目をカバー。そこへさらに、エージェント型AIに求められるポリシーモデルと決定論的制御、ポリシーロジックの分離、プロンプトインジェクション対策といった新たな要件にも対応した。
ポリシーモデルによる決定論的制御については、不変条件ルールを適用し、AI支援を活用してポリシーモデルを作成する。ポリシーテンプレートを使用した関連ポリシーを標準化するなど、ポリシーモデルと業務ルールに基づく決定論的な意思決定が可能となる。
ガバナンス、ガードレール、セキュリティといった多層防御については、信頼できない入力の検査や、敵対的プロンプトの遮断などを実現。AIのセキュリティ、安全性、コンプライアンスを多層防御で強化している。
そのほか、AIが正しく企業のシステムにアクセスする仕組みとして権限の継承、監査証跡のための透明性の確保、本番環境へのデプロイ前の検証としてテストとシミュレーションなどの機能を持っている。
「最後に、数字で示すAgentic Applicationsを紹介する。現在、認定をクリアしたエキスパートが8万5536人、すでに存在している。組み込みのエージェントは1000以上あり、お客さま自身がデプロイしたエージェントがすでに7000以上ある。あとは、これは内部の話になるが、細かい機能アップデートを隔週ペースで50ぐらいリリースしている。ポイントは、これらがすべて統合された環境にあり、これ1つで十分な環境を整えていることだ」(小野エバンジェリスト)。
なお、日本オラクルでは、AIによる業務変革を支援する専任組織「AI実践エンジニアリング部」がAI EXPERIENCEプログラムの提供、日本OATUGにおけるAIコミュニティの推進などを行っている。AI EXPERIENCEプログラムでは、共通認識となるInspireから、AIユースケースを進化させるIdeate、開発設計ノウハウとしてBuild、実行計画となるAlignまで実施していく。











