ニュース

NEC、能動的サイバー防御を見据えた人材育成を支援するセキュリティトレーニング「MITRE Engage in a Box」を提供

 日本電気株式会社(以下、NEC)と株式会社サイバーディフェンス研究所は7月30日、米MITREと提携し、同社が開発した「敵対者への能動的な関与」に関する知見を体系的に習得するためのトレーニングプログラム「MITRE Engage in a Box」を日本国内で提供開始した。同プログラムの提供は、民間企業としては世界初になるとしている。

 MITRE Engage in a Boxは、MITREが提唱する「MITRE Engage」の理論に基づき、「敵対者への能動的な関与」の基本的なノウハウや技術、知識を体系的に学ぶことを目的としている。プログラムでは、参加型の机上演習と安全な仮想環境での実践演習を通じて、敵対者の行動を阻害・遅延させる理論体系や高度な脅威インテリジェンスを獲得するための先進的な考え方に触れることができる。

 プログラムは、MITRE Engageフレームワークの核心となる「MITRE Engage Matrix」で定義される3つの戦略目標「Expose(把握)」「Affect(誘導)」「Elicit(引き出す)」をカバーしている。独自開発のカリキュラムにより、敵対者の行動をいかに把握し、心理的に誘導して意図を暴くかという実用的な戦略立案手法を学べる。

 また、MITRE Engageで定義されるさまざまなテクニックを、3つの視点で同時に体験・検証する。

 敵対者視点では、どのような情報に引かれるか、どこに罠があれば不自然と感じるかを実体験し、敵対者の心理を深く理解する。システム管理者視点では、敵対者の挙動を監視し、業務影響を最小限に抑えつつ、適切なタイミングで欺瞞(ぎまん)情報を提示するための判断力を養う。一般ユーザー視点では、能動的な関与を含む施策が、正規の業務フローや利便性にどのような影響を与えるかを確認し、現実的な運用バランスを学ぶ。

 さらに、MITRE Engage in a Boxのディセプションシナリオをベースに、仮想環境を独自に開発し、MITRE Engageの概念を学べる実践的な演習環境を提供する。防衛省をはじめとする大規模な官公庁の業務プロセスやシステム仕様に精通したNECが、受講者の業務内容や演習目的に合わせてトレーニングにおけるディセプションシナリオを監修・最適化している。また、敵対者の思考を熟知し多くの実戦経験を持つサイバーディフェンス研究所が、MITRE Engageの本質である「侵入してきた敵対者を欺き、欺瞞環境に誘導する」ための戦術や、実際の攻撃手法に即した実戦的な知見を演習環境に反映している。

 プログラムが扱うディセプション(欺瞞)技術は、単にツールを導入して敵対者を追い出す受動的な防御ではなく、おとり(デコイ)や偽情報を用いて敵対者を意図的に誘導し、その行動を観察・制御することで防御者が優位に立つための戦略的なフレームワークに基づいている。なお、MITRE Engageは、自組織が管理する環境を前提に、敵対者への能動的な関与を計画・検討するためのフレームワークであり、組織の境界を越えた活動を含むものではないという。

 MITRE Engage in a Boxの価格は、1人あたり120万円(税別)。NECは同プログラムを、主に国家サイバー統括室(NCO)、防衛省、警察庁などの政府機関や重要インフラ事業者に向けて、今後3年間で200人への提供を目指す。