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セールスフォース、10種の課題に対して解決策を提示するガイド「Salesforce 中小企業向け DXお悩み解決パック」を無償提供

Salesforce 中小企業向け DXお悩み解決パック

 株式会社セールスフォース・ジャパン(セールスフォース)は7日、中小企業向けの「Salesforce 中小企業向け DXお悩み解決パック」を発表。同日より提供を開始した。

 10個のキーワードをもとに、中小企業が抱える典型的な課題を提示し、それをもとに潜在的な課題を顕在化。解決に導くためのソリューションを提案し、取り組むべきアクションにつなげられるガイドとして無償提供するものになる。セールスフォース・ジャパンでは、これらの結果をもとに、課題解決のための製品やサービスを提案するという。

 セールスフォース・ジャパン 執行役員 コマーシャル営業第2営業本部の西田晶子本部長は、「厳しい環境下で、悩みに直面している中小企業のデジタル化を全面的に支援するためのツールになる。中小企業のあらゆる悩みを解決し、ビジネスシーンや事業フェーズにあわせた変革を支援することができる」とコメント。

 またセールスフォース・ジャパン 常務執行役員 コマーシャル営業統括本部の安田大佑統括本部長は、「デジタル化に向けて、何から始めるべきなのか、どんな方法があるのかといった質問が多い。セールスフォース・ジャパンは、デジタル変革によって、効果的に生産性を高め、売上拡大につなげ、顧客との強固な関係構築を支援することを目指しているが、ITツールを導入するだけでは成功しない。これまでの仕事の当たり前をアップデートし、変化を受け入れる価値観を持つことが大切であり、それが真のDXにつながる。こうした変革を推進する上での課題解決を実行できるのが、今回のパックである」と位置づけた。

セールスフォース・ジャパン 執行役員 コマーシャル営業統括本部第2営業本部の西田晶子本部長
セールスフォース・ジャパン 常務執行役員 コマーシャル営業統括本部の安田大佑統括本部長

 同社では、日本全国の中小企業のデジタル化を支援するなかで、頻出度の高いビジネス課題には一定レベルの共通項があることがわかったとしており、Salesforce中小企業向けDXお悩み解決パックでは、それらを10個の課題として取り上げた。その一方で、DXを推進するにあたって、自社の課題を正確に把握することの難しさや、何から着手をすべきかの優先順位づけができないといった障壁があることも指摘しており、同パックを通じて、そうした課題も解決できると考えている。

 Salesforce中小企業向けDXお悩み解決パックでは、「伸びる営業スキームの作り方」の観点から、「売上予測」、「営業育成」、「案件獲得」、「新規開拓」、「予実管理」の5つのテーマを設定。また、「自走する組織およびプロセスの作り方」の観点からは、「解約防止」、「組織力強化」、「会議改革」、「問い合わせ削減」、「ペーパーレス」の5つのテーマを用意し、あわせて10個のテーマから、これらの課題によって引き起こされる業務上の困難な事象を言語化して提示するという。

 具体的な解決策に加えて、解決後の業務イメージを知ることができ、テクノロジーやソリューションを自社に適用するための一歩を踏み出せる。また、すでにテクノロジーを活用している企業においても、同パックを通じて、競合企業との差別化やDXを活用した顧客接点の改革に向けたノウハウが習得でき、さらなる成長の実現や、組織の強靭化につなげられるとした。

10種類のラインアップを用意した

 セールスフォース・ジャパンの西田本部長は、「優秀な人材に頼る営業組織ではなく、成果につなげるために必要なピースを体系化し、再現性のある営業プロセスを実現する。また、ビジネスを拡大する上で必要となる強い組織の構築、プロセス整備を進めることができるだろう。社内業務が多く、お客さまに関わる時間が少なかったり、出社しないと仕事が進まない紙ベースの業務に追われていたりという状況に対しても、テクノロジーを活用した解決策を提案。個々の顧客に寄り添った支援を行う」とした。

 例えば、「売上予測」では、正確なデータがないために、意思決定が行えず、会議では商談の状況確認だけであったり、前週や前月からの商談の進捗が追えていない、次に取るべき最適なアクションがわからないといった課題に対して、Salesforceの売上予測ソリューションを活用して、商談の状況や変化を把握したり、AIが過去の実績をもとに商談成約確率を予測したり、次に取るべきアクションを示したりすることが可能になる。

 「営業育成」では、営業部門での人材ごとの能力差が大きかったり、人材育成にかける工数や人材が足りなかったりといった場合には、テクノロジーを活用することで学習の体系化や、最小限のリソースで人材育成を行える仕組みを構築できるという。

 新入社員向けには、CRMやコミュニケーションツールの活用方法などのコンテンツを用意することで、リモート環境であるために、先輩社員に聞きにくいといった課題も解決できる。また、Salesforce上に蓄積された営業情報を活用することで、営業成績と学習状況の相関をもとに支援や新たなトレーニングを展開。トレーニングを行っているのに営業成績が上がっていない社員に対しては、現場で力が発揮できるようなサポートを強化するといった取り組みが行えるようになる。

 「組織力強化」では、さまざまな場所での勤務が増加することで情報共有に課題が生まれたり、似たような内容の会議が何度も実施されたり、プロジェクトの進捗状況が確認できなかったりといった課題に対して、Slackを活用してコミュニケーションを強化し、音声や画像などをシームレスに利用できる提案を行うほか、Quipを利用して、共同作業の記録を活用したり、他のシステムと連携した使い方も提案する。

 セールスフォース・ジャパンの西田本部長は、「コロナ禍や原材料価格の高騰、部材供給の制約、人材不足など、社会環境が大きく変化するなか、中小企業の経営に対する影響も大きい。そうしたなかで、成功している中小企業に共通しているアクションは、『デジタル化の推進』、『顧客と従業員の声を聞く』、『セキュリティの重視』、『新しい現実の受け入れ』の4点であることが、Salesforceの調査でわかった」と説明。

 また、「積極的にデジタルに投資することでコロナ禍を乗り越えることができた企業は71%に達している。ここでは、オンラインの活用度合いを高めた中小企業が多く、カスタマーサービスやセールス、マーケティングなどの顧客接点が多い領域へのデジタル投資が進展している。コロナ禍においても接点強化を実現したり、新たなビジネスを創出したりといったように、顧客中心のデジタル投資を行った企業が成長している」と述べた。

成功している中小企業 4つのアクション
好調な中小企業のうち、デジタル化によってコロナ禍を乗り越えたと回答した企業は71%に達しているという

 このほか、CRMやeコマース、マーケティングオートメーションへの投資が増加傾向にあることを示しながら、「グローバルでは、半数以上となる56%の中小企業がCRMを導入しており、そのうち業績が好調な中小企業では67%がCRMを導入済みとなっている。だが、日本での導入率は34%にとどまっている。これからDXに取り組む中小企業が多い」と述べた。

業績が好調な中小企業では67%がCRMを導入済みだが、中小企業全体では導入率がまだまだ低い

 セールスフォース・ジャパンでは中小企業向けの取り組みとして、2020年9月には、テレワークを活用した業務のデジタル化を支援する「中小企業デジタル変革支援パッケージ」を、また2021年10月には、国内のスタートアップ企業を対象とした「Salesforce スタートアッププログラム」をそれぞれ提供。さらに2022年7月には、中小企業やスタートアップ企業を、デジタル化を通じて支援する「Salesforce 中小企業 イノベーション支援プログラム」を提供している。

 なお、今回の「Salesforce中小企業向けDXお悩み解決パック」は9月7日・8日の2日間、オンラインで開催している中小企業向けイベント「Salesforce LIVE: Japan/中小企業・スタートアップ経営変革Days」のなかで発表されている。