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凸版印刷、製造工場の環境データを自動収集・監視するDXソリューション「e-Platch」を開発
2022年6月20日 13:25
凸版印刷株式会社は20日、製造工場における排水の水位や水素イオン濃度を始めとする環境データを自動収集し、工場全体のリスクマネジメント強化を可能とする統合的な監視システム「e-Platch」を開発したと発表した。
e-Platchは、凸版印刷が2021年10月に自社工場内に構築した「環境データ自動収集システム」をベースに、パッケージ化したもの。次世代LPWA規格のZETAを活用し、ZETAの特長の一つである「死角のない通信ネットワーク」上に、既存の測定器を活用したデータ自動収集システムを構築し、自社工場への展開を進めてきた。
システム開発にあたっては、電子部品や車載情報機器において技術力と実績を持つアルプスアルパイン株式会社と、ZETA通信の技術ノウハウを持つ凸版印刷が技術や知見を持ち寄ることで、アナログメーターへの後付けが可能な「遠隔自動検針」を、ZETAネットワーク上で活用することを可能とした。
多くの工場では、入り組んだ構造に起因する電波の届きにくいエリアや、電源の確保が難しい場所が存在するが、電池駆動タイプの中継器を適切に配置することで、死角のない無線通信ネットワークの敷設が可能。データ変換機器「ZETABOX」により、測定器から出力されるデータをデジタル化し、ZETAネットワークに転送する。既存の測定器が流用できるため、導入コストを低減でき、データ収集に伴う測定器のメンテナンスなどの作業変更も不要となる。
工場内巡回の負荷を低減するアナログ式メーターの遠隔自動検針を、アルプスアルパインが開発したIoTソリューション「アナログメータ監視システム」とのシステム連携により実現。指針に装着した専用マグネットホルダーの動きを磁気センサーで計測し、指針角度をZETA通信技術によりクラウドサーバー上に送信。メーター値を算出し、アプリケーション上で「見える化」する。また、既設のアナログメーターに後付けすることで、低コストでメーター値の遠隔モニタリングを可能とする。現在主流となっている「カメラ方式」と比べ、カバーのくもりや照度不足など、計測環境の影響を受けにくい高精度な測定ができるとしている。
各種センサーで収集したデータは、クラウド型システムプラットフォーム「ZETADRIVE」で管理される。ZETADRIVEで管理されたデータは、専用監視アプリケーションとのAPI連携により、データ分析、グラフ作成、アラート機能、レポート生成などに対応し、環境保全業務を統合的に見える化する。また、ZETADRIVEを介して、製造DX支援ソリューション「NAVINECT」と連携することで、製造ラインの監視の選択肢を増やすことも可能になる。
凸版印刷では、環境データの収集に課題を抱える顧客向けに、e-Platchを環境保全DXトータルソリューションとして2022年12月より販売を開始し、2023年度中に試験導入も含めて100件の採用を目指す。また、6月29日~7月1日に東京ビッグサイトで開催される「第1回 ローカル5G/IoT活用展」のZETAアライアンスブース内凸版印刷コーナーで、e-Platchの展示を行う。