ニュース
NTTデータなど4社、電子B/Lとデジタル通貨を用いた新たな貿易決済の実現に向けた実証実験を実施
2021年12月28日 11:00
東京海上日動火災保険株式会社(以下、東京海上日動)、株式会社NTTデータ、株式会社スタンデージ、株式会社トレードワルツの4社は27日、新たな貿易決済の仕組みの実現に向けた実証実験を実施したと発表した。
貨物と代金の交換を行う貿易取引では、貨物の代わりとして用いるB/L(Bill of Lading:船荷証券)と代金の交換が行われてきた。一方で、海外取引の場合、輸出者と輸入者は離れていることから、B/Lと代金を同時に交換することができず、いずれかの債務不履行のリスクが発生し、銀行、保険、ファクタリングなどによるリスクヘッジのコストが必要になる。
近年、国内では電子B/Lを認めるよう法改正を求める動きが進んできており、海外諸外国においてもB/Lなど電子化のための法整備を行う動きがある。また、デジタル通貨についても、国際的な実用に関する議論があり、中国やカンボジアなどを中心にCBDC(中央銀行デジタル通貨)の実用化に向けた動きが活発化しているという。
電子B/Lとデジタル通貨(または暗号資産)が今後、国際的に普及すると、デジタルデータである双方を同時に交換できる可能性が生まれるとして、東京海上日動、NTTデータ、スタンデージ、トレードワルツの4社は、この「同時交換」を実現する新たな貿易決済の仕組みの構築に向けて、実証実験を実施した。
実証実験では、ブロックチェーン技術を活用し、貿易プラットフォームで電子化されたB/Lとデジタル通貨(または暗号資産)の同時移転が可能であることが確認でき、従来になかった貿易決済の仕組みを提供することが可能になるとしている。
実験には、B/Lや保険証券、Invoiceなどを電子化する貿易プラットフォーム(TradeWaltz)と、複数のブロックチェーンを連携するインターオペラビリティ技術をNTTデータが提供し、暗号資産の移転技術をスタンデージが提供。松尾産業株式会社や株式会社ウィル・ビーなど、複数企業の参加・協力を得て、事業化への確証を得ることができたという。
電子B/Lとデジタル通貨による同時交換の実現により、買い手が貨物を受け取れないリスクや、売り手が代金を受け取れないリスクがなくなり、リスク回避のためのコストも低減できると説明。代金前払いに応じてもらえないことから、海外の新規顧客開拓が進まなかった中小企業の貿易取引の活発化や、債権債務の同時履行によって貨物の所有移転が明確になることで、債権債務履行の時間差ゆえに生じていた、国際売買契約や法律上の問題を解消できるとしている。
4社では実証実験の実施結果を踏まえ、2023年度中の事業化に向けて引き続き取り組みを進めていく。