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NTTデータ、ブロックチェーン技術を活用した貿易情報連携基盤の実証事業を開始

 株式会社NTTデータは23日、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(以下、NEDO)の委託事業として、ブロックチェーン技術を活用した貿易情報連携基盤の実証事業を開始すると発表した。

 日本の貿易業務における企業間の情報連携では紙媒体やPDFファイルが多用されているため、人手による再入力やチェックなどに多大な時間とコストを要しており、複数の事業者が介在する貿易手続きにおいても、情報伝達・共有のプロセスが電子化されておらず、輸出者が貨物の状況を迅速に把握することが困難になっているという。

 こうした状況を受け、NEDOでは貿易手続業務に関わる事業者の生産性向上と輸出リードタイム短縮に向け、電子化されていない事業者を含む一連の関係者間で、貨物や手続きなどに関するデータを共有できるデータ連携システムを構築し、特定の港湾での実証と効果検証を行う実証事業を公募した。

 NTTデータでは、2016年に国内初となる貿易分野にブロックチェーン技術を適用した実証実験や、ブロックチェーン技術を活用した貿易情報連携基盤の実現に向けた検討と実証実験を実施するための貿易手続きに関わる事業者である輸出入者・船会社・銀行・保険などの大手企業による貿易コンソーシアムを発足させ、活動を行ってきた。今回、NTTデータは今までの取り組みに加えて、中堅・中小企業などを含む関係事業者で貨物や手続きなどに関するデータを共有する実証事業を提案し、選考の結果、NEDOより委託先として選定された。

 実証は、2018年度中に貿易情報連携基盤システムの構築および北米やアジア向けコンテナ輸出を対象とした港湾での実証と効果検証を行うことで、電子化されていない事業者を含む貿易手続きに関わる事業者の生産性向上と輸出リードタイムの短縮に寄与することを目的とする。

 貿易情報連携基盤システムについては、ブロックチェーンを活用したデータ連携システムを構築。輸出入者、フォワーダー、通関業、陸運業、ターミナルオペレーター、船会社、銀行、保険などを含めた貿易手続きに関わる事業者間で、貨物や手続きなどに関する正確なデータをセキュリティが担保された形で共有できる仕組みを提供する。

 また、データ連携方式を検討し、輸出入・港湾関連情報処理システム(NACCS)で処理される業務(税関その他の関係行政機関に対する手続きおよび関連する民間業務)との最適な連携を実現。2019年1月~3月には北米およびアジア向けコンテナ輸出を対象とした実証実験も予定し、輸出プロセスの効率化を図る。さらに、NEDOが別途公募している、貿易手続きに関わる事業者が手続情報を共有するためのデータ標準や共有ルール策定のための調査事業にも協力する。

 NTTデータでは今後、実証の成果を活用し、官民連携でのグローバルサプライチェーンにおける貿易手続きの効率化に向けて、2019年度中の貿易情報連携基盤の社会実装を目指すとしている。