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IDC Japan、国内データセンターサービス市場の最新予測を発表
クラウド系の成長で2025年の市場規模は2兆7987億円に拡大

 IDC Japan株式会社は12日、国内データセンターサービス市場の最新予測を発表した。同日に行われた記者説明会では、この市場予測と今後の展望について、IDC Japan リサーチマネージャーの伊藤未明氏が解説した。

IDC Japan リサーチマネージャーの伊藤未明氏

 今回の対象となるデータセンターサービス(以下、DCサービス)とは、顧客企業の情報システムを情報サービス事業者のデータセンター内で運用監視するサービスのことで、今回の予測によると、2021年の国内における同市場は、前年比11.6%増の1兆7341億円となる見込み。また、2020年~2025年の年間平均成長率(CAGR)は12.5%と、高い成長率が維持され、2025年の市場規模は2兆7987億円と予測している。

国内データセンターサービス市場予測(出典:IDC Japan、以下同じ)

 この結果を受けて伊藤氏は、「昨年発表した予測値では、新型コロナウイルス感染症の影響により、2020年の市場成長率は低下すると見込んでいたが、実際には市場へのマイナス影響はほとんどなく、2021年も順調に拡大を続けている。現在、国内DCサービス市場のプレイヤーは、非クラウド系DCサービスを提供するSI事業者/ITベンダーと、クラウド系DCサービスを提供するDC専業事業者(クラウドサービスプロバイダー)、クラウド系と非クラウド系を全般的に扱う通信事業者の3つに分けられる。そこで今回の市場予測を、クラウド系と非クラウド系で分類してみると、市場成長をけん引しているのはクラウド系であり、市場での比率が逆転する分岐点が2021年であることが明らかになった」と分析した。

クラウド系と非クラウド系のデータセンターサービス市場予測

 同社では、国内DCサービス市場は、クラウド系DCサービスの市場拡大を軸にして引き続き高い成長が続くものと予測している。とくに、DC専業事業者に大規模DC設備を貸し出すホールセールコロケーション分野に新規参入する事業者が出てきており、この分野での高成長が続くと考えている。

 また、今回の説明会では、国内データセンターファシリティ(DCファシリティ)市場の最新予測についても言及。「事業者DCの延床面積の予測では、2020年の246万m2が、2025年には340万m2まで拡大すると見込んでいる。年間平均成長率は6.7%となっている。また、この数値について、プレイヤー別の内訳をみると、やはりクラウド系DCサービスを主力とするDC専業事業者の伸びが顕著であることがわかった」としている。

事業者データセンターの延床面積予測

 「DC専業事業者が利用するデータセンターは、非常に巨大で電力も大きいためハイパースケールデータセンターと呼ばれるが、その予測値にフォーカスしてみると、延床面積の2020年~2025年の年間平均成長率は28.8%、電力キャパシティも37.2%と、大きな伸びを示していた。2024年には、事業者DCの半分以上はハイパースケールデータセンターが占めると試算されている。つまり、ハイパースケールデータセンターの規模拡大が、クラウド系DCサービスの伸びを支えていることが浮き彫りになった」と考察した。

ハイパースケールデータセンター規模予測

 なお、ハイパースケールデータセンターにおける電力消費量の予測については、2020年の20億kWhが、2024年には54.6億kWhに達すると予測している。これを踏まえて伊藤氏は、「データセンター管理者にサステナビリティ評価に関する意識調査をしたところ、一般企業に比べてDC事業者では『再生可能エネルギーの利用』の回答率が低い結果となった」と、ハイパースケールデータセンターの電力消費量が増大する一方で、再生可能エネルギーの利用は限定的な取り組みにとどまっていると指摘した。

ハイパースケールデータセンターにおける電力消費量予測