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どこからでも安心して業務ができる環境を提供――、NTT Comがリモートアクセスサービス「Flexible Remote Access」の強みを解説

 NTTコミュニケーションズ株式会社(以下、NTT Com)は、オンプレミスやパブリッククラウドに点在する社内業務システムや、SaaSなどの各種サービスに、在宅勤務をはじめとしたさまざまな環境やデバイスから、セキュアに接続できるリモートアクセスサービス「Flexible Remote Access(FRA)」の提供を開始している。3日、その概要について説明した。

 FRAは、NTT Comのデータ利活用プラットフォーム「Smart Data Platform(SDPF)」で提供されるネットワークサービスのひとつで、同社が取り組んでいる、DX(デジタルトランスフォーメーション)やICTを活用して社会課題を解決する「Smart World」の実現に貢献するサービスと位置づけている。

 どこからでも、必要なリソースへ、安心安全にアクセスすることができ、「自宅や外出先など、どこからでも業務ができる環境を提供できる」(NTT Com データプラットフォームサービス部 サービスクリエーション部門 第3グループ担当部長の高津健氏)という。

 また、NTT Comが提供するインターコネクションサービス「Flexible InterConnect(FIC)」との組み合わせによって、各種サービスに閉域接続が可能であり、セキュアな環境を簡単に実現できるとしている。

Flexible Remote Accessとは

5つの特徴を持つFlexible Remote Access

 FRAでは、パソコンなどの端末に専用ソフトウェアをインストールすることで、自宅や外出先などのインターネット環境から、業務に必要なリソースにセキュアにアクセスできるのが特徴。FICポータルの設定のみで簡単に接続でき、FICに接続された閉域網内の社内業務システムやクラウドサービスにも、リモートからアクセス可能になる。

 またWeb会議や動画系アプリなど、パブリッククラウド環境で提供されるトラフィック容量の大きいサービスについては、インターネット経由で直接通信できる「スプリットトンネル機能」を搭載。社内のインターネットゲートウェイ環境を逼迫(ひっぱく)させることなく、リモートアクセス環境下での快適なレスポンスを実現する。

 さらに、従来の境界型セキュリティの仕組みだけでなく、証明書認証や端末のインストールソフトチェックなどによる多要素認証を標準的に提供することで、ゼロトラストネットワークに対応したアクセス管理も可能にしている。

 ファイアウォールやIPS/IDS(不正侵入検知・防御サービス)、URLフィルタ、アンチウイルスなどのUTM機能も標準提供するほか、ログ管理機能により、「誰がいつ、どのアプリケーションで、どこへアクセスしているか」を把握することが可能とした。

 加えて、Active DirectoryやAzure Active Directoryといった外部認証基盤と連携できるため、利便性の高いID管理を実現する。

Flexible Remote Accessの5つのポイント

 NTT Com データプラットフォームサービス部 サービスクリエーション部門 第2グループ担当部長の松林修氏は、「リモートアクセス&セキュリティ基盤であるFRAは、FICと接続することで、データセンターや各種クラウドサービス、オフィスなど、社内同等の環境に閉域でアクセス可能であるだけでなく、インターネット上のSaaSサービスなどには、FRAを介してアクセスすることで、社内リソースを逼迫させずに、セキュリティを担保しながら、快適な利用を実現できる」とした。

 ライセンスは月額課金で、ID数の増減に対応できる体系を採用。事業環境の変化に応じて、コストの最適化を実現できるという。月額ID単価(税込)はボリュームディスカウントが適応され、例として100~499IDまでが1320円、1万2000~2万4000IDの場合は385円となる。

 高津担当部長は、「withコロナやAfterコロナにおいて求められるICTインフラは、どこからでも必要なリソースにアクセスが可能な分散化への対応、急激な環境変化に柔軟に適用する変化への適用、セキュアに事業を継続する安心安全が条件となる。従来のネットワークは閉域網接続を行い、データセンターとオフィスをつないでいたが、リモートワークが広がると、インターネット接続が増え、接続ゲートウェイのリソースが足りなくなったり、ピーク時を想定した投資を行ったりといった課題が生まれている」という点を指摘。

 「こうした課題を解決するために、さまざまなクラウドやデータセンターに接続でき、帯域を自由に変更できる柔軟性が高いネットワーク機能が必要になっている。同時にクラウドセキュリティ、ゲートウェイセキュリティ、エンドポイントセキュリティの強化が求められ、さらに統合的に運用することが重視される。NTT Comでは、これらをSASE(Secure Access Service Edge)ソリューションとして提供することになる」とした。

SASEの落とし穴がどこかを理解している点がNTT Comの強み

 SASEソリューションについては、NTTコミュニケーションズ ソリューションサービス部デジタルソリューション部門第4グループ 担当部長の前田隆志氏が、具体的な事例を示しながら説明した。

 「セキュリティ機能とネットワーク機能を統合し、単一のクラウドサービスとして提供するSASEは、もともとNTT Comが進めてきた領域であるが、コロナ禍で一気に実用化してきた。だが、まだひとつのサービスとして提供できるところまでは至っていないのが現状であり、実際にはSASEの導入だけではうまくいかないケースがある。そうしたノウハウを持っているところにNTT Comの強みがある」とした。

 具体的には、アクセス元、アクセス経路、アクセス先の3層に対して、クラウドセキュリティ、インターネットゲートウェイ、統合認証基盤(IDaaS)分離・無害化、ハイブリッドWAN、リモートアクセス、エンドポイントセキュリティ、マネジメント(SOC)の8つのコンポーネントを統合したソリューションとして提供しているとのこと。

NTT ComのSASEソリューション

 「NTT Comは、どこがSASEの落とし穴も理解している。顧客が実現したい内容にふさわしいものを提供できる。どこから手をつけていいかわからない、どこを目指せばいいかわからないという企業も支援できる。また、SASEソリューションにおいては製品を売り込む考えはない。課題や将来構想にあわせてロードマップを検討し、提案をしていく」などとした。

 モデルケースとして、総合的なセキュリティ対策を検討したいという顧客向けの「ゼロトラストネットワークソリューション」や、テレワーク導入に最適化した「リモートワーク推進ソリューション」、快適なSaaS利用を実現するためのネットワークを検討する際の「クラウドファーストネットワークパック」を用意しており、「モデルケースをもとに、コンポーネントを組み合わせて、それぞれの企業の課題に沿った最適なSASEソリューションを提供できる」と述べた。

SASEソリューション:モデルケースとコンポーネント

 NTT Comでは、2020年に事業ビジョン「Re-connect X」を打ち出しており、新型コロナウイルスの感染拡大により、生活者、ビジネス、社会が求める世界観、価値観が急速に変容するなかで、リモートワールドにおける価値を再定義。安心、安全で、柔軟に、価値をつなぎなおすことで、サステナブルな未来の実現に貢献していく姿勢を示している。

 高津担当部長は、「Re-connect Xの実現に向けて、社会と未来をつなぐSmart Worldを実現する7つの領域ごとに、社内に推進室を設置。データを利活用しやすい環境を実現するSmart Data Platformの提供や、NTT Comが得意とするITインフラのTransformationを提供していくことになる」と述べた。

Re-connect X

 なお、NTT Comにおけるリモートワークの実施率は84.4%に達しており、NTTグループのなかで最も高い水準に達しているそうで、「社内で活用したソリューションやノウハウを、顧客に届けていく」としている。