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NECとNECプラットフォームズ、製造現場のリモート化・自働化に向けた実証実験を実施

 日本電気株式会社(以下、NEC)とNECプラットフォームズ株式会社は5日、NECプラットフォームズ甲府事業所に、Sub6(4.7GHz帯)帯域のローカル5G環境を構築し、製造現場のリモート化・自働化に向けた実証実験を実施したと発表した。

 今回の実証実験では、1)ピッキングロボットの遠隔操作と、2)映像・音声の共有による遠隔作業支援の有効性を検証した。

 1)は、部品のピッキング作業の省力化を目指したもの。ピッキング作業では、ロボットアームとカメラを取り付けた移動体を遠隔操作して作業を行うが、多種多様な部品が存在するため、完全に自働化するには難易度が高いとのこと。そのため、ピッキング位置までの移動はロボットが自動で行い、ピッキング作業を人が遠隔で操作することにより、作業者の負担軽減と自働化を両立する。

 今回は、5Gで映像伝送しながら1人で2台のロボットを制御し、遠隔から8種の部品のピッキングを実現した。また映像表示・ロボット操作における遅延を検証し、ストレスなく遠隔操作するための目標遅延時間0.2秒以下を達成し、実用化に向けた操作性を確認したという。

 今後はピッキングロボットの作業の高速化のほか、5Gの特長を生かして多数のロボットとの接続や無人搬送車との連携を図り、生産ラインへの導入を目指すとしている。

遠隔操作に関する実証の様子

 一方、2)の遠隔作業支援では、現場作業者が着用したスマートグラスを通じて映像・音声を共有するNEC遠隔業務支援サービスを活用し、支援者や熟練者は現場に赴くことなく遠隔からリアルタイムで作業支援を行っている。

 今回は、こうした用途に5Gの高速通信を活用。リアルタイムに状況を把握して作業指示を出すことで、ライン停止時間と後戻り作業が削減でき、製造現場における遠隔作業支援の有効性を確認できたとした。またフルHD映像と高精細な4K映像のそれぞれについて遠隔作業支援の効率性を比較して評価したところ、4K映像の方が支援時間を平均で約20%短縮できたとのこと。

 今後は、高速大容量といった5Gの特長を活用し、4K・8Kなどの高精細な映像の共有やAR(拡張現実)を利用したコミュニケーションを製造現場で実現することで、さらなる生産性の向上を目指す。

遠隔作業支援に関する実証の様子

 なお、今回利用した設備については、NECがローカル5Gのコア・基地局など無線設備の構築や運用、5Gを活用した製造業向けソリューションの提供を行い、NECプラットフォームズが甲府事業所内に試験設備の構築とソリューションの実用化に向けた検証を行った。