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マスク着用時でも90%以上の精度で表情を分析、KDDI総合研究所が新技術を開発

 株式会社KDDI総合研究所は24日、マスクを着けている人でも90%以上の精度でポジティブ/ニュートラル/ネガティブの表情を分析できる「顔領域適応型表情認識AI」を開発したと発表した。

 KDDI総合研究所では、人の感情や状態を推測するための技術として、表情認識AI技術の研究に取り組んできたものの、コロナ禍においては、感染拡大の防止を目的として日常的にマスクを着用することが求められており、マスクを着用した場合、顔の面積の最大70%が覆われてしまうため、従来の表情認識AI技術では十分に認識できないという課題が生じてしまっていた。

 これに対して、今回開発された「顔領域適応型表情認識AI」では、マスクで顔の70%ほどが隠されたとしても、顔露出領域とマスク着用領域を別々に分析し、総合的に客観評価して表情を認識できるため、90%以上の精度でポジティブ/ニュートラル/ネガティブの表情を認識可能になったという。

 具体的には、顔露出領域については、みけんにシワを寄せるといった目の周辺領域の特徴量に加えて、鼻・口・ほお・顔面の筋肉の露出領域など、検出顔のその他の領域も可能な限り活用。一方、顔全体、特に鼻・口・ほおにおける筋肉の変化によって、マスク自体にシワが生じて変形することになるため、マスク着用領域の特徴量を学習している。そして、顔露出領域から認識された表情の特徴量と、マスク着用領域から認識された表情の特徴量との相関関係を得られるように、それぞれの特徴量の重要度を学習で数値化したとのこと。

 評価実験では、インターネットから収集された、マスクを着用した検証データセットを用いて、今回の表情認識AIと従来技術との比較実験を行った結果、表情認識精度は90%以上を達成。従来技術の58%を大幅に上回る精度を実現できることが確認された。

 KDDI総合研究所では、この技術を顧客サービス向上や、事故防止、見守り、グループワークの活性化、人と機械の対話コミュニケーション、マーケティングなどの分野において適用し、早期の実用化を目指す考え。さらに今回の開発成果を、スマートフォン向けのアプリ、IoTデバイス、ロボットなどに搭載し、多くのユーザーに利用してもらえるようにするとしている。

「顔領域適応型表情認識AI技術」の学習モデル構築概要図