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蔦屋書店が15のサービスをAWSへ移行、システム標準化や保守作業の削減に成功

富士ソフトがシステム移行を支援

 富士ソフト株式会社は、株式会社蔦屋書店のAmazon Web Services(AWS)移行を支援したと発表した。蔦屋書店ではこれにより、デジタルトランスフォーメーション(DX)に対応可能な、クラウドファーストのインフラ基盤構築を実現したという。

 「TSUTAYA」「蔦屋書店」などの店舗、「TSUTAYAアプリ」「TSUTAYAオンラインゲーム」をはじめとするオンラインサービス、店舗とネットを融合した月額定額サービスの「TSUTAYAプレミアム」といったビジネスを展開する蔦屋書店では、2017年からクラウドファーストを基本としたDXの検討を開始。第1フェーズとして、クラウド化基盤の構築に取り組んだが、今回は端緒として15のネットサービスのシステム構成を見直し、リアーキテクト(クラウドシフト)を行うことでAWS化を実現した。

 移行前のシステムはすべてオンプレミスの仮想環境上に構築されていたが、15のシステムは開発された時期がすべて異なっており、それぞれのシステムが単体で完結していたが、その状態でシステムの増築・増強を行っていたため、各システムが複雑に連携している状態だったという。

 そこで同社は、単なるクラウド移行ではなく、複雑に絡み合ったシステムを一度ひも解き、リアーキテクトすることを決断。共通で利用できる部分は機能をサービス化して共用可能にし、個別で必要な機能は各サービスのAWSアカウントにひも付けて設置するというアーキテクチャを採用した。

 さらに共通化機能では、従来はライセンスが必要だったソフトウェアの見直しを図り、大部分をオープンソースソフトウェア(OSS)にシフトしてライセンスコストの削減に成功している。また、Terraform、AnsibleなどのIaC(Infrastructure as Code)ツールを活用してオペレーションのコード化、自動化を達成したことで、似たようなサービスを構築する場合に、今までのアセットをそのまま利用できるようになったとしている。

 富士ソフトでは今回、AWS導入支援サービスによって蔦屋書店のAWS移行を支援している。蔦屋書店では富士ソフトのサービスを採用した理由について、AWSに関して強みを持つだけでなく、AWSの周辺システムに対するノウハウやOSSの知見を豊富に持っている点を挙げた。

 なお、蔦屋書店がAWSへの移行を開始してから1年が経過しているが、インフラ起因による障害は1件も発生しておらず、インフラの保守にかかる時間をほぼなくすことができたとのこと。運用に関しても、共通サービス基盤の構築によって一元管理できるようになったため、負荷を軽減できたとした。

 蔦屋書店では今後、AWSの充実したエコシステムを活用し、第2フェーズとして全サービスのクラウド化を、第3フェーズではマルチクラウド化を目指すとのことだ。