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国内IT市場予測、2020年は前年比6.3%減の17兆1162億円~IDC Japan調査

 IDC Japan株式会社は6日、2020年9月末時点の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による影響を考慮した、国内IT市場予測のアップデートを発表した。2020年のIT市場は、2020年8月発行の前回レポートから1.9ポイント改善し、前年比6.3%減の17兆1162億円と予測している。

 製品別では、IT市場のクラウドシフトや利用形態のサブスクリプション化の進展、テレワークの進展によるコラボレーションツールの普及などにより、COVID-19の影響が相対的に軽微なソフトウェアとIaaSが市場を牽引するものの、PCは前年の駆け込み需要の反動およびCOVID-19の影響によるサプライチェーンの混乱からマイナス成長になることで、製品市場全体での成長を押し下げると予測。一方で、COVID-19研究対策のための理化学研究所向けスーパーコンピューター「富岳」の前倒し導入により、サーバー需要の回復が見られるとしている。

 産業分野別では、COVID-19の影響により、2020年は教育を除く全産業分野でマイナス成長になると予測。特に、大きく影響を受ける分野としては、製造、流通、運輸、個人向けサービス、建設を挙げている。金融、医療ならびに官公庁関係は比較的影響が小さく、特に教育分野については、GIGAスクール対応のPC配備や校内の無線LAN環境整備を前倒しする予算により、早期の回復が期待されるとしている。

 従業員規模別では、COVID-19は多くの企業規模に影響を及ぼしているが、特に経営体力に乏しいSMB(中堅中小企業)では事業継続が難しい状況に追い込まれる企業が増えており、大幅なマイナス成長になると見込んでいる。

 年商規模別では、特に、経営体力に乏しい年商規模100億円未満の企業では業績に深刻な影響が及んでおり、事業継続が難しい状況に追い込まれる企業も増えているとしている。

 これらの予測は、COVID-19に関して、国内外ともに2020年前半で感染がいったん抑制され、経済活動が正常化した後も、局地的に感染が再発して回復の阻害要因となるものの、一部の先進企業を中心にデジタルトランスフォーメーション(DX)への投資が活性化し、景気対策の一環として政府によるICT投資が選択的に行われることを前提としている。

 2021年は、市場の回復により前年比2.9%増の成長となるが、IT支出がCOVID-19感染拡大以前の水準に回復するのは2022年以降になるとみており、2019年~2024年の年間平均成長率は1.2%、2024年の国内IT市場規模は19兆3601億円と予測している。

 IDC Japanでは、2020年9月に発足した新政権は、紙や押印による入力/認証/照合/決済の仕組みのデジタル化を優先事項にしており、今後国を挙げたデジタル化の動きが加速するとみられると指摘。IDC Japan ITスペンディング グループマネージャーの村西明氏は、これら市場の変化の状況を踏まえて、ITサプライヤーに対して「COVID-19を契機とするITを活用した生活やビジネス変容を好機と捉え、データ入力/認証/照合/決済に至るすべての生活やビジネス手続きのデジタル化をあらゆる産業において支援することが重要である」と述べている。

国内IT市場 産業分野別 支出額予測、2019年~2024年(出典:IDC Japan)