ニュース

新型コロナの影響を考慮した2020年の国内ICT市場は前年比5.3%減の27兆5927億円、IDC Japan予測

 IDC Japan株式会社は6日、新型コロナウイルス感染症の最新状況を考慮した国内ICT市場予測のアップデートを発表した。2020年の国内ICT市場(支出額ベース)は、前年比5.3%減の27兆5927億円と予測してる。

 今回の国内ICT市場予測アップデートでは、緊急事態宣言が5月25日に全国自治体で全面的に解除されことなどから、5月7日付けで発表した2020年のICT市場成長率から0.8ポイント改善している。ただし、国内において再び感染拡大の懸念が高まっており、今後の状況によっては予測を大きく見直す可能性もあるとしている。

 2020年における国内ICT市場(支出額ベース)の製品セグメントごとの前年比市場成長率は、スマートフォン/PC/タブレットなどの「Devices」がマイナス20.8%(前回予測比3.5ポイント増)、サーバー/ストレージ/IaaS/ネットワークなどの「Infrastructure」がマイナス2.9%(同1.0ポイント増)、「Software」がマイナス0.8%(同1.4ポイント減)、「IT Services」がマイナス3.0%(同0.2ポイント減)、「Telecom Services」がマイナス0.5%(同0.7ポイント増)と予測している。

 DevicesとInfrastructureのハードウェア市場は、サプライチェーンの混乱が4月の予測時点から改善しつつある点や、GIGAスクールやテレワークの進展に伴う、PCやタブレットの需要回復が進んでいることから、前回予測から改善している。

 Softwareは、クラウドサービスは堅調ではあるものの、オンプレミス中心のプロジェクトの延期/中止がさらに進んでおり、前回よりも下方修正している。一方、プロジェクトに依存性の少ないマネージドサービスを提供する「IT Services」の影響は引き続き軽微で、テレワークの進展により、Telecom Servicesも前回の予測から改善されている。

 2021年に向けては、グローバルなサプライチェーンの回復に伴い、テレワークの定着によるPCやタブレットなどのDevices市場、クラウドサービス事業者の継続的な投資対象であるサーバーやネットワークといったInfrastructureなどのハードウェア市場を中心に、堅調に回復すると予測している。

 これらの予測は、新型コロナウイルス感染症に関して、国内外ともに2020年前半で感染がいったん抑制され、経済活動が正常化した後も、局地的に感染が再発して回復の阻害要因となるものの、一部の先進企業を中心にデジタルトランスフォーメーション(DX)への投資が活性化し、景気対策の一環として政府によるICT投資が選択的に行われることを前提に作成している。

 今後の状況次第では、危機管理、働き方改革、社会保障や行政のデジタル化などのニーズから、企業、政府、消費者レベルでDX投資が活性化されるという、ICT市場にとってのOptimistic(楽観的)シナリオも想定しており、その場合の2020年における前年比成長率はマイナス4.1%程度に収まると予測している。

 一方、2020年には世界主要地域全般レベルでの感染の抑制と経済活動の正常化が実現せず、感染の収束と経済の回復が2021年中盤以降に持ち越されるというPessimistic(悲観的)シナリオでは、前年比成長率はマイナス9.5%まで落ち込み、今後の状況次第ではさらなる成長率低下の可能性もあるとしている。

新型コロナウイルス感染症の影響を考慮した国内ICT市場の前年比成長率の予測アップデート:2019年~2021年(2020年6月末時点での予測、出典:IDC Japan)