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セールスフォース、リアルタイムでのパーソナライズを実現する新マーケティングツールを提供

 株式会社セールスフォース・ドットコム(以下、Salesforce)は8日、マーケティング領域の新製品「Customer 360 Audience」「Interaction Studio」を提供開始したと発表した。

 企業が保有する顧客データは、取得した状況にともなって異なる部門が保有していることも多い。Customer 360 Audienceを利用すると、社内にある顧客データを統合し、マーケティング担当者自身がマッピングや分類することが可能となる。適切なセグメンテーションに基づいたマーケティング施策を行うことで、効果的な施策をとっていくことができるという。

 一方のInteraction Studioでは、リアルタイムで顧客をパーソナライゼーションし、Web、メール、実店舗などさまざまなチャネルからアクションをすることができる。セールスフォースのAIであるEinsteinを利用することで、エクスペリエンスの最適化などを行うことができる。

 セールスフォースのマーケティング関連製品の責任者である、専務執行役員 プロダクトセールス兼韓国リージョン統括ジェネラルマネージャー、笹俊文氏は、「今回提供を始めた2製品は、より幅広い顧客シナリオを描くことができる。デジタル化が進展した中で、顧客に対する情報源を一元化し、分析して適切な施策を提供できるようになることで、マーケティング担当者の役割を、カスタマージャーニーを指揮する役割へと変化させる」と話した

セールスフォース 専務執行役員 プロダクトセールス兼韓国リージョン統括ジェネラルマネージャーの笹俊文氏

適切なセグメンテーションに基づいたマーケティング施策を支援

 セールスフォースでは2014年に、マーケティング機能を提供するSaaSのMarketing Cloudをローンチし、その後、開発による機能強化を進めるとともに、買収によっても新機能を加え、マーケティング分野の拡充を進めている。

 今回の新製品のバックグラウンドとしては、「2020年は企業にとっても消費者にとっても、デジタルなしでは成り立たなかった1年。デジタル化によって、顧客や見込み客とのやり取りを、ひとりひとりに合わせて展開することが重要になっている」(マーケティング本部 プロダクトマーケティング・マネージャーの前田恵氏)ことを挙げている。

 企業の顧客データは、取得したチャネルによって担当部門が異なり統合されていないことも多い。前田氏は、「サイロ化された顧客データをシームレスに統合しなければ、本来のマーケティングエクスペリエンスは実現できない」と指摘し、異なるデータを統合し、それを狙いに合わせてセグメント化する必要があると話す。

セールスフォース マーケティング本部 プロダクトマーケティング・マネージャーの前田恵氏
統合されたデータなしにビジネスの成長はありえないという

 今回提供を開始したCustomer 360 Audienceは、すべての顧客データを1つの顧客プロファイルに統合。すべてのインタラクションをパーソナライズすることができる。統合できるデータは、Webやアプリの閲覧、メール、郵便、モバイル、自社の顧客ID、Salesforce ID、ERPやレガシーデータなど、あらゆるものが対象となる。そして、これをメール、SMS、アプリ、Webサイト、ソーシャルなどに出力することができる。

 「マーケターが、プロモーションメールを最近買い物をした顧客だけに送る、といった分類やマッピングを自由に行える」(前田氏)。

 組み込まれているデータマッピング機能を利用し、Marketing CloudやAmazon S3からの高速なデータ取り込みを実現。また、データ変換が可能なデータクレンジングを行うことも可能だ。

 さらに、Salesforceの持つ情報モデルに基づいた標準データモデルにアクセスできるだけでなく、独自のモデルをカスタマイズして拡張することにも対応する。こうした機能により、マーケターにとっては、データのマッピングと取り込みが楽にできるようになるとした。

Customer 360 Audience

 もう1つの製品、Interaction Studioでは、Web、モバイル、サービスやセールス、メールやキャンペーン、実店舗や設備といったさまざまな情報収集から、意思決定エンジンによって多様なアクションを行うことができる。

 さらに、セールスフォースのAIであるEinsteinをあわせて使うことで、顧客ひとりひとりの好みやインテントを把握し、個人に関するインサイトを獲得可能。また、AIを活用してエクスペリエンスを最適化することにより、ひとつひとつのやり取りで相手への関連性を高めることや、オンラインとオフラインのモーメントを融合すること、A/B/nテストを実施して成果をモニタリングすることもできるとした。

 こうした分析結果を生かして、リアルタイムにパーソナライズを行い、その人のためのマーケティング施策を実施可能で、例えば、ジュエリーメーカーがサイトを訪れた顧客に対し、以前閲覧していた指輪中心に製品をアピールして、さらに指輪の中でも前回見ていたものと似たデザインの製品中心に表示すると、いった仕掛けを行うことができる。

 「これまでは広告などのセグメント中心に行われてきたマーケティング施策を、1対1のメッセージとしてリアルタイムに提供していく。その結果、コンバージョン率の向上、売上の拡大、サービスコストの削減、顧客離れの減少を実現することが、グローバルで実績データとなっている」(前田氏)。

Interaction Studio

 それぞれの製品は、単体で利用することも可能だが、Marketing Cloudと連携して利用することで、より強力に活用することも可能になるという。