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セールスフォース、Marketing Cloudの新製品「Salesforce DMP」を事例交え紹介

 株式会社セールスフォース・ドットコム(以下、セールスフォース)は、米本社が2016年に買収したマーケティングデータ管理プラットフォーム「Salesforce DMP」の日本語版を提供開始。同社のデジタルマーケティングの方向性を紹介するイベント「Salesforce for Marketing Executive Networking Day」において、事例を交えながら新製品を紹介した。

 同社のデジタルマーケティングソリューション「Salesforce Marketing Cloud」に新製品が加わったことで、「顧客を中心に置いたSalesforce Marketing Cloudが強化され、一元化された顧客接点、情報管理が実現する」(米Salesforce.com Salesforce DMP CEO トム・チャベス氏)とアピールした。

Salesforce DMPが実現できること

 Salesforce DMPは、買収前には「krux(クラックス)」の名称で、Krux Digital社が提供していた。米国ではロレアル、コカコーラ、マクドナルド、ケロッグなど大企業も多数ユーザーとなっている。

 Krux DigitalのCEOだったトム・チャベス氏は、買収後はSalesforceの一員に加わり、「Salesforce DMP CEO」の役職に就いた。

 今回、来日したチャベス氏は、kruxを開発した狙いとして、「DMPが誕生する前、創業した2010年の段階では、コンシューマデータファブリックをどうすれば作ることができるのかを考えていた。その当時はスマートフォンではなく、ラップトップPCなどと接続して、もっと消費者に近づくことができないかと考えていた。その後、スマートフォン、タブレットなどのデバイスが普及したが、2012年、さまざまな企業が、他社が持っている顧客データに対し、きちんと断りを入れることなく勝手に利用する状況が生まれていた。私はその状況が望ましいものではないと考えたため、責任を持って、企業の持つファーストパーティデータを扱うソリューションkruxを提供することを表明。それが成功し、大企業をはじめ多くのユーザーを獲得することができた」と説明した。

米Salesforce.comのSalesforce DMP CEO、トム・チャベス氏

 Salesforce DMPは、エンタープライズレベルのデータ管理と顧客データの活用を実現する。あらゆるソースとデバイスからデータを収集し、オーディエンスデータの連携、セグメンテーション、活用によりカスタマーエンゲージメントを促進する。

 新たなターゲットをAIから特定し、有望なセグメントを見つけ出す。あらゆるデバイスに対してOne to Oneのターゲティング広告を配信し、的確で付加価値の高いマーケティング活動を実現するという。

Salesforce.comが目指す、すべてがつながったマーケティングの世界と、One to Oneを実現するマーケティング

 また、今回新しく加わった機能としては「クロスチャネル型広告配信管理機能」がある。顧客が実際に反応し、コンバージョンへとつながる広告をテストして測定することで、企業の最適な広告頻度を算出できるとのこと。そしてその結果、適切な数の広告配信が可能となり、顧客側が煩わしいと感じるキャンペーンの実施やダメージ効果を避けて、広告費やROIの最適化を行えるという。

 このほか、Sales Cloud、Service Cloud、Commerce Cloudなど、Salesforce内のあらゆるデータを活用し、さまざまなモバイルデバイスやWebを対象としたデジタル広告を提供し、強化することも可能。

 小売りを行っている企業が活用すると、すでに把握しているロイヤリティの高い顧客層のプロファイルを活用し、直接関係を築くことができていない見込み客、例えば、ビデオ広告の閲覧やバナーのクリックはしたものの買い物には至らなかった顧客を、的確にターゲティングする、といったことができる。

 セールスフォース側ではマーケティングソリューションについて、従来のMarketing CloudにAIソリューション「Salesforce Einstein」を用いて、マーケティング活動をよりパーソナライズすることを実現した。

 そこに旧kruxをDMPとして活用し、一元化されたマーケティングソリューションとして取り込むことで、広告、店頭対応、デジタルコマース、メール/モバイルメッセージ、モバイルアプリ、つながる製品、ソーシャルメディア、コミュニティ、カスタマーサービスと、全方位でユーザーの行動をフォローしていく体制を構築している。

 具体的な事例として、ハイネケンでは顧客行動や行動文脈、購買データを掛け合わせ、質の高い顧客プロファイルを構築し、プランニングの質向上を図っている。Salesforce DMPを活用することで、特定可能なすべての市場シェアを把握し、その市場におけるターゲットに向けたメディアとの連携キャンペーンを実施した結果、特定カテゴリーへのリーチを25%向上することに成功したとのこと。

ハイネケンの導入事例

 ロレアルでは、Salesforce DMPのプレミアムパブリッシャーで形成されるエコシステムを通じて、特定可能なターゲットリーチを増やし、新しい顧客獲得を実現。カテゴリーリーチが30%向上した。

 デモでは、ロレアルのアプリを利用しているユーザー向けのアプローチとして、購買に結びつけるためにパーソナライズされたアプローチを実施。新たな顧客を獲得するためには、サードパーティデータを活用し、ファッションに興味を持っているターゲットに向けて、ファッションサイトを閲覧した場合に自社広告を表示させるなど、ターゲットに応じた戦略を実施している。

ロレアルの導入事例