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日本HP、プロフェッショナルのリモートワークを支援する「HP ZCentralソリューション」を発表
高性能なワークステーションの遠隔利用をサポート
2020年10月23日 12:13
株式会社日本HPは22日、プロフェッショナル向けリモートワーク用ソリューション「HP ZCentralソリューション」を発表した。
ラックマウント可能な最新ワークステーションや、ワークステーションの集中管理、およびエンジニアのリモートアクセスを実現するツール群によって構成される。リモート環境で高い生産性を実現し、セキュリティやコラボレーションを必要とするパワーユーザーの生産性向上を支援する狙いがあり、同社では「シングルソースによるリモートワークステーションソリューション」と位置づけている。
また、HP ZCentralソリューションに特化した新たなパートナー制度を開始することも発表した。
遠隔地からでもパワフルなワークステーションを利用可能に
日本HP 専務執行役員 パーソナルシステムズ事業統括の九嶋俊一氏は、「HP ZCentralソリューションは、リソースを1カ所に集めてラックのなかに搭載し、そのリソースをどんな端末からでも、柔軟に、高品質に、安全に利用できるものだ。IT部門にとっては、コロナ禍でオフィスに置き去りにされ、無駄になっているワークステーションを無くすことができ、管理性も高まる。ユーザーにとっても、最高のパフォーマンスをネットワーク越しに利用できるため、コロナ禍によって変化した新たな働き方における課題を解決できる」とする。
同社によると、在宅勤務によって、44%の人が生産性が上がったと回答するしており、逆に下がったという人は14%にとどまっているという。また、プロのクリエイターとパワーユーザーにおいては、今後も在宅勤務の継続を望むという声が80%に達しているため、今後もリモートワークは継続されるとの見方が強い。
だが、その一方で、クリエイターは、より性能が高いPCを活用したいと考えているものの、63%の社員が在宅用デバイスにノートPCが配布されており、37%のプロクリエイターはもっと性能が高いコンピュータを必要としているという。
「IT部門では、事業継続や生産性を維持するために、デバイスの整備や運用、保守に力を注ぎ、ネットワークの整備やセキュリティへの対策といった課題にも取り組んできた。だが、在宅勤務が中心となったため、高い性能を持ったワークステーションは、オフィスのなかで休眠状態にある。ZCentralソリューションでは、休眠していたワークステーションをフル稼働させ、IT管理者は、ZCentral Connectを通じて在宅で管理業務ができ、在宅勤務者は、ZCentral Remote Boostによって最大のパフォーマンスで仕事ができるようになる」とした。
HP ZCentralソリューションでは、新製品の「HP ZCentral 4R Workstation」や「HP Z2 Mini Workstation」をラッキングすることで、作業者は遠隔地からでもシームレスにハイパフォーマンスなワークステーションに接続し、共同作業が可能になるのが特徴だ。
「仮想化では得られない、専有できるCPUコアの提供と、GPUによるパフォーマンスを実現。これをリモートから利用できることに加え、ワークステーションの集中管理とエンジニアのリモートアクセスを実現する」(日本HP パーソナルシステムズ事業統括 ワークステーションビジネス本部の大橋秀樹本部長)という。
リモート環境においても高い生産性、セキュリティやコラボレーションが必要とされるプロフェッショナル業務向けに、リモートワークステーションのソリューションを提供。それに対応するデスクトップワークステーションを刷新したほか、モバイルワークステーションのラインアップも強化した。
これにより、製品開発担当者やデータサイエンティスト、クリエイター、デザイナーなどが、用途や働き方に合わせて、最適なハードウェアやソリューションが選択できるようになる。
また、リモートアクセスツールのHP ZCentral Remote Boostによって、複数のリモートデバイスを同時管理するとともに、コネクションブローカーのHP ZCentral Connectにより、リモート接続とコンピュート、パワーを簡単に集中管理することで、エンドポイントにおけるリモートデバイスの増加によるセキュリティリスクの増大にも対処できるという。
HP ZCentral Remote Boostは、これまでRemote Graphic Software(RGS)と呼ばれていたリモートアクセスツールの最新版で、リモート環境で3Dアプリケーションや4K映像編集を可能にする。すべてのHP Zワークステーション向けに無償で提供される。また、これまではWindows環境での対応だったが、Red Hat Enterprise LinuxやUbuntuといったLinux環境も新たにサポートする。
HP ZCentral Connectは、リモートユーザーのコネクションブローカー機能を提供するツールであり、リモートユーザーのアクセス要求に対して、利用可能なワークステーションを割り当てることができる。また、接続時のセキュリティ強化や、ワークステーションのハードウェアの健全性の監視、さらには、LEDロケーターを起動させる機能を提供し、IT管理者の時間を節約するという。
このほか、HP ZCentralをHP Device as a Serviceとの組み合わせることで、より多くのカスタムコンフィグレーションとサービスオプションを提供するという。例えば、HP TechPulseによるGPU解析機能によって、ワークステーションノードのGPU利用状況を解析。サポート業務や保守管理における時間と手間を省けるようにする。
またIT部門は、機材の管理に関する意思決定を、情報に基づいて実施することで、柔軟で最適化したカスタマイズソリューションを社員に提供できるようになるとした。
ワークステーションのラインアップを強化
一方、HP ZCentralソリューションに対応したワークステーションの強化も行っている。
「HP ZCentral 4R Workstation」は、3D CADやCG、CAE、ビジュアライゼーション、データサイエンス向けのパワフルな1Uラックワークステーションと位置づけるワークステーションだ。同等仕様の「HP Z4 Workstation」の4倍の集積密度を持ち、さまざまなエンドポイントデバイスからワークステーションへのアクセスができる。
最新のインテルXeon Wプロセッサーを最大18CPUコア、NVIDIA Quadro RTX 8000のグラフィックスも搭載可能であり、パフォーマンスを要求される作業を処理するためのプロフェッショナルクラスの性能をリモートでも活用することができる。
なお、型番の最後にある「R」はラックマウントの意味がある。価格は39万円(税別、以下すべて同じ)から。11月中旬から出荷する。
さらに、第10世代インテルCore、あるいはXeonプロセッサーを搭載したデスクトップワークステーションも発表。エントリー向けデスクトップワークステーション「HP Z2 G5」シリーズとして3機種を発売する。
小型化したフォームファクターでありながらも、パワーと生産性向上を実現する「HP Z2 Mini G5 Workstation」は、10コアのインテルプロセッサーや、NVIDIA Quadro T2000/ RTX3000を搭載できるとともに、銅素材を使用したサーマルデザインにより安定稼働を実現。Zディスプレイの背面にマウント搭載でき、ワークスペースを有効に活用できるというメリットもある。価格は16万3000円。
省スペース型の「HP Z2 SFF G5 Workstation」と、タワー型の「HP Z2 Tower G5 Workstation」は、いずれも以前からの拡張性はそのままに、15%小型化したのが特徴だ。高性能の演算機能を実現しており、3D CADやCG、高速レイトレーシングやAIなどにも最適化。より高度なグラフィック処理やマルチタスク処理を行えるようになったという。
HP Z2 SFF G5 Workstationの価格は、11万5000円から、HP Z2 Tower G5 Workstationは、12万2500円から。
また、クリエイター向けデスクトップPC「HP Z1 Entry Tower G6」は、セキュリティ機能を強化するとともに、前世代よりも9.6%小型化。第10世代インテル CoreプロセッサーとNVIDIA GeForce RTX 2080 SUPER、またはRTX 2060 SUPERグラフィックスを搭載することができる。価格は16万8000円から。
HP ZBook Fury G7は、大幅なパフォーマンス向上と小型化を実現したモバイルワークステーションで、エンジニアやアーキテクト、デザイナー、データサイエンティストが必要とする大容量メモリと大容量ストレージの構成のほか、デスクトップ型ワークステーションクラスの高い拡張性や、ツールレスサービスドアによるメンテナンス性の高さを実現。設計やデザイン業務を自宅で行う機会が増加するなかで、オフィス環境と変わらない性能を実現したという。
15型のHP ZBook Fury 15 G7、17型のHP ZBook Fury 17 G7を用意。それぞれ価格は32万4000円から、35万6000円からとなっている。
薄型コンパクトデザインの15型モバイルワークステーションのHP ZBook Studio G7は、設計者のためのデバイスとして、新たにNVIDIA Quadro RTX5000グラフィックス搭載モデルを用意。クリエイター向けの15型ノートPCのZBook Create G7では、最上位機にNVIDIA GeForce RTX2080 SUPER搭載モデルを追加した。価格はそれぞれ73万8000円から、45万6000円からとしている。
日本HPの大橋本部長は、「HP ZCentralソリューションとZワークステーション製品群によって、設計者やクリエイターのリモートワークと生産性の向上を支援する」とした。
なお、新たに開始するHP ZCentral ソリューションパートナー制度については、「HP ZCentral ソリューションによって、これまでのように個別にワークステーションを導入するのではなく、リソースを集約して、集中管理し、それを品質の高いサービスとして提供するための新たな能力や技術者が必要になってくる。それを実現するため、HP ZCentral ソリューションに特化した新たなパートナー制度をスタートする」(日本HPの九嶋専務執行役員)と説明。
HP ZCentral Connectソフトウェアの販売や、HP ZCentral Remote BoostおよびHP ZCentral Connectの設定および構築、ZCentralソリューション構築に必要なスキルセットとノウハウを有するエンジニアのアサイン、ユーザーサポートのための検証環境の設置などを行う。