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日本HPのセキュリティ新サービス、企業規模や体制に応じた3つのラインアップを用意

オンライン記者説明会レポート

 株式会社日本HPは30日、PC向けセキュリティソリューションのラインアップを強化すると発表。新たに提供する3つのソリューションについてオンライン説明会を開催した。

 今回のラインアップ強化に伴い同社が用意したソリューションは、5000人以上の大規模組織を想定した「HP Sure Click Enterprise」と、200~5000人程度の組織を対象とした「HP Proactive Security」、IT管理リソースが限られている200人以下の組織を対象とした「HP Pro Security Edition」だ。

 日本HP 専務執行役員 パーソナルシステムズ事業統括の九嶋俊一氏は、「企業規模やセキュリティ対策の成熟度によって求められる機能は異なる。きめ細やかなラインアップを用意することで、それぞれのニーズに合ったソリューションが提供できるようになる」と、今回のラインアップ強化の背景について語った。

セキュリティソリューションの新ラインアップ

大規模組織向けセキュリティソリューション「HP Sure Click Enterprise」

 HP Sure Click Enterpriseは、SOC(Security Operation Center)を運用する大規模な組織を対象としたセキュリティソリューション。世界で最もセキュリティ意識の高い米国防総省やインターポールなどでも採用されているという。

HP Sure Click Enterprise

 同ソリューションは、エンドポイントを保護するにあたり、アプリケーションの隔離と封じ込めを行う。リアルタイムの脅威インテリジェンスをセキュリティ部門に提供することで、主要な侵入経路を完全に防御することが可能だ。

 また、タスクレベルの隔離と使い捨ての仮想マシンによるランタイム保護機能を搭載しており、メールの添付ファイルやダウンロードファイルに含まれる、マルウェアの可能性のあるプログラムを隔離環境にて安全に実行できる。隔離環境の中でファイルの保存や編集も可能だ。

 「隔離環境で感染が発生しても影響がないため、生産性が維持できるほか、脅威の分析も可能になっている」と九嶋氏は説明する。

 組織のポリシーによって詳細な設定が可能で、ほかのセキュリティシステムと統合もできる。拡張性も高く、55万台で展開した実績もあるという。管理環境はクラウド上に用意しているが、オンプレミスでの管理にも柔軟に対応する。

 HP Sure Click Enterpriseは、5月下旬の提供開始を予定している。

マネージド型セキュリティサービス「HP Proactive Security」

 HP Proactive Securityは、SOCを持たない企業に向けたマネージド型セキュリティサービスだ。九嶋氏は、「ゼロデイ攻撃の増加などにより、SOCを持たない企業でもセキュリティ対策の重要性を理解しているが、手を打てないケースが多い。そういった企業に対し、HPのセキュリティ専門家がモニタリングと管理を行う」と説明する。

 ディープラーニングと隔離技術でエンドポイントを保護し、保護状態はダッシュボードで可視化される。ダッシュボードでは、阻止した攻撃の情報などが確認できるようになっている。

 HP Proactive Securityは4月16日より提供開始しており、価格は1デバイスあたり1年間で8000円(税別)となっている。

HP Proactive Securityについて

デバイス搭載型の「HP Pro Security Edition」

 HP Pro Security Editionは、IT担当者のリソースが限られた組織に向けたソリューションで、デバイスのユーザーが個人で管理できるもの。HPの法人向けPCに有償で搭載する。

 HP Pro Security Editionには、ディープラーニングのAIベース保護ソリューション「HP Sure Sense Pro」と、ブラウザーやアプリケーションなどに向け隔離保護を提供する「HP Sure Click Pro」が含まれる。「すでに提供しているハードウェア搭載型のHP Sure Senseよりも多様なファイルに対応し、より多くのゼロデイ攻撃に対応できる」(九嶋氏)という。

 HP Pro Security Editionは、夏以降に販売する「HP Elite」および「HP Pro」シリーズの一部製品に搭載される予定だ。

HP Pro Security Editionについて

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 九嶋氏は、「脅威動向はここ数年で大きく変化し、ゼロデイ攻撃などにより侵入されることを前提としたセキュリティ対策が求められるようになった。そこで、プロアクティブな保護を実行するため、今回のようなソリューションを用意した。ディープラーニングを用いて防御機能を向上した上で、侵入した脅威の封じ込めも行うことで、マルウェアを動かして解析することもでき、次の施策につなげることが可能だ」と述べた。