ニュース

NEC、自社グループ基幹システムのSAP S/4HANAへの刷新とSAP HANAを活用したデジタル経営基盤の構築を実施

 日本電気株式会社(以下、NEC)は30日、デジタルトランスフォーメーション(DX)変革加速に向けて、同社グループの基幹システムを従来のSAP ERP(SAP ECC 6.0)から次世代ERPシステムであるSAP S/4HANAへ刷新するとともに、SAP HANAを活用したデジタル経営基盤(ビッグデータ基盤)を構築し、本番稼働を開始したと発表した。すでに海外10カ国14拠点に導入し、今後順次グループ各社に展開していく。

 NECでは、グループ会社であるアビームコンサルティングとの連携により、同社グループでの実績・ノウハウを生かしてSAPが提供するERPシステムを活用し、New Normal時代における社会や企業の課題を構想から実装・定着までEnd to Endで解決するERP領域の事業を強化していくとしている。

 NECグループは、経営のスピードアップと業務効率化を目的に、2010年から国内外のグループ会社にSAPのERPシステムを導入し、販売・経理・購買といった基幹系の業務プロセスの標準化や経営の見える化を進めてきた。しかし、これまでの基幹系領域を超え、ビジネスプロセス全体を見据えた迅速・柔軟な事業遂行や、社内外のあらゆるデータ分析に基づいたビジネス創造などの新しい経営ニーズへの対応が求められる中、これまでのERPシステムや会社・組織ごとに個別最適化された旧来の情報システムでは対応が困難な状況にあったという。

 こうした状況を受け、NECでは基幹システムのSAP S/4 HANAへの刷新を実施。AI、機械学習、データ分析などインテリジェント機能を備えるSAP S/4HANAにて刷新することで、ビジネスプロセス全体で様々なアプリケーションと連動し、DX化を推進していくとしている。

 アビームコンサルティングのサービスである「ABeam Cloud Conversion Express Factory for SAP S/4HANA」などを採用し、品質確保・効率化により実行計画を短期に策定した。膨大な工数を要していたテスト工程では、プロセスマイニングツール「Celonis」とインテリジェントオートメーションの「Blue Prism」を組み合わせた自動テスト方式「Digital Test」により、大幅な工数削減を実現した。

 また、今回の刷新ではテレワークによる働き方で、当初の計画どおりに既存業務への支障をきたさない品質での導入を実現し、かつ機能の棚卸しにより約40%の機能を削減したという。

 SAP HANAをベースとしたデジタル経営基盤の構築については、インメモリーデータベースであるSAP HANAを採用することで、目的別に用意していたデータベースを統合し、データ加工の工数を削減。鮮度と精度の高いデータを提供できる情報系プラットフォームを構築した。さらに、大量のデータの分散処理や管理が可能なソフトウェアであるCloudera Data Platformを採用することでデータプラットフォームを二層化し、効率的かつ拡張可能で、使いやすいデータ管理を実現した。

 これにより、ビジネスプロセス全体から上がる情報や企業内外のあらゆる情報をデジタル経営基盤に一元化し、グループ社員全員がデータ分析をすることにより経営と業務の高度化を図り、DX化を加速していく。NECでは、SAP S/4 HANAへ刷新した基幹システムとデジタル経営基盤を今後グループ各社に順次展開することで、ビジネスプロセス全体の周辺システム刷新に加えて、NECの持つAIなど最先端ICTを活用したDX化をさらに推し進めていくとしている。

 さらに、NECではアビームコンサルティングとの連携を強化し、社会や企業の課題を構想から実装・定着までのEnd to Endで解決するDX事業を加速していくと説明。今後、今回の自社基幹システムのSAP S/4HANAへの刷新とSAP HANAを活用したデジタル経営基盤構築の経験を生かして、SAPの次世代ERPシステムを活用したソリューションを外販していく。