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デル・テクノロジーズ 合併後の事業方針を説明「デルとEMCを融合させ変革に貢献するパートナーを目指す」
2020年9月14日 11:58
デル・テクノロジーズ株式会社は10日、メディア向けに事業方針説明会を開催した。
米国では2016年に、DellとEMCが合併してDell Technologiesが発足した。しかし、それぞれの日本法人はすぐに統合はせず、デルとEMCジャパンという別の組織として事業を展開しつつ、4年をかけて統合の準備を進めてきた。
2019年に両社の代表取締役社長を大塚俊彦氏が兼務する形で就任したことで、具体的な統合段階に入り、満を持して2020年8月1日に合併。デル・テクノロジーズ株式会社が誕生している。
新たに発足したデル・テクノロジーズでも代表取締役社長に就任した大塚氏は、会見冒頭、「Dell Technologiesのグローバルでの目的は、『人類の進化をけん引するテクノロジーを創出すること』だが、これに加えて日本では、お客さま、パートナー、市場、社会に対してテクノロジーを価値に換えて届けることがミッションであり、『お客さまの変革に貢献する真のパートナーを目指す』という目標を掲げている」と述べた。
統合と融合、2つのフェーズで合併を進める
Dell Technologiesのグローバルにおける概要として大塚氏は、2020年度の売り上げは約10兆円、社員数は180カ国に15万人と、テクノロジー企業としては最大級であることをアピール。また、2016年の合併からの3年でビジネス規模は約2倍に成長し、主要事業であるPC、サーバー、ストレージの市場におけるシェアも拡大しているという。
さらにこの成長を支える柱として、新しいテクノロジーを生み出すイノベーションに対するR&Dへの投資を年間約5000億円規模で継続していることや、顧客を第一に考えるカスタマーフォーカスの姿勢などを挙げてた。
国内事業の統合について大塚氏は、2019年8月までの取り組みを「統合フェーズ(Chapter 1)」と位置付け、「統合によるコスト削減というアプローチではなく、あくまでもお客さまに貢献するため、継続性を重視しつつ両社の強みを最大化してきた」と説明。両社の企業文化として「Customers」「Winning Together」「Innovation」「Results」「Integrity」を軸に共通化し、人事や福利厚生制度の統合、人材育成の強化、ブランドイメージの強化を図ってきたという。
その上で、市場カバレッジの拡大として営業・プリセールスの大幅増強と顧客窓口を一本化し、パートナーとの協業体制も拡大している。また、製品サポートはJapanサポートセンターにおいて24×7の体制を確立し、デジタル変革推進の基盤確立のためにコンサルティング組織を強化したという。
次いで2019年からの取り組みが「融合フェーズ(Chapter 2)」だ。Chapter 1で確立した土台を生かし、進化と革新を実現して、フルポテンシャルを追求するとのこと。2021年には新本社オフィスへとして東京・大手町の「Otemachi One タワー」に統合されることが予定されているほか、デル・テクノロジーズらしい新しい働き方を追求し、多様性を推進する企業文化の確立や、人材育成の進化などに取り組んでいくという。
さらに、営業体制の統合・変革、パートナーとの協業進化、End to Endサービスの実現、新しい価値提供の創出などを推し進めていくとした。
新しい時代を勝ち抜くには変革が必要
日本の国内市場では、多くの企業が新型コロナウイルス感染症に伴うさまざまな変化への対策に迫られている。大塚氏は「経済政策の後押しもあり、以前から多くの日本企業がDXの推進に取り組んできた。さまざまなテクノロジーの進化によって、新しい市場機会が同時並行的に進んでいるが、コロナ禍により待ったなしの状況になった」と前置き。
さらに「ウィズコロナの現状において急激に変化した経営環境への対応だけでなく、アフターコロナのニューノーマルな時代においても企業競争力をITによって強化する。以前からITに求められていたコスト削減、俊敏性や生産性の向上だけでなく、事業継続性を担保しながら、デジタルによる新しい収益源を確保するなどITがビジネスに直結するようになる」と述べた。
大塚氏は新しい時代を勝ち抜く方策として、重点的に取り組むIT変革の4つのテーマを挙げた。それが、「ITの競争力強化」「xFH(x From Home)の実現」「デジタル競争力の確立」「社会インフラの変革」だ。
このうち「ITの競争力強化」では、モダナイゼーションを加速し、自動化や自律化による属人生を排除した効率的なIT運用の実現を目指す。「xFHの実現」では、急速に導入が進んだテレワークなどの新しい働き方を、緊急的な対応ではなく定着させていくと共に、これまでテレワーク化が困難とされてきたプロフェッショナルサービスの業務にも対応できるようなITのテクノロジーで実現させていく。
「デジタル競争力の確立」は、新たなアプリケーションやデータ活用などITによって新たな収益源を確立することを目的としている。そして「社会インフラの変革」では、デジタルガバメント、リモートでの教育や医療、デジタルシティなどITを活用した新しい仕組みを実現していくという。
2030年を見据え、社会を支えるテクノロジーの開発に取り組む
続いて最高技術責任者(CTO)の黒田晴彦氏が、今後のデル・テクノロジーズにおけるテクノロジーの取り組みについて説明した。
大塚氏も前述したように、Dell Technologiesはグローバルにおいて、R&Dへ継続的に投資を行っている。その結果、Dell、EMC、VMwareの3社を合わせた米国での特許取得件数は16位(IEEEが特許内容に重み付けをした順位では2位)だという。
同社は「Realizing 2030」をテーマに、10年後の2030年を見据えて、社会を支えるテクノロジーの開発に取り組んでいる。5G/6G(第5/6世代移動体通信)、AI(人工知能)、仮想通貨、センシングとIoT、ブロックチェーン、モバイル/エッジコンピューティング、XR(クロスリアリティ)などのさまざまなテクノロジーを、「IT」「ワークフォース」「セキュリティ」「アプリケーション」の4つのトランスフォーメーションにつなげていくという。
また、黒田氏はウィズ/アフターコロナにおける対応について、「ウィズコロナでは、物理的接触を避けながらも競争力を維持・強化するためにデジタル化が加速したが、アフターコロナのニューノーマルで元に戻るのではなく、物理とデジタルを融合させることが重要になっていく。ニューノーマルにおいて、それが当たり前になるよう、お客さまを支援したい」と説明した。