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Dell EMC、2018年度は「顧客の変革を具現化する」

 デル株式会社とEMCジャパン株式会社は20日、Dell Technologiesのグループ企業として合同で2018年度の事業方針説明会を開催した。EMCジャパン 代表取締役社長の大塚俊彦氏は、2018年度の日本の戦略テーマとして「顧客の変革に貢献する真のパートナーになる」ことを挙げた。

EMCジャパン 代表取締役社長 大塚俊彦氏
2018年度の日本での戦略テーマ

 その戦略テーマのスローガンは「Make It Real」。ここでの「It」は変革を指し、Make It Realは変革を実現させることを意味する。これまで変革の重要性を説き、変革するよう呼びかけてきた両社の働きかけにより、顧客も変革に取り組みつつあるというが、2018年はそれをさらに加速させ、本格的に顧客の変革を具現化させていく構えだ。

 大塚氏は、「変革には4つのアジェンダがある」と語る。それは、「デジタルトランスフォーメーション」「ITトランスフォーメーション」「ワークフォーストランスフォーメーション」「セキュリティトランスフォーメーション」だ。この4つのトランスフォーメーションアジェンダをそれぞれ実現させていくという。

 各分野のトランスフォーメーションの内容については、デル 代表取締役社長の平手智行氏が解説。デジタルトランスフォーメーションについては、アーキテクチャがマイクロサービス中心になることや、クラウドネイティブなビジネスプロセス変革とアプリケーションプラットフォームが必要となること、さらには同社が提唱する分散コアアーキテクチャが重要になると述べた。

 平手氏は、分散コアアーキテクチャの重要性について、「未来型アプリケーションの60%はIoTで使われるとされているが、そのアーキテクチャは現在センサーなどのエッジとクラウドの2層型が中心。しかしエッジのデータ量は膨大で、随時データをクラウドに転送することが厳しくなる。分析結果をよりリアルタイムにエッジに返すためにも、クラウドとエッジの中間に分散コアを入れた3層構造のアーキテクチャで対応すべき」と説明している。

デル 代表取締役社長 平手智行氏
デジタルトランスフォーメーションでは「分散型コアアーキテクチャが重要」と平手氏

 また、ITトランスフォーメーションに向けては、データセンターのモダナイズやプロセスの自動化、オペレーションの変革などに取り組むべきだと平手氏。それぞれの分野において、Dell EMCはもちろん、VMwareやPivotalの製品およびサービスで対応できるとしている。

 ワークフォーストランスフォーメーションにおいては、さまざまなワークスタイルを把握し、7つのペルソナを作って適材適所のデバイスを提供する。また、セキュリティトランスフォーメーションでは、RSAによる独自のセキュリティオペレーションセンターと、Secureworksによるサービスとしてのセキュリティオペレーションセンターにて対応するとしている。

ITトランスフォーメーションに必要なこととは
ワークスタイルトランスフォーメーションに向け7つのペルソナを用意
セキュリティトランスフォーメーションにはRSAとSecureworksで対応

 こうして顧客の変革に貢献するとしているが、このほかにもEMCの大塚氏は2018年度の重点戦略として、

・マーケットカバレッジの拡大
・パートナーとの協業の拡大
・ライフサイクル全般にわたる顧客満足度の向上
・Dell EMCブランドの強化

を挙げている。

2018年度の日本での重点戦略

 マーケットカバレッジについては、業種別法人、大手法人、ミッドマーケットそれぞれの分野で強化を目指す。そのためにも営業体制は継続して増強する予定だ。また、パートナーについては「われわれの市場拡大を支援してくれる重要な存在」と大塚氏。幅広い両社の製品群を全般的に採用してもらうべく、「パートナー事業そのものの拡大と、パートナーを通じたDell EMCの市場拡大を推進する」としている。

 顧客満足度向上に向けては、2017年12月に設立したジャパンサポートセンターにて、購入後のテクニカルサポートを24時間365日体制で展開する。「顧客のパートナーとして保守運用まで確実にサポートし、ライフサイクル全般で品質を担保する」と大塚氏は述べている。

 さらに、Dell EMCのブランド強化に向けては「変革のパートナーとしてDell EMCが認知されるよう、日本発の先進的な取り組みを市場にも発信していきたい」と大塚氏は話す。日本発の取り組みに関する具体的な内容は「成果が出た段階であらためて伝えたい」として明言を避けたが、スマートシティやAI、ファシリティマネジメントなどの分野で先進的なプロジェクトを推進しているとした。

 説明会では、2017年度の実績も振り返った大塚氏。昨年度は2社の統合により、製品ポートフォリオが2倍に、カバレッジも2倍になることから、シェア倍増計画として2×2戦略を推進するとしていた。その結果、「全社で2けた成長を達成した。また、コンバージドインフラおよびハイパーコンバージドインフラ分野は対前年比成長率が4倍に、オールフラッシュは63%、サーバーは17%の成長率を達成した。パートナーによる売上も16%成長し、トランスフォーメーションコンサルティングも54%成長した」と成果をアピール。2018年度の新たな戦略により、Dell EMCがどこまで業績を高めることができるのか見守りたい。

2017年度の日本での業績