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NECら6社、共創型R&Dから新事業を創出する新会社「BIRD INITIATIVE株式会社」を設立
2025年までに6事業のカーブアウトを目指す
2020年9月10日 15:02
日本電気株式会社(以下、NEC)ら6社は10日、共創型R&Dから新事業を創出する新会社「BIRD INITIATIVE株式会社」(以下、BIRD)を設立することを発表した。会社設立日は9月2日で、10月1日から事業開始の予定。
代表取締役社長兼CEOには、NECの北瀬聖光氏が就任する。NEC、株式会社大林組、日本産業パートナーズ株式会社(JIP)、株式会社ジャパンインベストメントアドバイザー(JIA)、伊藤忠テクノソリューションズ株式会社(CTC)、東京大学協創プラットフォーム開発株式会社(東大IPC)の6社が出資し、資本金は6.4億円。
同日オンライン開催された記者会見において、北瀬氏は、R&Dといっても非営利組織ではなく事業会社であることや、異業種が集まってのジョイントベンチャーであることが特徴だと説明した。
なお北瀬氏によると、「BIRD」とは「Business Innovation powered by R&D」の略とのこと。
またNECの西原基夫氏(取締役執行役員常務兼CTO)は、BIRD設立の背景として、産業技術総合研究所(以下、産総研)の「冠ラボ」での、NECと産総研の共同研究を紹介。「こうした取り組みを、より汎用的に、より広く拡大するためにはどうすればいいか。これが日本の躍進のカギになるのではないか」を考えたと語った。
「日本には意欲のある優秀な研究者や技術者がたくさん存在する。しかし、企業や国の研究期間など、大きな組織の中に内在している。これを生かしてGAFAのような成果やインパクトを日本から起こすには、“潜在能力の解放”と“枠組みからの解放”が必要となる」(西原氏)
BIRDのビジネススキームは、顧客からの受託により、事業にしたいテーマの設定から、コンサルティング、プロトタイプ開発などを経て、事業としてカーブアウト(新規事業の独立)を生み出すというもの。カーブアウトする事業について、出資社への売却や、スタートアップ設立してエグシットすることによるキャピタルゲインによって、BIRDが収益を得る。
基礎研究自体はBIRD自身の事業スコープではなく、アカデミアや研究機関との連携によって、事業にできそうなシーズを見つけるという。また、事業化や正式製品化、システムインテグレートも、BIRDではなく各事業会社が担う。
事業目標としては、2025年までに6つの事業をカーブアウトする。すでにもとになる技術が2~3件あるという。
北瀬氏は、現在持つ技術として、NECと産総研との共同研究で培ったシミュレーションとAIの組み合わせを2つ挙げた。「リアルな世界をデジタルに再現するのではなく、デジタルでシミュレーションした世界でリアルに影響を与えるものだ」と氏は言う。
1つは「シミュレーション×機械学習AI」。シミュレーションで足りないデータを自動的に生成して補完することで意思決定を支援するものだ。「例えば、製造業における新製品のライン設計において、少量多品種のライン設計には多くの課題がある。それを圧倒的なスピードで解決する」(北瀬氏)。
もう1つは「シミュレーション×自動交渉AI」。集中制御ではなく、AIどうしの相談交渉により、別々の目的を持って動いているシステム間での利害を調整するものだ。「例えば、ドローンが飛び交っている世界では、もし人が乗っていれば合図して調整できるところを、無人ではそれができない。この技術によってそれを可能にする」(北瀬氏)としている。