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ソフトバンクとOktaが提携、デバイス管理とアイデンティティ管理を融合

 ソフトバンク株式会社とOkta Japan株式会社は16日、マルチテナント型マネージドサービスプロバイダー(MSP)の日本国内における2年間の独占契約を結んだと発表した。この契約の下、ソフトバンクは同社の法人向けデバイス管理サービス「ビジネス・コンシェル デバイスマネジメント(BCDM)」に、Oktaのアイデンティティ管理機能などを追加して提供する。

 ソフトバンク 法人プロダクト&事業戦略本部 統括部長の中野博徳氏は、「中堅中小企業でもデジタル化への取り組みが加速し、クラウド活用やリモートワークが定着しているが、SaaSの管理コストや情報漏えいリスクが課題となっている。その課題解決に向け、Oktaと独占契約を締結し、企業の安全なSaaS活用を支援する」と述べている。

ソフトバンク 法人プロダクト&事業戦略本部 統括部長 中野博徳氏

 BCDMは、現在約1万6000社にて、約240万のデバイスに導入されているサービスだ。マルチOSに対応し、ポリシーやアプリケーション配信時の状況確認などができる管理サイトを提供している。

 今回の提携により、BCDMにOktaのさまざまな機能が実装される。具体的な機能としては、デバイス証明書やワンタイムパスワード、生体認証などの多要素認証機能がある。私用デバイスからSaaSへのアクセスをデバイス証明書で制限したり、役職などでグループ分けした認証方式で設定したりと、強固なアクセス制御が可能だ。

BCDMにOktaのID管理機能を追加

 また、導入と運用も簡易で、BCDMの管理画面からデバイスやユーザー、認証ポリシーを一元管理できる。ライフサイクル管理も活用すれば、IDの登録や更新業務など、企業でのSaaS利用にかかる運用工数を大幅に削減することが可能という。

BCDM管理画面

 こうした機能により、「中堅中小企業のDXをセキュリティ面から推進する」と中野氏は語る。「デバイス管理とアイデンティティ管理を統合し、複数のSaaSのユーザーを一元管理することで、IT担当者が少ない中堅中小企業の管理コストが低減できる。また、私用デバイスのアクセスを制限できるため、シャドーITのリスク対策にも効果的だ。サポート体制も万全で、SBエンジニアリングによる導入支援サポートや、24時間365日のヘルプデスクサポートも用意している」(中野氏)。

 一部のSaaSに対するシングルサインオン機能や、デバイス証明書によるパスワードレス認証といった機能は、BCDMの基本料金(月額330円/ID)のみで追加費用なしに利用が可能だ。より高度な機能はオプションにて提供する。例えば、ライフサイクル管理は1 IDにつき月額1100円、多要素認証が月額550円といった具合だ(価格はいずれも税込)。新サービスの申し込みは、2月29日より受付開始する。

新サービスの料金

 マルチテナント型MSPでは、複数の顧客のテナントを管理しつつ、顧客が必要とするOktaの機能を代行して提供するため、「従来の提供方法よりも手軽にOktaのサービスが利用できる」と、Okta Japan 代表取締役社長の渡邉崇氏は話す。「BCDMはすでに基盤ができあがっており、さまざまな日本企業への導入実績もある。そのBCDMと連携することで、Oktaのサービスがオプションとして迅速に導入できる。また、機能を絞ることで安価な提供も可能となった」(渡邉氏)。

Okta Japan 代表取締役社長 渡邉崇氏
マルチテナント型MSPについて

 今回の提携により、Oktaは国内市場の成長の加速とサービスの対象市場の拡大を目指す。渡邉氏は、「Oktaは創業以来、中立であることにこだわっており、あらゆるテクノロジとうまくつながるよう開発を進めている。稼働率は99.99%以上で信頼性も高い。専業ベンダーとして、アイデンティティ管理のみに開発リソースを注いでおり、次々と新機能をリリースしている」と、同社の強みを強調、日本市場に対するコミットメントとして、「今後も継続的に日本への投資を続け、さらなる日本語対応も推進する。そして、これからも新機能やセキュリティレベルを向上するようなテクノロジを提供し続ける」と述べた。