ニュース

“New Normal”時代の新しい働き方をDXで支援――、NECが本社ビルでシステム実証を実施

顔認証などを利用した入退管理、マスク着用対応のレジレス決済など

 日本電気株式会社(以下、NEC)は13日、“New Normal”時代の新しい働き方をデジタルトランスフォーメーション(DX)で実現する、デジタルオフィスのプロジェクトを始動したと発表した。今回はその中で、New Normal時代に求められるオフィスの在り方を見据え、さまざまなシステム実証をNEC本社ビルに導入している。

 この実証では、生体認証による共通のDigital IDでさまざまなシステムをつなぎ、社員や顧客に対して安全かつ快適なサービスを実現する認証基盤を活用。New Normal時代に対応したオフィス環境の評価・検証を行うという。

正面玄関入り口などに2種類の入退管理ソリューションを導入

 具体的には、まず、顔認証用カメラやサーマルカメラを活用した2種類の入退管理ソリューションをショールーム入り口/正面玄関入り口に導入した。NEC Digital IDゲートレスエントランスは、マスクを着用した状態でも複数の人を同時に検出・照合し、入場ゲートや警備員によるセキュリティチェックで立ち止まることなく本人確認を行えるという。

 さらに、通行者の体表面温度を自動測定しており、感染症対策も同時に行うことも可能。これにより、オープンな雰囲気をつくりたいオフィスや施設のエントランスなどにおいて、安全性と運用の効率性を両立した入退管理を実現するとした。

NEC Digital IDゲートレスエントランス
体表面温度を自動測定し感染症対策を実施可能

 一方のNEC Digital ID入退場ゲートは、物理的なフラッパーゲートの設置や既存のセキュリティ環境との連携など、より厳格な入退管理の仕組みを実現する。

 なお、両ソリューションともにプライバシーに配慮し、社員個人の情報を守る仕組みとして、幾何学アバターを採用した。認証時に氏名や社員番号などを表示せず、個々の社員に割り振られた幾何学模様を表示することで、自身が正しく認証されていることを本人のみが確認できるとのこと。

NEC Digital ID 入退場ゲート
プライバシーに配慮し、幾何学アバターを採用している

社内売店ではレジレス決済、NEC Digital ID決済POSを採用

 社内売店には、マスク対応レジレス決済を導入した。店舗内に設置したカメラや映像認識技術などを組み合わせ、レジを通さず手に取った商品を自動で決済できる。マスク着用時でも顔認証で本人を照合可能なため、感染症対策としての安全性とスムーズな購買体験の両立を実現しているという。

 また、POS端末など既存の店舗システムともシームレスに連携するために、パターン認証と顔認証の2要素認証も利用でき、簡単かつセキュアに決済が可能となっている。今回の実証では、マスク着用時における本人確認や、給料天引き、クレジットカード支払いの2つの決済方法にも対応しているとのこと。

マスク対応レジレス決済を導入
NEC Digital ID決済POS

その他のシステム

 通路においてが、歩行者のマスク着用の有無を人物検知カメラで自動的に判定し、未着用の場合は本人に対してその場でアラート通知を行う仕組みも導入されている。これにより、人が集まりやすい場所や、厳重な安全管理が求められるイベントなどにおいて、マスク着用の徹底を実現する。

マスク着用検知

 また食堂やエレベーターホールなどに人の集まる施設については、混雑状況を映像解析技術で可視化し、自席のPCなどから、人数や混雑度などの状況をリアルタイムに確認可能にした。これにより、混雑分散による待ち時間の短縮や密状態の回避を実現するという。

 このほか、映像解析技術を活用し、指定した社員の作業場所をスマートフォンなどからフロアマップ上でリアルタイムに把握する機能や、業務エリアにおいては、顔認証を活用したロッカー、自動販売機、自動ドア、複合機、共有PC利用システムなども実現しているとのことだ。

 なおNECでは、これらの実証の成果・ノウハウを踏まえ、2020年度内をめどに順次、各ソリューションの提供を開始したい考えである。