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NECとD-Wave、量子コンピューティング領域で協業 製品・技術開発やマーケティングなどを共同で実施

 日本電気株式会社(以下、NEC)とカナダD-Wave Systems(以下、D-Wave)は18日、量子コンピューティング領域で協業すると発表した。NECはD-Waveに1000万米ドルを投資するほか、両社共同で、既存のコンピュータと量子コンピュータの組み合わせ利用を可能とするハイブリッド技術開発、量子コンピュータを用いたアプリケーション開発、量子コンピュータ活用を促進する共同マーケティング・販売活動などを行うとしている。

 量子コンピュータに関して、NECでは、チップの開発をはじめ、ソフトウェア、アプリケーション拡充を見据えて大学機関や企業と連携し、共同実証を通じた用途開発、技術開発を加速しているという。

 一方のD-Waveは、量子コンピューティングシステム、ソフトウェア、サービスを手掛けており、量子コンピュータを世界で初めて商用化したとのこと。現在は、ロジスティクス、AI、材料科学、創薬、サイバーセキュリティ、障害検出、財務モデリングなど、さまざまな問題に対する実用的な量子アプリケーションによって顧客に価値を提供しているという。

 今回の協業では、両社がそれぞれの強みを持ち寄って、量子コンピューティング領域における市場創出の加速を図る。具体的には、まず、D-Waveの量子アニーリングマシンと、NECのスーパーコンピュータをはじめとするコンピューティング技術を組み合わせ、より大規模な組み合わせ最適化問題を高速に解けるハイブリッドサービスを開発する。なお開発されたサービスは、D-WaveのLeap量子クラウドサービスに組み入れて両社の顧客に提供される予定。

 また、Leap量子クラウドサービスと新たに共同開発するハイブリッドサービスを活用し、輸送から材料科学、AI等の分野で実用的な量子アプリケーションを共同で開発するという。さらに、NECが想定する金融・製造・流通など6つの市場に対して、D-Waveが持つ200以上の顧客事例を適用し、顧客に最適なソリューションを提供するほか、LEAP量子クラウドサービスに、NECのスーパーコンピュータを組み込み利用可能にすることも検討する。

 あわせて両社は、企業がハイブリッド量子アプリケーションの構築を開始できるよう、講演、セミナー、プロモーション、事例紹介、トレーニング、量子アニーリングプログラミングイベントなどの共同マーケティング活動を実施。加えて、共同で市場開拓プログラムを行い、量子コンピューティングの日本企業への導入促進を図るとしている。