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エンタープライズアーキテクチャのラストワンマイルに――、UiPathがRPAの計画/測定を支援する新製品

 UiPath株式会社は27日、同社が提供するRPAプラットフォームを構成する新たなソリューションとして「UiPath ProcessGold」「UiPath Explorer EXPERT」「UiPath Insights」の国内提供を開始した。

 UiPath 取締役 CRO(Chief Revenue Officer)の鈴木正敏氏は「UiPathが提供するRPAプラットフォームは“A Robot for Everyone”、つまり、高度なスキルを身につけることなく、すべてのオフィスワーカーが使えるテクノロジーを目指している。AIや自動化ツールで自動化領域を拡大する“ハイパーオートメーション”でRPAの適用領域を拡大し、エンタープライズアーキテクチャのラストワンマイルとして存在価値を高めていきたい」と語り、国内市場でも引き続きRPAプラットフォームを拡充していく姿勢を示している。

UiPathのコーポレートビジョンは「A Robot for Every Person」、ITスキルの有無に限らず、ハイパーオートメーションによって働く人々の能力を拡張させていくことを目指す

定量的な事実に基づいて計画/実行し、可視化作業によりRPAのコア機能をサポート

 UiPathでは、RPA製品を「計画」「開発」「管理」「実行」「協働」「測定」という6つのフェーズに沿って展開しており、それぞれのフェーズを支援していくソリューションを提供することで、企業におけるRPA適用領域の、段階的な拡張を支援する。

 同社ではこの概念と実行方法を「ハイパーオートメーション」と呼んでおり、AI/マシンラーニングや自動化ツールなどを組み合わせることで、よりRPAのケイパビリティを高め、エンドツーエンドで自動化する領域を拡大中だ。

 今回発表された3製品に関しては、「UiPath ProcessGold」「UiPath Explorer EXPERT」が計画フェーズを、「UiPath Insights」が測定フェーズをそれぞれ支援する製品となる。

UiPathのRPAプラットフォームは計画、開発、管理、実行、協働、測定の6つのフェーズに分かれている。コア部分はロボットの開発、管理、実行を担当するフェーズで、今回はコアを支援する計画および測定フェーズに含まれる製品のリリースとなる

 UiPathでは、ハイパーオートメーションにおける6つのフェーズのうち、開発/管理/実行の3フェーズに含まれる製品をRPAにおけるコアソリューションと位置づけているが、計画/測定フェーズに含まれる今回の3製品は「定量的な事実に基づいて計画/実行をし、可視化作業を通してRPAのコア機能をサポートする」(UiPath ソリューション本部 エバンジェリストの夏目健氏)というロールを負う。

UiPath ソリューション本部 エバンジェリストの夏目健氏

 なお、それぞれの製品の特徴は以下の通り。

UiPath ProcessGold

SAPやSalesforce、Oracleなどのシステムログを取得し、解析/可視化して自動でフロー図を作成できるプロセスマイニングツール。ログという定量的なデータに基づき、自動化でより大きな効果を得られる業務を業務プロセス全体の中から選定する。

ヒアリングからマニュアルで作成する従来の業務フローに比べて非効率な作業の特定が容易で、企業パフォーマンスの改善につながる自動化/業務フローを実現しやすく、さらに継続して利用することでRPA化対象となる業務が発見しやすくなる。

UiPath ProcessGoldは自動化すべき業務フローをシステムのログの中から可視化して見つけ出すマイニングツール。自動化による効果の大きい業務を優先的に絞り込むことができる
UiPath Explorer EXPERT

現場業務の可視化を行うことで、RPAの開発フェーズを支援するツール。業務担当者が行う手作業の操作をレコード機能で記録(スクリーンショット含む)し、業務フロー図を自動生成する。コメントなども追記可能。ユーザーが作業をするだけで業務手順書が作成できるため、開発者は現場の業務を容易に把握できるようになる。

業務ユーザーの作業を記録し、その記録をもとに業務フロー図を自動で作成するUiPath Explorer EXPERT。業務手順書がかんたんに作成できるだけでなく、開発メンバーが現場の業務を把握しやすくなる
UiPath Insights

管理フェーズ製品「UiPath Orchestrator」のアドオンとして機能するレポーティングツール。UiPathプラットフォーム全体の稼働に関するデータを長期間に渡って記録し、そのトレンドを視覚化、ビジネス上必要なKPIの設定や削減されるべき作業時間を把握するカスタムダッシュボードの作成をサポートする。

ビジネスゴールの定義/追跡、ビジネスとITの相関関係、予測/傾向/異常の検出などの情報を共有しやすくなり、RPA運用における管理能力が強化される。

Orchestratorのアドオンとして機能するレポーティングツールのUiPath Insightsは、RPAプラットフォームの稼働状況を可視化し、それらの情報を集約したダッシュボードを作成できる

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 「UiPathのビジネスはこの3年間で本格化してきたが、エンタープライズレベルで使えるレベルを目指して成長を続けてきたことで、2019年に国内外での採用が飛躍的に伸びた。特にAIとRPAの相性の良さを前面に出したことで、“業務のオートメーション化”と“業務に使えるAI”の両方から訴求できたと思っている」――。

 2019年12月にUiPathのCROに就任した鈴木氏は、RPA市場におけるUiPathの優位性についてこう語る。

UiPath 取締役 CROの鈴木正敏氏

 拡大傾向にあるRPA市場の中でもUiPathはグローバル/日本ともにずぬけた成長を続けており、GartnerやForresterなど大手リサーチ企業から高い評価をトップリーダーとしての評価を得ているほか、国内においてもRPA製品の売上/浸透率で1位となっている。2019年には国内におけるUiPath採用企業の数が1500社となり、「(エンタープライズIT企業として)一定の規模に達した」(鈴木氏)といえるほどの実績を上げている。

拡大を続けるRPA市場の中でもUiPathの成長速度は速く、国内外で高いシェアを誇っている

 前述の通り、UiPathのRPAプラットフォームは、ひとつの製品ですべての業務に対応するのではなく、自動化のフェーズを6つに分け、それぞれをつなぎ合わせて実現している点が大きな特徴となっている。そのため既存の基幹システムなどとも連携しやすく、環境の変化に柔軟に対応できるため、企業の成長に応じたRPAの段階的な導入が可能だ。

 さらにRPA×AIの相乗効果をうまく製品に取り込んでおり、例えば今回発表されたProcessGoldにおける“自動化すべきプロセスの選定”もAIを実装した機能である。AIを目に見える形で業務に織り込むことで、テクノロジーのハードルを低くしている点も、一般の業務ユーザーから支持されているポイントだろう。

 「RPAとは人に寄り添うテクノロジー、デジタル時代のテクノロジー、そして今身につけておくべきテクノロジー。単にソフトウェアロボットにPC作業を代行させるだけの存在ではなく、“A Robot for Every Person”を実現し、ロボットを使うことで働く人々能力を拡張させていきたい」と鈴木氏。

 UiPathでは、ハイパーオートメーションなRPAでアジャイルな拡張を続けながら、今後もRPAのリーディングカンパニーとして市場全体をけん引することを目指す。