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“事務機屋”として中小企業のDXを支えていく――、コニカミノルタが「Workplace Hub」ポートフォリオを強化

 コニカミノルタジャパン株式会社は28日、同社が展開する複合機型のITプラットフォーム「Workplace Hub」ポートフォリオ強化を発表した。

 国内中小企業を対象に、Windowsベースの複合機一体型デバイス「Workplace Hub Smart」を5月から発売するほか、セキュリティソリューションに強いJBサービスと提携し、Workplace Hubのセキュリティ運用監視を1月28日から、Workplace Hub上で稼働する専用アプリケーションとしてアステリアの「ASTERIA Warp Core」を4月から、それぞれ提供を開始する。

5月から発売が開始される、Windows Serverを仮想マシンとして実装した「Workplace Hub Smart」(右)。2019年から提供を開始している、Windows搭載のエントリーモデル(中)を複合機内部に組み込んでいる。Windowsユーザーが多い国内市場を考慮したモデルだ

 コニカミノルタ 執行役およびコニカミノルタジャパン 取締役副社長 情報機器事業管掌 大須賀健氏は「われわれはITベンダーやSIerになるつもりはない。これまで“事務機屋”として培ってきたノウハウをもとに、日本の中小企業の必要不可欠な戦略パートナーとして寄り添っていく」と語り、国内中小企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)実現を積極的に支援していく姿勢を見せている。

コニカミノルタ 執行役およびコニカミノルタジャパン 取締役副社長 情報機器事業管掌 大須賀健氏

国内中小企業を意識した新製品

 コニカミノルタがグローバルで展開する「Workplace Hubシリーズ」は、2017年3月に最初の構想が発表された複合機一体型のオールインワンITソリューション。ITにコストや人材を割り当てることが難しい中小企業をメインターゲットに、複合機を起点にしたワークフロー支援とセキュリティ強化にフォーカスしており、欧米ではWorkplace Hubを基軸にしたリカーリングサービスモデルも順調だ。

 国内では2019年4月から本格展開を開始。海外市場では提供していないWindowsベースのタワー型マシン「Workplace Hub Entry」を用意するなど、DXへの取り組みが遅れがちな国内中小企業を意識した販売戦略を取ってきた。

 今回新たに発表されたWorkplace Hub Smartは、その路線をさらに強化したモデルで、複合機とEntryを統合し、本体内部に3つのWindows仮想マシンを搭載、ユーザーがオンプレミスで稼働していた個別アプリケーションをWorkplace Hub Smart上で運用できるようにしている。

 また、以前からWorkplace Hub上で提供されているクラウドレディなアプリケーション群「Workplace Hub Platform Ready」もシームレスに利用可能だ。保守に関しても既存のシリーズと同様に、コニカミノルタジャパンによるワンストップサポートを受けられる。

Workplace Hub Smartは複合機1台分のスペースでオンプレミスとクラウドのアプリケーションを利用可能。ほかの複合機データの集約でき、サポートはコニカミノルタジャパンからワンストップで受けることができる。アップデートやバックアップ、セキュリティなどもマネージドサービスとして提供される

 さらに、Workplace Hubシリーズの大きな特徴のひとつであるセキュリティに関してもアップデートが行われており、セキュリティソリューションに定評があるJBサービスと提携、Workplace Hubの運用監視に特化したマネージドセキュリティサービスの提供を開始する。

 このサービスでは、コニカミノルタジャパンがネットワークを包括的に防御するUTM(Unified Threat Management)の設計/設定/設置を、JBサービスがその保守/運用をコニカミノルタジャパンと協議しながら行っていく。また今春からは、24時間/365日体制で通信の監視/分析を行うSOCサービスをオプションとして提供するほか、Workplace Hubのエンドポイントセキュリティサービスも提供していく予定だ。

「セキュリティの担保はプロフェッショナルに任せたい」(大須賀氏)として、新たにJBサービスと提携し、Workplace Hubセキュリティサービスをマネージドで提供、オプションでSOCサービスも用意する

 もうひとつの大きなアップデートが、Workplace Hub上で動作するアプリケーション群「Workplace Hub Platform Ready」の7つ目のアプリケーションとして、アステリアのミドルウェア「ASTERIA Warp」をWorkplace Hub専用にカスタマイズした「ASTERIA Warp Core Workplace Hub Edition」が、サブスクリプション提供されることだ。

 ASTERIA Warpは国内データ連携市場でトップシェアをもつ製品だが、特に中小企業では表計算作成業務(データの移管や複数データとの融合作業など)での利用が多い。コニカミノルタジャパンはこうした中小企業のニーズから、属人性の高い表計算業務(メール添付ファイルからの項目/数値の読み取り、集計表作成、週次/月次レポート作成など)を自動化/効率化することにフォーカスした独自エディションをASTERIA Warp Coreをベースに開発。ユーザー数にかかわらず月額3万円から利用できるサブスクリプションサービスとして、Workplace Hub上で提供する。

 また、コニカミノルタジャパンによるヒアリングをもとにした表計算ワークフローの開発/設計サービスも利用可能(別料金)だ。

Workplace Hub専用の7つ目のレディアプリケーションとして「ASTERIAの Warp Core」が登場。表計算業務の自動化を求める中小企業のニーズに応えたもので、月額3万円のサブスクリプションで提供される

国内ユーザーのIT負荷を可能な限り軽減したい

 「いままで国内で数百社に営業をかけてきたが、正直、Workplace Hubのリードはやや長いということを実感している。Linuxサーバーを搭載したモデルが順調な欧米市場とは明らかに異なる。何より、日本のユーザーはMFPだけは最新のモデルであることを望んでいる。今回発表したWorkplace Hub Smartはそうした国内固有の事情を取り入れた製品」――。大須賀氏は、国内の中小企業市場でIT製品を展開する難しさをグローバルのビジネスと比較しながらこう語っている。

 コニカミノルタは現在、「Intelligent Connected Workplace」というコンセプトのもと、中小企業における複合機やWorkplace Hubを起点にしたDXの加速を打ち出しており、グローバルでワークプレイスの改善をうたっている。

 すでに海外では複数台の複合機をWorkplace Hubがホストし、文字通りワークプレイスの“ハブ”として機能しているケースや、リカーリングサービスモデルの積極的な活用を通したIT初期投資の抑制、POSデータやCADデータといった機密性の高いデータの集約/分析基盤として活用されているケースが増えている。しかし国内市場においては、残念ながらまだそのレベルには達していないのが実情だ。

 Workplace Hub Smartをはじめとする今回の一連のアップデートは、そうした国内中小企業に対する、“事務機屋”としてのコニカミノルタからのメッセージといえる。

 中小企業にはITスキルをもつ人材が不足しており、IT予算も限られているというのはよく言われることだが、「どんな小さい企業であっても、オフィスに必ず1台はある複合機」(大須賀氏)をDXへの起点にできるよう、Windowsや表計算業務に特化したり、ユーザー側で運用する必要のないセキュリティマネージドサービスを提供したりするなど、国内ユーザーのITに対するさまざまな負荷を、可能な限り軽減しようとしていることがうかがえる。

 加えて、4月からは働き方改革関連法の適用により、中小企業であっても抜本的な働き方改革を推進する必要が迫っており、IT人材の不足を補完するツールとして、オフィスに不可欠な複合機を統合したWorkplace Hub Smartは、中小企業でも導入を検討しやすい存在といえる。

 「大手のIT企業やSIerと競争する気はない。コニカミノルタはメーカーであり、長年、中小のお客さまに寄り添ってきた。大手のSIerが見向きもしないような小さなニーズを拾い、ワンストップで完結させられることがわれわれの強み。今回はそこにプロセスのデジタル化のニーズを乗せてきた。予想としては(国内のWorkplace Hub販売で)21%くらいの成長を見込んでいる」と大須賀氏。

 “事務機屋”として、国内の中小企業ユーザーのDXを独自モデルとワークフローのデジタル化で引き続き支援していく。