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コニカミノルタ、Workplace HubでIoT事業への本気度を国内でもアピール
2017年4月20日 12:51
コニカミノルタは19日、オフィスのITインフラを統合するエッジ型IoTプラットフォーム「Workplace Hub」を日本国内でも披露した。同プラットフォームは、コニカミノルタが3月23日にドイツ・ベルリンで開催したイベントにてグローバル展開を表明していたもので、同社のIoT事業のベースとなる。
Workplace Hubは、コニカミノルタの複合機にリアルタイム処理が可能なエッジデバイスを組み込み、デバイスを通じてインフラ管理やグループワークが可能になるというもの。2017年秋の発売を予定しており、第一弾として複合機組み込み型のWorkplace Hubと、一般的なサーバーラックに搭載可能な「Workplace Edge」が市場投入される。将来的にはスタンドアロンタイプのWorkplace Edgeや、スピーカーとマイクが組み込まれた小型デバイス「Workplace Spoke」も登場する予定だ。
コニカミノルタ 代表執行役社長の山名昌衛氏によると、同社は今後3~5年かけてWorkplace Hubを完成させていく考えで、同プラットフォームが「市場のゲームチェンジャーになる」と主張する。「Workplace Hubは、IoT時代にふさわしい価値を提供する。企業の生産性向上に結びつくことはもちろん、セキュリティや自動制御などの付加価値を提供し、ワークスタイルの変革によって創造性も高まる。顧客のビジネストランスフォーメーションが実現するものだ」と、山名氏は同プラットフォームの価値を説明した。
IoT事業は、コニカミノルタにとって新たに市場参入する分野で、「コニカミノルタ自身、変革しなくてはならないと感じて新事業を立ち上げた」と山名氏は明かす。ただし、同氏によると「この事業は顧客の変革を支援するもの。顧客の変革が実現することで、われわれの事業が成功する」のだという。
同分野での勝算について山名氏は、「コニカミノルタには、材料や画像、光学、微細加工などの分野で創業以来培ってきたコア技術がある。また、これまでの複合機ビジネスで顧客基盤も世界で200万社となっており、顧客のニーズや課題を長年にわたって理解してきている。さらにここ数年は、IoT事業の開始に向け世界でさまざまな企業を買収しており、買収企業のソリューションも組み合わせて提供していく」と語る。
コニカミノルタ オフィス事業本部 WPH事業部長の高山典久氏は、Workplace Hubの利用シーンとして、「中小企業では、ITの重要性を認識しているものの導入できていない企業もまだ多い。こうした企業には、IT管理からサービスまでをワンストップで提供する。また、中堅企業では、帳票処理などの定型業務を人工知能で自動化し、作業工数の削減や品質の向上、そして経営判断の迅速化にまで結びつけてもらいたい。さらにWorkplace Hubは大企業でも利用可能で、リモートオフィスと接続してどこからでもコラボレーションできるような環境が構築できる」と説明した。
Workplace Hubを提供するにあたり、コニカミノルタではさまざまなパートナーシップを結んでおり、今回の発表会にはシスコシステムズ、日本ヒューレット・パッカード、日本マイクロソフト、SAPジャパンの幹部らも登壇、Workplace Hubの普及促進を支援する姿勢を示した。シスコシステムズとは、コラボレーション、セキュリティ、フォグコンピューティングという3分野での親和性を確保するほか、日本ヒューレット・パッカードとはハードウェアの開発で協力体制を敷く。日本マイクロソフトとはOffice 365、Dynaimcs、Azureなどのクラウドサービスと連携し、SAPジャパンとは業務ソリューションや同社のIoTポートフォリオLeonardとの連携を進めるという。
販売目標について問われた山名氏は、「現在はまだ市場予測の段階で、各国の代表的な顧客先にコンセプトを持ち込んで検証しているところだ。検証の中で価格帯も検討し、事業のスケール感をシミュレーションしていきたい」としている。ただし、山名氏が示した資料には、世界の市場規模としてオフィスプリンティング分野が10兆円である一方、今回のWorkplace Hubで目指すスマートワークプレイスやビジネスアナリティクスなどの分野は50兆円以上とあり、より大規模な市場を狙っていることだけは間違いない。