ニュース

日本マイクロソフトの吉田新社長が就任会見、「日本企業の変革支援をさらに進める」とアピール

日本マイクロソフト 代表取締役社長の吉田仁志氏

 日本マイクロソフト株式会社は2日、10月1日付で代表取締役社長に就任した吉田仁志氏の就任会見を行った。

 会見には吉田氏とともに、前社長の平野拓也氏、吉田氏の上司になる米Microsoft アジア プレジデントであるラルフ・ハウプター氏も同席。新社長として吉田氏を選んだ理由について、平野氏は「日本の社会変革にコミットできる人を選んだ」と説明している。

日本マイクロソフトの前社長、平野拓也氏。現在は米Microsoft バイスプレジデント グローバル システム インテグレーター ビジネス担当と、日本マイクロソフトの特別顧問を務めている

 吉田氏自身も、「日本を変革することを実現できる力を持った数少ない企業がマイクロソフト。平野さんが非常に強いマネジメントチームを作ってくれた。昨日、社内の各フロアを回ったが、社員みんなの目がキラキラしているのが印象的だった。お客さま、日本企業のお役に立てるよう努力したい」と話した。

発表済みの2020年度事業方針は踏襲

 日本マイクロソフトは、2019年7月に新年度がスタートし、新たな事業方針等は発表されたものの、平野氏は9月1日付で米国本社のバイスプレジデント グローバル システム インテグレーター ビジネス担当に就任しており。新年度開始早々、社長不在となっていた。

 そこから遅れること1カ月、ついに10月1日付で吉田氏が新社長に就任することになったが、その理由として吉田氏は、「つい一昨日(2019年9月30日)まで、日本ヒューレット・パッカード株式会社の代表取締役 社長執行役員だったこともあり、昨日まで発表するわけにはいかなかった」と説明した。

 新たに日本マイクロソフトの代表取締役社長に就任したが、すでに平野氏が発表していた、2020年度(2020年6月期)の事業方針は変更しない。「内容についてはある程度聞いているし、内容についてはきちんと理解している」と明言した。

 なお、自分自身の社長としてのカラーについては「それはやっていく中で出てくるものであり、トップの役割とは環境を用意していくことだと思っている。トップの力とはすなわり社員の力であり、それ以上でも、それ以下でもない」とし、社員が企業を作るベースになると強調している。

「日本企業を変革していく」ことなどをあらためて強調

 今回、あらためて会見で強調されたのが、「日本企業を変革していく」ことと、それを実現するために「日本マイクロソフトおよびユーザー側の技術を向上させていきたい」ということの2つだ。

 日本企業の変革については、「なかなか変革が進まない日本を変えて行く突破口となるのが“ビジネス成果”。過去のビジネスモデルが通用しないことはよくある。その際にどう組織をトランスフォームすることで変化が生まれ、成果が上がっていくのかが伝わると、経営層の決断は早い。変化を実現するために経営層にどう変化していくのか、テクノロジーだけでなく、ビジネスがどう変化していくかを伝えていくことが突破口につながるのではないか」(吉田氏)との考え方を示し、デジタルトランスフォーメーション(DX)によるビジネス面でのメリットをきちんと経営層に伝えていくことが必要だとアピールした。

 テクノロジーについては、Microsoft アジアプレジデントのハウプター氏が、「この1年、Microsoftが全世界的に取り組んできたが、社員の技術力を伸ばすこと。その先に、お客さまやパートナー企業に対し、トレーニングによって現場のスキル不足を補うというミッションがある。AI時代の技術トレーニングを10万人に実施している」と言及。トレーニングを含めて強化しているとアピールした。

米Microsoft アジア プレジデントのラルフ・ハウプター氏

 吉田氏も会見終了後に、「これまであまりアピールはしてこなかったが、自分はもともと技術者であり、UNIXを日本に最初に持ってきた経験もある」とし、技術者としてのプロフィールが現在の仕事のベースとなっていることを明らかにした。

 今後の日本マイクロソフトの目標としては、「いろいろな尺度があるが、日本マイクロソフトを世界ナンバーワンにしていきたい。成功体験を持っている企業は強い。私自身は数字をきちんと積み上げながら、企業経営を進めるタイプだと思うが、エンジョイしながら強い日本マイクロソフトを実現したい」と述べている。

左から、日本マイクロソフト 前社長の平野氏、同社 新社長の吉田氏、米Microsoft アジア プレジデントのハウプター氏