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NEC、金融サービスにおける本人確認業務をオンライン上で実現する「Digital KYC」を強化

 日本電気株式会社(以下、NEC)は2日、金融サービスにおける本人確認(以下、KYC)業務をオンライン上で実現する本人確認サービス「Digital KYC」を強化し、金融機関やFinTech事業者向けに販売活動を開始した。

 NECでは、2018年11月に改正された犯罪収益移転防止法施行規則(以下 改正犯収法)により、金融機関やFinTech事業者などが提供する金融サービスにおいて、オンラインで本人確認の申請を完結できる新たな方法が追加となり、ICTを活用した新たな金融サービスが創出されていると説明。一方、高度化・巧妙化する不正利用を防ぐため、利用者のユーザビリティ向上のみならず、セキュリティ対策との両立を実現するための仕組みがさらに重要になっているとしている。

 こうした状況を受け、NECでは顔認証技術を活用してQRコード決済時における高額取引のセキュリティ向上を実現する機能や、NFC搭載のiPhone/Android端末を用いた改正犯収法に基づく本人確認書類のICチップ読取機能、AI技術を取り入れたOCRによる券面情報の読取機能などを強化した、本人確認ソフトウェアキット「Digital KYC SDK」を、2019年度中に提供開始する。

 Digital KYC SDKは、NECの生体認証「Bio-IDiom」の中核技術で、高い認証制度を誇る顔認証AIエンジン「NeoFace」を採用するとともに、生体情報を利用者の端末内のみで管理する国際標準規格「FIDO」に準拠し、QRコード決済時における高額取引のセキュリティ対策とユーザビリティを両立する仕組みを提供する。

 具体的には、あらかじめ利用者がサービス利用開始時に本人の顔を登録することで、店舗などでの決済時にスマートフォンの内蔵カメラに顔を向けるだけで顔認証による本人確認が行われ、画面上に登録した本人の顔画像が表示される。QRコード決済を行う際、店員が利用者のスマートフォンに表示された本人の顔画像を確認した後に決済用のQRコードが表示されるため、厳格な本人確認によるQRコード決済が可能となる。

 また、運転免許証やマイナンバーカードなどの本人確認書類に搭載されたICチップをスマートフォンで読み取り、改正犯収法に基づく本人確認を行なう機能を新たに追加。最新のiOS 13に対応するなど、NFC搭載のiPhoneやAndroid端末などのスマートフォンを用いて、ICチップから利用者の氏名、住所、生年月日および写真などの情報を読み取ることで、簡単で確実な本人確認が可能となる。

 さらに、東京大学発のAIベンチャー企業であるArithmer株式会社のAI技術を組み合わせたOCRを搭載し、本人確認書類の券面に記載されている本人特定事項(氏名、住所、生年月日など)の読取機能を新たに追加した。これにより、スマートフォンを用いて本人確認書類の券面を撮影することで、端末内でリアルタイムかつセキュアにOCR処理を行い、利用者の入力を支援することが可能となる。

 AI技術を用いて本人確認書類の特徴分析を行い、券面の表裏判定を行う機能も新たに追加。金融サービス利用者がスマートフォンのカメラで本人確認書類を撮影することで、AIが手続きに必要な本人確認書類かどうかを自動で分析できる。また、金融機関やFinTech事業者が、改正犯収法に基づいて本人確認書類の厚みなどの特徴を確認する際の業務を効率化することが可能となる。

 NECでは、今後もDigital KYCの機能強化として、本人確認業務のBPOサービスやDigital KYCサーバーにおける本人確認書類の照合サービスの提供に向けて取り組んでいくとしている。