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SAP、パートナーサクセスプログラムを提供開始 実践型ワークショップなどでパートナー支援を強化

 SAPジャパン株式会社は2日、デジタルエコシステム戦略に関する説明会を開催、パートナー支援策の一環として「パートナーサクセスプログラム」を同日より提供すると発表した。

 SAPジャパン バイスプレジデント チーフトランスフォーメーションオフィサー 兼 デジタルエコシステム統括本部長の大我猛氏は、グローバルでSAPがIDCと共同で実施した調査から、「SAPのパートナーエコノミーは現在グローバルで1000億ドルの市場規模。これが2024年には2倍の2000億ドルにまで成長する。一方日本では、現在の市場規模が7000億円、2024年には1兆4000億円になると予測している」と述べ、パートナー企業とのエコシステムの重要性を強調した。

SAPジャパン バイスプレジデント チーフトランスフォーメーションオフィサー 兼 デジタルエコシステム統括本部長 大我猛氏

 パートナーサクセスプログラムは、事業計画からデリバリーに至るまでの各プロセスをエンドツーエンドでサポートするもので、事業計画の作成や人材採用、研修、実践型ワークショップなどの各方面からパートナーを支援。「既存のパートナーの人員拡大をサポートすると共に、新規パートナーの参入障壁を下げることが目的だ」(大我氏)という。

 具体的には、市場ニーズを見極めながら事業計画の作成を支援することに加え、パートナー同士のビジネスマッチングを強化する。また、SAP以外のパッケージに携わる技術者やコンサルタント、システムエンジニアが、SAPのエンジニアに移行できるよう支援するほか、学生に対してもSAPの訴求活動を進める。

パートナーサクセスプログラム

 人材育成面では、新たに実践型のワークショップを提供する。これには、アプリケーションコンサルタントに向けたケーススタディワークショップと、テクニカルコンサルタントに向けた機能キャッチアップワークショップを用意する。

 例えば、アプリケーションコンサルタント向けのワークショップの場合、擬似的なプロジェクトを立ち上げ、プロジェクト配属前の予行演習を実施。その上で、3日間のコースにて架空の会社の要件定義に従ってパラメーターを最初から設定する。具体的には、1日目にプロジェクトチームを結成し、プロセス要件を分析、企業構造を定義し、マスターデータのチェックやビジネスプロセスとプロトタイプの文書化に取り掛かる。2日目は、ビジネスプロセスを定義し、プロトタイプを作成する。3日目にコンサルタントが実プロジェクトの事例を紹介するといった具合だ。

アプリケーションコンサルタント向けのケーススタディワークショップ

 SAPジャパン 常務執行役員 デジタルビジネスサービス事業本部長の工藤晶氏は、このワークショップについて、「これまでのように受身的なトレーニングではなく、SAPのエキスパートと共に能動的にプロジェクトを進めるワークショップだ」と説明する。

SAPジャパン 常務執行役員 デジタルビジネスサービス事業本部長の工藤晶氏

 また、実際のプロジェクトにおいても、工藤氏率いるデジタルビジネスサービス部門でパートナー主導のプロジェクトをサポート。「パートナー主導のプロジェクトの中で、SAPが手がけた方が効率良く価値が高まる部分を、エキスパートサービスとして提供する」(工藤氏)としている。

Intelligent Enterpriseの提案を加速

 このほかにも大我氏は、パートナーエコノミーの発展に向け、パートナーによるIntelligent Enterpriseの提案を加速させること、そしてSAPの異業種コミュニティ「Business Innovators Newtork」をより活性化させることに注力するとした。

SAPのパートナーエコノミー市場は今後5年で2倍に

 Intelligent Enterpriseとは、企業活動のインテリジェント化を進め、従業員がより付加価値の高い仕事にシフトできるよう、AIや機械学習、IoTなどの最新テクノロジをビジネススイートの中に盛り込んでいくというコンセプトだ。このコンセプトの実現に向け、パートナーのあり方も変化すると大我氏は述べ、「パートナーの種別は、今後SIやVARといった固定的な役割から多様化していく。また、価値の提供方法も、再販や導入のみならず、パートナーの強みを備えたアセットとして提供していくことになる」と説明する。

 パートナーによるIntelligent Enterpriseの提案を加速させるため、SAPではこれまで個別に運営していたSAP S/4 HANAパートナーコンソーシアムとSAP Leonardoパートナーコンソーシアムを改組し、Intelligent Enterpriseパートナーコンソーシアムとして運営する。大我氏は、「これまで培ってきたそれぞれのコンソーシアムのノウハウを共有することでシナジーを生み出し、Intelligent Enterpriseの提案を加速する」と述べた。

 また、Business Innovators Networkの活性化については、2月に同社が三菱地所と共同で開設した「Inspired.Lab」を活動拠点とし、オープンイノベーションを具体化させていくとしている。

Intelligent Enterprise提案加速に向けコンソーシアムを改組