ニュース

経理業務自動化クラウドを提供するブラックライン、3年後に100社への導入目指す

国内事業本格化に向けたビジネス戦略を発表

 ブラックライン株式会社は25日、日本での事業本格化に向けて記者発表会を開催した。発表会では、経理業務のデジタル化の現状と課題について説明するとともに、同社ソリューションの概要および日本市場でのビジネス戦略を発表した。

 米本社であるBlackLineは、大企業・中堅企業の決算業務、会社間勘定やその他の主要な経理財務プロセスの自動化、集中化、合理化を通じて、経理財務業務に変革をもたらすクラウドサービスを提供している。

 グローバルでのビジネス概況について、米BlackLine CEO兼創設者のテリース・タッカー氏は、「当社は2001年に創業して以来、コンティニュアス・アカウンティング(継続的会計処理)をコンセプトに掲げ、急成長を遂げてきた。現在、従業員は850人を超え、世界150カ国、2600社以上の顧客、22万2000人以上のユーザーが当社のクラウドサービスを利用している。そして、これにより地域、業界、事業規模の垣根を超えて、経理業務のデジタル変革を推進してきた。今後もグローバルにビジネスを展開し、とくに今年は日本市場での事業拡大に力を注いでいく」と述べた。

米BlackLine CEO兼創設者のテリース・タッカー氏

 日本法人のブラックラインは、米BlackLineと、大手米国企業の日本進出を支援するベンチャーキャピタル、ジャパン・クラウド・コンピューティング株式会社との合弁会社として2018年10月に設立され、2019年1月から事業を開始している。

 ブラックライン 代表取締役社長の古濱淑子氏は、経理業務のデジタル化の現状と課題について、「経理業務のデジタル化は、日次の伝票入力やプランニング、予実管理、連結処理の領域で進んでいるが、月次締め処理と監査の領域では、今もアナログ処理が多く残っている。これにより、スピード、ガバナンス、生産性の観点で、経理業務のいたるところで問題が発生しているのが実状だ」と指摘する。

 また、「こうした課題を解決するアプローチとして、当社では、締めを待たずに継続的に経理業務を回し続けるコンティニュアス・アカウンティングを提唱。これをデジタルテクノロジーによって実現するクラウド型ソリューションを提供している」とした。

ブラックライン 代表取締役社長の古濱淑子氏

 具体的には、勘定照合・月次決算処理の統制と標準化を通じて、決算処理を管理し実行する連動的なツールを提供。基盤機能として、勘定照合、タスク管理、マッチング、各種レポート機能を備えており、ERPや銀行、POS、Excelなど様々なデータをブラックラインのクラウドプラットフォーム上に集約し、月次の経理ワークフローを自動化することができるという。

 これによって、煩雑な手作業が不要になるとともに、今まで締め処理時に集中していた決算業務の負荷を平準化することができる。

 また、レポート機能のダッシュボードでは、CFOから現場担当者まで、すべての階層での経理データの可視化が可能となっている。さらに、子会社や被買収会社の異なるシステムにおいても、決算処理をクラウドで一元管理することができる。

コンティニュアス・アカウンティングを実現するブラックラインのテクノロジー
ブラックラインが提供するクラウドサービスの概要

 今後の日本市場での戦略について、古濱氏は、「2021年までの3年間の事業ビジョンとして、日本でのファイナンスオートメーション市場の確立と、パイオニア・リーダーとして市場の成長をけん引していくことを掲げた。今後3年間で大企業を中心に100社に当社サービスを導入し、事例化を目指す。また、監査法人を中心とした強固なエコシステムを確立する。そして、日本が米国外の市場展開のモデルカントリーとなり、グローバルの事業成長に寄与していきたい」との考えを示した。

 具体的なロードマップとしては、まずターゲットセグメントは、2021年までは連結1000億円以上の製造業/消費財/流通業をメインに展開。2021年からは、連結100億円以上の企業とスタートアップ、およびサービス業/金融にターゲットを拡大する。そして、2023年以降は、全インダストリーを対象に連結10億円以上の企業もカバーしていく方針だ。

 プロダクト戦略については、「今年は、グローバルの90%の顧客が活用している基盤機能である勘定照合、タスク管理、マッチングにフォーカスする。来年には、拡張機能として会社間取引管理と仕訳入力機能を追加する予定で、2021年以降は、新規機能を継続的に投入していく」と説明した。3年後の導入目標100社に向けては、「今年は、来年以降のビジネス基盤を作るために、リファレンスカスタマサイトの獲得とプロジェクト稼働に注力し、10社への導入を見込んでいる。そして、来年は40社まで導入企業を拡大し、2021年に100社を達成したい」と意欲を見せた。