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ブラックラインが10社1団体と「リモート決算推進共同宣言」、2021年3月までに日本企業のリモート決算実現へ
2020年7月28日 09:00
ブラックライン株式会社は27日、国内のITソリューションサービス提供企業10社1団体と共同で「リモート決算推進共同宣言」を発表した。各社で協力して経理部門のデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進し、2021年3月までに日本企業のリモート決算の実現を目指す。
ブラックラインは、経理財務業務のプロセス効率化やリモート決算を実現するクラウド型決算プラットフォーム「BlackLine」を提供している。同社 代表取締役社長の古濱淑子氏は、「新型コロナウイルス感染症が拡大し、多くの企業がリモートワークに移行したが、紙の書類や押印が必要だという理由から、決算業務のために経理担当者が出社を余儀なくされるケースが相次いだ。また、リモートワークでの決算業務がスムーズに進まず、決算発表を延期する企業や業績予想を開示しない企業も増加した」と指摘。こうした状況を改善し、さまざまな企業や団体と協力して日本企業のリモート決算を支援したいとの思いから、今回の共同宣言に至ったと説明している。
同宣言に賛同する企業・団体は、一般社団法人日本CFO協会、アスタリスト株式会社、アビームコンサルティング株式会社、EY新日本有限責任監査法人、SAPジャパン株式会社、オープンテキスト株式会社、株式会社コンカー、株式会社セゾン情報システムズ、株式会社ディスクロージャー・プロ、日本IBM株式会社、株式会社プロネクサスとなる。
古濱氏は、完全なリモート決算にはデジタル化が欠かせないと話す。アナログのままでリモート決算を実施しても、押印や紙の書類のPDF化などで出社を免れない状態は変わらないためだ。一方で、ブラックラインが提供する決算プラットフォームを活用すれば、「決算情報が一目瞭然(りょうぜん)で、管理が容易になる。電子証跡によって出社が不要になるほか、監査法人もシステムに直接アクセスできるため、資料をあらためて提出する必要もない」と古濱氏はアピールする。
「アナログでのリモート決算では、取引記録から決算処理、監査対応、開示までに平均40日間かかるが、デジタルソリューションを活用したリモート決算であれば、業務効率化や自動化が進み、同じプロセスが約25日にまで短縮できる。このような環境が整っているかどうかが大きな差につながる」(古濱氏)。
ただし、決算でDXを実現するには1社だけでは実現できないとして、参画企業を募って共同宣言することになった、と古濱氏は語る。「決算プラットフォームを業務システムなどと連携する必要がある。全体をつなぎ合わせなければリモート決算は実現しない」と古濱氏。また、システムを入れるだけでなく、プロセスの変更や人員の再配置などが必要になることもあるとして、「コンサルティング企業やシステムインテグレーターの協力も必要だ」と主張した。
今回の共同宣言においては、2021年3月のリモート決算を実現させるため、2020年9月にリモート決算導入準備をスタートするよう推奨していく。これにより、12月の第3四半期にリモート決算を試験的に導入、3月の本決算に備えることが可能だという。
1年以内でのリモート決算実現というタイムラインを設けたのは、同宣言の参画企業であるセゾン情報システムズがブラックラインのソリューションを約1年前に採用し、3月期の決算業務を完全リモートで実現したためだ。
セゾン情報システムズ 流通ITサービス事業部 事業部長 リンケージサービス部 部長の花香勝氏は、「わが社がブラックラインの導入を開始したのは2019年9月。経理部門のデジタル化とプロセス自動化を目指したものだったが、12月の四半期決算より部分的に決算業務に活用し、トライ&エラーを繰り返してブラッシュアップした。ほぼ主要な機能は3月までに導入が完了し、その後の決算がリモートで実現できた」と話す。
今後は、協業企業とリモート決算実現に向けた支援サービスや連携ソリューションも提供していく予定だ。その上で、「すべての日本企業の経理部門のDX推進に向け、さらに協業を拡大していきたい」(古濱氏)としている。