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アイシン・エィ・ダブリュ、自動車部品の生産設備をつなぐネットワークをNECのSDN製品で構築

 日本電気株式会社(NEC)は6日、アイシン・エィ・ダブリュ株式会社が、NECのSDN(Software Defined Networking)ソリューションを採用したと発表した。自動車部品の生産設備をつなぐネットワーク基盤を、SDNを活用して構築しており、2018年4月より順次、同社の本社第二工場、および岡崎東工場で稼働開始しているという。

 アイシン・エィ・ダブリュでは、オートマチックトランスミッション(AT)や、無段変速であるCVT(連続可変トランスミッション)など、複雑かつ精密な機構を持ち、多くのパーツで構成されている自動車向けシステムを手掛けている。こうした精密部品を製造するため、同社の工場には、金属工作・プラスチック成形などの組み立て工程の設備から、搬送関連、検査機、管理システムまで、多様な設備が導入されているという。

 従来、これらの設備の稼働情報は、各設備のPLC(Programmable Logic Controller)から手動で集めたり、手入力で記録したりしていたが、1つのプロジェクトだけでも500~600台ある設備から1台ずつ情報収集することになり、設定の手間が大きいのみならず、IPアドレスの重複など、設定ミスが起こってしまうリスクもあったとのこと。

 そこで同社は、工場のIoT化を目的とした生産設備のIPネットワーク化を進めるにあたり、これらの情報収集にかかる工数削減や、操業停止リスクを最小限に抑えるため、SDNを活用したネットワーク基盤を構築している。

 具体的には、NECのSDN対応製品「UNIVERGE PFシリーズ」を基盤の中核に採用。SDNを活用することで、ネットワーク全体の構成や通信状況をGUI画面で可視化し、仮想ネットワークを一元的に管理・制御できるようにした。これにより、ITの専門家がいない工場であっても、ネットワークの運用を容易に行えるようになったとのこと。また、万一障害が発生した際には障害個所を迅速に特定し、早期復旧に向けた対策を採ることが可能になった。

 一方、生産ラインのネットワークでは、直接インターネットにはつながっていなくても、メンテナンス時に持ち込みPCが接続されるなど、外部からウイルスが混入する可能性が存在する。しかしSDNを利用したネットワーク基盤により、セキュリティ階層の異なる仮想ネットワーク(VTN)を柔軟かつ迅速に構築する仕組みを導入したことで、システムごとに異なるセキュリティポリシーの適用や、ウイルスやサイバー攻撃時における被害範囲の最小化が可能になった。

アイシン・エィ・ダブリュ 岡崎東工場のネットワーク概略