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NEC、SDN技術を用いたグローバルネットワークを構築 ビジネスの変化に対して柔軟に対応可能に

 日本電気株式会社(NEC)は6日、グローバルのNECグループ全社員、11万人が利用するネットワークの刷新を開始したと発表した。2018年1月に策定した「2020中期経営計画」に基づき、グローバルなビジネス活動を推進することが目的で、SDN(Software Defined Networking)技術を利用し、ビジネスの変化に対して柔軟に対応できる集中管理を実現するという。

 今回NECが刷新するネットワークは、グローバルのNECグループ全社員11万人が利用し、7000台ものネットワーク機器を集中管理する大規模環境。LANやWAN、データセンターなど、従来はグループ会社やプロジェクトごとに構築していたネットワークを物理的に統合し、SDN技術を利用して目的別の仮想ネットワークを設定する。

 このネットワークでは、ネットワーク統合運用基盤(オーケストレータ)からグローバルに集中管理する仕組みにより、柔軟なネットワーク構築・変更が可能。国内外における組織変更や、ネットワーク接続ポリシーの異なる企業との協業プロジェクト、働き方改革に貢献するモバイルネットワークなどを迅速に構築でき、NECグループ全社のビジネススピードを加速するという。

 例えば、協業プロジェクト用のネットワークについては、従来は新たな通信機器や回線の準備などで1カ月半~2カ月を必要としていたが、SDN導入後は仮想ネットワークを構築するだけで済むため、数日から1週間で環境を整えられるとのこと。

 セキュリティ面では、サイバー攻撃への対応として、セキュリティインシデント検知後のネットワーク遮断などの作業を自動化。迅速な初動対応による被害の極小化を実現する。未知のマルウェアによる感染をセキュリティ装置が検知し、感染端末の遮断を自動で行う仕組みが導入されると、人手で遮断対処を行う場合と比べて管理の体制・スキルのばらつきなく、大幅な時間短縮を実現できるとしている。

 さらに、セキュリティポリシーの異なる一般業務、ソフトウェア開発、生産系などのネットワークを物理的に統合した上で、仮想ネットワークを設定可能にすることで、セキュアに共存させることもできるとした。

 なお、これまでNECグループ各社で行っていたネットワークの運用管理は、既存の機器も含めて、本社のネットワーク管理部門が集中管理する。これにより、グローバルネットワークの構築や変更のリードタイムを大幅に短縮する(月単位→日単位)とのこと。あわせて、ネットワークの運用・管理に必要な工数もグループ全体で30%の効率化を見込んでいる。

 現在は、国内の本社、事業場、関係会社の大規模拠点を中心とした72拠点に先行して展開を完了しており、2019年度以降、世界48社76拠点へ展開する予定。NECでは、このネットワークの構築・運用などにおけるさまざまな知見を活用し、SDN事業の拡大に貢献していくとしている。