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住友化学、千葉工場の新ネットワーク基盤にNECのSDNソリューションを採用

 住友化学株式会社は27日、IoTを活用した次世代工場(デジタルプラント)の実現に向けて、日本電気株式会社(以下、NEC)のSDNソリューションを千葉工場に導入し、新たなネットワーク基盤を構築したと発表した。

 住友化学の新ネットワーク基盤は、千葉工場の情報系ネットワークを対象に、NECのSDN対応製品「UNIVERGE PFシリーズ」を中核として設計・構築した。

 SDNの活用により、セキュリティ階層の異なる仮想ネットワークを柔軟かつ迅速に構築でき、システムごとに異なるセキュリティポリシーの適用や、サイバー攻撃時における被害範囲の最小化が可能となることで、IoTを活用したさまざまなシステムを支える多層化・階層化されたネットワークを実現する。

 また、ネットワーク全体の構成や通信状況をGUI画面で可視化し、仮想ネットワークを一元的に管理・制御できる。これにより、障害が発生した際に障害箇所を迅速に特定し、早期復旧に向けた対策を取ることができる。

 SDNの効果としては、拠点間における回線障害による影響の最小化を挙げている。住友化学千葉工場では、姉ヶ崎地区と袖ヶ浦地区の距離が離れた2拠点を常時ネットワークで接続しており、平常時は姉ヶ崎地区から制御することで同一セグメントのネットワークを構築・運用している。

 今回、袖ヶ浦地区に設置した予備のSDNコントローラと、2台の機器で冗長化する「デュアルクラスタ機能」を活用することで、各地区それぞれが独立したネットワークとして運用可能となった。これにより、両地区のいずれかの回線に障害が発生した際の操業への影響を最小化できる。

 また、SDNの特徴を生かし、自社のシステム担当者などがより容易にセキュリティを保ったネットワークを多層化することが可能となったことで、千葉工場におけるネットワーク維持費用を従来比で約3割削減できる見込みだとしている。

 さらに、タブレット端末を利用して、現場で工場内の図面確認や保全記録作成ができる仕組みの構築に取り組んでおり、SDNによる仮想ネットワークの活用により、従来の強固なセキュリティ対策を維持したまま、保全担当者が現場で簡単に工場の計器や機器の情報にアクセスすることが可能になると説明。また、プラントの予防保全活動として、センサーを機器に取り付けることで、プロセスデータを収集し、AIやビックデータ解析などを用いてプラントの故障予知につなげることを検討しているという。