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日立、小売・流通業向けに各種データをAIで分析して施策提案を行う「Hitachi Digital Solution for Retail」を提供開始

 株式会社日立製作所(以下、日立)は16日、小売・流通業の企業から各種データを預かり、データ蓄積からAIでの分析、バリューチェーンの最適化に向けた施策提案までを一括して行うサービス「Hitachi Digital Solution for Retail」を11月1日に提供開始すると発表した。

 サービスでは、まず、企業が設定したKPIの分析に必要な業務データ(ID-POSデータ、顧客情報、商品情報など)やIoTデータ(人、設備など)、オープンデータ(商圏、気象など)の提供を受け、日立がデータ基盤に蓄積する。これらのデータを元に、日立のデータサイエンティストがAIを活用して分析することにより、これまで見えていなかったデータ間の新たな相関関係や、KPIを最適化する新たな施策を導き出して企業に提案し、企業による施策の実施後、結果を検証する。

 これを繰り返し行うことにより、課題解決のスピード向上や改善効果の増大を図ることができ、企業はデータ基盤の導入やデータサイエンティストを自社で保有することなく、日立のAI技術・ノウハウを生かした実行性のある施策の提案を受けられるとしている。

「Hitachi Digital Solution for Retail」サービス概要図

 第一弾として提供するサービスメニューのうち、販促施策最適化では、会員や商品、購買、ウェブのアクセスログ、キャンペーン情報などのデータを蓄積し、AIを活用してターゲット顧客群別に最適な商品リストを抽出する。これを元に日立が提案する販促施策を活用することで、企業は売上・利益の拡大、投資効率向上を図ることができ、店舗売上・顧客一人あたり単価ともに約4~5%向上を目標効果としている。

 出店業務効率化では、既存店の過去の実績データ(マーケット、競合度、立地、物件情報など)を蓄積し、AIを活用して最適な出店候補地と見込みの売上予測を抽出・提示する。企業は、これを出店場所を選定する際の判断材料に活用することで、出店候補地や閉店候補店舗の見極め、見込み売上予測精度の向上、業務の効率化を図ることができ、見込み売上予測の精度(理論値)は誤差10%程度を目標効果としている。

 商品需要予測では、商品の販売実績に対する時間、曜日、気温、降水量、特売有無などのデータを蓄積し、AIを活用して新商品を含めた最適な販売予測値を算出・提示する。企業は、これを発注量の決定判断に活用することで、欠品による機会ロスや在庫過多による廃棄ロスの抑制を図ることができ、商品需要予測の精度を従来と比較して約15%改善することを目標効果としている。

 サービスの価格はいずれも個別見積もり。さらに今後は、棚割・商品構成の最適化や、倉庫業務、配送業務などに対するサービスメニューを順次拡充していくとともに、将来的には他業種との連携を進めていくとしている。

 また、日立では10月18日~19日に東京国際フォーラムで開催する「Hitachi Social Innovation Forum 2018 TOKYO」の「INDUSTRY」カテゴリー「消費者が見える・つながる。新たな技術で進化するリテール」コーナーの展示において、Hitachi Digital Solution for Retailを紹介する。