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日本マイクロソフト、公共機関のクラウドサービス利用促進に向けたプログラムを発表

 日本マイクロソフト株式会社は4日、公共機関におけるクラウドサービスの導入、および利用促進に向けた取り組みとなる「マイクロソフト 公共機関向けクラウド利用促進プログラム」を発表した。

 日本マイクロソフト 執行役員 常務 パブリックセクター事業本部長の佐藤知成氏は、日本政府がAIやロボット、IoTなどを活用した目指すべき未来社会の姿として「Society 5.0」を提唱し、それを支えるプラットフォームとしてクラウドサービスの利用を第一候補とする「クラウド・バイ・デフォルト原則」の基本方針を6月に発表したことを説明。

 「こうした政府の方針に沿うよう、マイクロソフトのクラウドサービスを安心して利用してもらえるような仕組みを整えたい」と、今回の同社の取り組みにおける背景を語った。

日本マイクロソフト 執行役員 常務 パブリックセクター事業本部長の佐藤知成氏
マイクロソフト 公共機関向けクラウド利用促進プログラム

 すでに日本マイクロソフトでは、6月に教育分野、9月にヘルスケア分野に向けた施策を発表するなど、公共機関を対象とした取り組みを進めている。今回はこれに政府・行政機関も加え、公共機関全般に向けた包括的な施策となる。

 今回の施策における具体的な取り組みは5つ。

 その1つは、公共機関およびパートナー企業向け人材育成プログラムだ。2020年までに、公共機関とパートナー企業に向け「公共機関におけるクラウド人材育成プログラム」を無償で提供する。その内容は、公共機関向けパブリッククラウド活用トレーニングや、PaaSおよびIaaSのハンズオン、AIおよびIoT活用トレーニングなどが含まれる。

 2点目は、公共機関向け災害対策支援。これまでにも同社は災害発生後の復興支援を行ってきたが、今後は災害発生前の支援にも取り組む。災害対策セミナーや体験型のワークショップを実施するほか、希望する公共機関と災害対策支援協定(仮称)を締結、災害対策および防災体制の構築を支援し、防災訓練でのクラウド活用をサポートする。

取り組みの具体策その1
取り組みの具体策その2

 3点目として、クラウド早期導入支援も提供する。クラウドサービスの早期導入を希望する公共機関を対象に、日本マイクロソフトの社員がクラウド導入の目的や利用イメージをより明確にし、将来の課題解決ビジョンの作成に向けたデザインシンキングを実施する。また、実証実験の支援も無償で行う。

 4点目は日本マイクロソフト社内における取り組みで、公共機関向けクラウドエキスパートを200名育成する。政府によるクラウド・バイ・デフォルト原則のガイドラインに準拠したクラウドが検証できるよう新たな社内研修を行い、公共機関向けクラウドエキスパートとしてサービスの導入を支援する。

取り組みの具体策その3
取り組みの具体策その4

 5点目は、パートナー企業と共同で公共機関向けのソリューションを開発、提供することだ。今後1年間で、政府・自治体から病院、教育機関までさまざまな公共機関に向け、働き方改革や住民支援サービスなどのパートナーソリューションを200個開発するとしている。

取り組みの具体策その5

 日本マイクロソフト 業務執行役員 パブリックセクター副事業本部長の光延裕司氏は、「クラウドサービスの利用における懸念事項として、今でもセキュリティを挙げる公共機関は多い。しかし、すでに現在のパブリッククラウドのセキュリティはオンプレミスシステムと比較しても遜色(そんしょく)のないレベル。それでもインターネット接続となっていることに不安を感じるユーザーもいるため、公共機関に対してあらためてクラウドサービスの安全性を訴え、利用を促進していきたい」としている。

日本マイクロソフト 業務執行役員 パブリックセクター副事業本部長 光延裕司氏

 すでにアクセンチュア、NEC、NTT西日本、NTT東日本、富士通が今回のプログラムに賛同しているという。佐藤氏は、「今後より地域に根ざしたパートナーも含め、連携を広げていきたい」と述べた。