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ブロードバンドタワー、「新大手町サイト」で日本の3大IXと連携
JPIX、BBIX、JPNAPとの接続を5Gデータセンター構内で実現
2018年7月17日 06:00
株式会社ブロードバンドタワーは7月13日、同社が8月に開設予定の新データセンター「新大手町サイト」において、5Gデータセンターとして初めて、日本を代表するインターネットエクスチェンジ(以下、IX)事業者である、日本インターネットエクスチェンジ株式会社、BBIX株式会社、インターネットマルチフィード株式会社の3社とパートナーシップを締結したと発表した。これにより、3社が展開するIXとの接続が新データセンターの構内で実現可能となる。
同日に行われた発表会では、3大通信キャリア系IXと連携する狙いを説明したほか、名古屋大学 教授 工学博士の天野浩氏が登壇し、ブロードバンドタワーとの産学連携による5Gデバイスの研究開発について紹介した。
ブロードバンドタワーでは、2000年の設立以来、大手町にデータセンター拠点を保有し、インターネットの相互接続点であるIXに近いデータセンター事業者として、複数の都市型データセンターを運営してきた。今回、8月に開設する新5Gデータセンター「新大手町サイト」では、その特徴をさらに際立たせるため、日本を代表する3大IXである「JPIX」(提供:日本インターネットエクスチェンジ)、「BBIX」(提供:BBIX)、「JPNAP」(提供:インターネットマルチフィード)との接続を同じ建屋内で実現した。
ブロードバンドタワー 代表取締役会長兼社長CEOの藤原洋氏は、「現在、IoTがもたらす第4次産業革命が、製造業を超えてあらゆる産業に波及しつつある。そして、IoT/ビッグデータ/AIによる『産業のデジタル化』を支える新たな情報通信基盤として5Gへの期待が高まっている。その中で、今回開設する『新大手町サイト』は、5GモバイルなどのIoTやAI、FinTechを対象とする情報通信インフラに対応した新たな5Gデータセンターとなる。超高速(最大10Gbps)・超低遅延(1msec)・超多地点同時接続(100万台/km2)を実現し、最適なIX接続・クラウド接続・エッジ接続の環境および低PUEを提供する」と、「新大手町サイト」の概要について紹介。
「大手町は、電話網の時代から日本の通信の中枢であり、現在も、データセンター同士をつなぐネットワークの接続点であるIX、およびインターネットを構成するサービスプロバイダが集中するインターネットの中心地である。今回、日本を代表する3大通信キャリア系IXを『新大手町サイト』に集結させることで、このデータセンターを5G時代に向けた『情報の交換拠点』としていく」(藤原氏)と、日本の3大IXと連携する狙いを述べた。
「新大手町サイト」に入居する顧客は、JPIX、BBIX、JPNAPの3サービスから、単独または複数を選択して利用することができる。複数のIXとの接続を構内で行えることで、相手先が接続しているIX事業者を選んで利用することが可能となり、事業者間での「ピアリング」(直接相互接続)を柔軟に行うことができるという。さらに「新大手町サイト」では、アマゾンウェブサービス(AWS)やマイクロソフトAzureサービス、Google Cloud Platform(GCP)サービスとのダイレクト接続も可能となる予定だ。
また、ブロードバンドタワーでは、今年度から始動した電波資源拡大のための総務省研究開発プロジェクトの中で、名古屋大学などとの産学連携チームで、GaN(窒化ガリウム)技術を用いた5G基地局デバイスの研究開発を進めている。この取り組みについて、名古屋大学 教授 工学博士の天野浩氏が説明。「GaNは、青色発光ダイオードの材料であるが、それ以外にも紫外線発光デバイスや次世代ディスプレイ、電力制御デバイスなどへの活用が進んでいる。そして今回、新たに無線通信での5G基地局用高出力パワーアンプに向けた研究開発がスタートした」という。
「従来の通信用デバイスで使われているシリコンは、今後の高周波デバイスへの対応が難しくなっている。これに対してGaNでは、28GHz帯さらには70GHz帯の高周波に対応する基地局デバイスの実現が可能になる。3年後には、28GHz帯において、現在実用化されている基地局用高周波アンプから消費電力を1/3以下、アンプサイズを1/3以下にし、基地局サイズの1/3化を目指す。また、70GHz帯では、熱抵抗を30%以上削減し、基地局から1㎞程度をカバーする高出力を可能とするデバイス技術の実現を目指す」としている。
発表会の最後には、日本インターネットエクスチェンジ 代表取締役社長の山添亮介氏、BBIX 専務取締役兼COOの福智道一氏、インターネットマルチフィード 代表取締役副社長の外山勝保氏が「新大手町サイト」とのIX連携に向けてコメントを述べた。
日本インターネットエクスチェンジの山添氏は、「当社は、IXの接続拠点を大手町に2か所設置しており、今回の『新大手町サイト』は3か所目の接続拠点となる。従来は、プロバイダやコンテンツ事業者を接続するサービスが中心だったが、『新大手町サイト』では、5G時代に向けて、自動運転やビッグデータ解析といった新たな分野のトラフィックに対しても遅延なく快適に使えるIXを目指していく」とした。
BBIXの福智氏は、「現実世界のデータをサイバー空間に送信・蓄積し、AIでビッグデータ分析を行い、その結果を現実世界にフィードバックして社会的課題の解決につなげていく。こうしたデータ主導社会において、データセンターとIXは切っても切れない関係にあると考えている。今後、データの量や種類がさらに増加し、その活用領域が広がっていく中で、『新大手町サイト』は5G時代の重要なインフラを担うことになる」と語った。
インターネットマルチフィードの外山氏は、ビデオレターを通じて、「大手町は、日本のインターネットが集まる中核拠点であり、その需要はさらに拡大している。今回、この大手町に開設される『新大手町サイト』は、5GやIoTといった新しいネットワークを巻き込んだハブとしての役割を担うことになる。今後、さまざまなものがインターネットにつながり、ハブの重要性がさらに高まる中で、アジアでトラフィック量No.1の当社IXを生かし、幅広い企業のネットワークを『新大手町サイト』のハブにつないでいく」と、メッセージを寄せた。