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ホートンワークス、日本市場でのシェア拡大に向け知名度向上を目指す

“第3世代製品”を順次国内で提供

 ホートンワークスジャパン株式会社(以下、ホートンワークス)は3日、2018年の事業戦略に関する記者会見を開催した。

 2017年3月に執行役員社長に就任し、その後1年が経過した廣川裕司氏は、説明会冒頭で2017年の実績を振り返った。米Hortonworksの2017年の売上高は2億6180万ドルで、前年度比で42%増。2011年の創業以来連続して順調に成長していることが伺える。

 また、2017年6月には米IBMとの提携が新たなるステージへと拡大し、IBMは自社のHadoopのディストリビューションを置き換える形で、両社が製品の再販とサポートを相互に行うことを発表している。

 日本においても9月にNECおよび日本IBMとの協業の強化を発表し、10月には日産自動車への導入が発表されている。その結果、2017年のホートンワークスは、2.1倍の成長を達成している。

ホートンワークス 執行役員社長 廣川裕司氏
2017年、ホートンワークスは大きく成長し、日本法人も2.1倍の成長となった

 日本市場における2018年の新しい事業戦略について廣川氏は、「大口顧客案件獲得」「パートナー体制確立」「新製品の展開」を3本の柱とすると説明した。

2018年の事業戦略は「大口顧客案件獲得」「パートナー体制確立」「新製品の展開」を3本の柱とする

 大口顧客・案件獲得の施策としては、CIO、CDO、CSOといった経営層に積極的にアプローチしていくほか、通信、金融・保険、製造業・自動車・CPG(一般消費財)、医療・医薬、小売り・eコマース、公共・運輸・交通、エナジー、政府官公庁など、注力インダストリーにソリューションセールスを展開していくという。

 ホートンワークスは製品提供以外にも、ユーザーのデータプラットフォームをサポートする「プロフェッショナルサービス」も展開している。プロフェッショナルサービスを通じてこれまで蓄積されたナレッジは、インダストリーごとにリファレンスアーキテクチャとしてまとめられており、それをソリューションとして展開することができるとのこと。

 実際に廣川氏が日本の銀行に訪問し、銀行の重要ユースケース「顧客の360度分析」「リスクマネジメント」「アンチマネーロンダリング(資金洗浄)、コンプライアンスの順守対策」「不正・詐欺の検知」といった資料を見せたところ、担当者の反応が非常に良かったことから、現在も交渉が継続中であるとした。

大口顧客や案件を獲得し、知名度向上やシェアの拡大を目指す

 パートナー体制確立については、OEMやグローバルリセラーとのタイアップ強化を図っていく。すでにNEC、IBM、Dell EMC、Microsoft、Accenture、HPE、Teradataと協業関係にあるが、2018年中にはさらに4~5社と提携する予定があるという。

 もちろん、パートナーへの支援も強化し、新たなパートナープログラムを通じてリファレンス顧客、ユースケース、新規案件を紹介するほか、エンジニアや営業への教育、コンサルタントの育成もサポートする。これらの施策によって、パートナー事業比率を30%から50%以上に引き上げる。

 なお、本記者発表と同日に発表されたNECとの協業強化では、これまでの「Hortonworks HDP」の販売に加え、「Hortonworks HDF」も扱うことを発表。プロフェッショナルサービスも提供を始めるという。

パートナープログラムの拡大などにより、パートナー事業比率を30%から50%以上に引き上げる

 新製品の展開について廣川氏は、「ホートンワークスは2018年から『第3世代』に入る。200兆円規模の巨大市場でさらなる成長を目指す」と述べる。その成長を支える第3世代の製品ポートフォリオでは、蓄積されたデータを扱う「Hortonworks Data Platform(HDP)」、流れているデータを扱う「Hortonworks DataFlow(HDF)」という既存のポートフォリオに加え、データのセキュリティ脅威を監視する「Hortonworks Cybersecurity Platform(HCP)」および、これらのデータの管理/ガバナンス/カタログを担当する「DataPlane Service(DSP)」を拡大していくという。

ホートンワークスは2018年から第3世代となり、ポートフォリオも拡充する。

 HDP 3.0は、「AI時代のデータレイク」という位置付けの製品だ。1つのデータレイクで数十億のファイルを扱うことが可能となり、イレイジャーコーディングによりストレージコストを半減させることができるという。

 さらに、GPUを利用した深層学習にも対応する。またApache YARN上でDockerコンテナが利用できるため、マイクロサービスやアプリケーションを数分でデプロイすることが可能になる。

 HDF 3.1についてホートンワークスは、「最も洗練されたData-in-Metron」であるとしている。簡単に利用できるUX、さまざまなEdgeライブラリ、リアルタイム機械学習モデル、コードレスでのデータリネージ機能などを提供することで、製造業、小売業、流通業等におけるIoT基盤としてデファクトスタンダードになることを目指すという。

 また、DSP 1.1によるグローバルデータマネジメント環境や、HCPによるデータセキュリティシステムの構築についても積極的に紹介していくとのこと。なお、「Hortonworks 3.0」の製品群が日本に登場するのは、2018年の半ばになる予定。

AI時代のデータレイクとなるHD P3.0
IoT基盤のデファクトスタンダードを目指すHDF 3.1
DSP 1.1によるグローバルデータマネジメント

 さらに、これらの事業戦略に加え、ホートンワークスでは日本市場での知名度を向上させるためのプロモーション活動を拡充させる予定。リサーチ会社Forresterによる“Forrester Wave”の調査によると、ホートンワークスは競合であるMapRやClouderaを抑えてビッグデータウェアハウスのリーダーの位置にあるという。しかしながら、日本でのホートンワークスの知名度は、あまり高いとは言えない。この問題については廣川氏も「われわれの本当の敵は競合他社ではなく、知られてないこと」と述べている。具体的な施策としては、今秋「DataWorks Summit in Tokyo」を開催するほか、本社VIPの招聘(しょうへい)、パートナーのイベントへの参加などを積極的に行っていくという。

 これらセールス、パートナー体制の強化、新製品の投入、さらにはプロモーション活動の拡充によって、「今年は3倍の成長を目指す」と廣川氏は述べ、日本市場におけるシェア拡大の意欲を示した。