ニュース
日本IBMとホートンワークスジャパンがビッグデータ分野で戦略協業
両社製品を活用したデータサイエンス・プラットフォームを提供
2017年9月6日 11:00
日本アイ・ビー・エム株式会社(以下、日本IBM)とホートンワークスジャパン株式会社(以下、ホートンワークス)は5日、両社のグローバル戦略提携の一環として、それぞれが提供するビッグデータ分野向けのソリューションの販売とサポートを両社で開始すると発表した。同日に行われた共同記者説明会では、両社がビッグデータ分野で戦略協業を行う背景や提供するソリューションの概要などを説明した。
今回の戦略協業を受けて、日本IBMは、ホートンワークスの次世代データ分析基盤「Hortonworks Data Platform」(以下、HDP)と、ストリーミングデータのリアルタイム分析基盤「Hortonworks DataFlow」(以下、HDF)の再販およびサポートを9日から開始する。
またホートンワークスは、Apache Hadoop向けIBM SQLエンジン「IBM Big SQL」と、データサイエンティストの生産性向上を支援する統合開発環境「IBM Data Science Experience」(以下、DSX)の再販およびサポートを同日から開始する。
日本IBM 執行役員 クラウド事業本部 クラウドソフトウェア&アナリティクス事業部長の三浦美穂氏は、協業の狙いについて、「デジタルによって急激にビジネスが変化するなかで、企業では、ビッグデータとクラウドを最大限に活用し、構造化データだけでなく非構造化データも含めてアナリティクスが行えるデータ管理基盤が求められている。そこで今回、Apache Hadoopのデータ分析基盤でイニシアティブを持つホートンワークスとのパートナーシップを拡大し、ビッグデータ分野で戦略協業を開始する。両社のビッグデータ関連製品を組み合わせたデータサイエンス・プラットフォームによって、データ駆動型ビジネスに必要な意志決定の迅速化を支援していく」と述べている。
また、ホートンワークス 執行役員社長の廣川裕司氏は、「データプラットフォームの世界的リーダーである当社と、データサイエンスの世界的リーダーであるIBMが、ビッグデータ分野で戦略協業することのインパクトは非常に大きいと考えている。まず、両社の持つ共通の顧客およびパートナーに対してベストなデータサイエンス・プラットフォームを提供することができる。さらに、Apacheのコミッター数のトップ2をこの2社が占めていることから、今後、国内でも最先端のデータ駆動型エンジニアの育成を推進していく」と、協業によるメリットを強調した。
協業にともなう各社の取り組みとしては、日本IBMでは、ホートンワークスの「HDP」を標準Hadoop/Spark Distributionとして採用。一方、ホートンワークスでは、IBMの「DSX」を戦略的データサイエンス・プラットフォームとして採用し、機械学習、高度なアナリティクス、統計などのデータサイエンス機能をすぐに使用できるよう開発者に提供する。
「顧客に対しては、両社から『DSX』、『IBM Big SQL』、『HDP』を提供することが可能で、日本IBMがホートンワークスの『HDP』『HDF』を提供した場合は、自社のソフトウェアと同等のメンテナンスサポートで対応する」(日本IBM・三浦氏)という。
ホートンワークスの「HDP」は、蓄積されたデータを分析するオープンなプラットフォームとして、データ分散処理ソフトウェアの「Apache Hadoop」や「Apache Spark」などをベースに開発。セキュリティやガバナンスを強化し、データレイク対応、EDW最適化、ストリーミング対応、BI最適化などを図った次世代のデータ分析プラットフォームとなっている。
「HDF」は、データフロー管理の「Apache NiFi」、メッセージングシステム「Apache Kafka」、リアルタイムデータ処理分析ソフトウェア「Apache Storm」などをベースに開発された次世代リアルタイムデータ処理プラットフォーム。流れているデータのフローをコントロールし、リアルタイム処理を可能とする。
「DSX」の製品概要については、日本IBM クラウド事業本部 クラウドソフトウェア&アナリティクス事業部 Product&Solution統括部長の村角忠政氏が説明。
「『DSX』は、データサイエンスに携わるすべてのユーザーに向けたプラットフォーム。データ分析に必要なツールや機能をオールインワンで装備し、分析のサイクルを一気通貫でカバーする。また、データサイエンスを組織としてまわすために必要なコラボレーション機能も搭載。Sparkを梱包しているため、ビッグデータ処理にも対応している。これにより、従来のデータ分析/機械学習にかかる工数を大幅に削減。データ分析のサイクルを回す上で大きな障壁となる課題を解決し、分析のPDCAサイクルの短縮化と加速化を実現する」としている。
日本市場での今後の展望について、ホートンワークスの廣川氏は、「今回の戦略協業によって、2020年までに、データサイエンスおよび機会学習市場におけるリーディングポジションを目指す。これに向けて、両社で『DSX』と『HDP』のエキスパートを育成するとともに、『DSX』と『HDP』を展開可能なパートナーを育成していく。さらに、IBMイノベーション・センターへの展開を図るほか、ホートンワークスによるマイグレーションサービスの提供も進めていく」との考えを示した。