SCSK、AIや深層学習分野のビジネス課題を解決するAIモデル構築ツールキット「SNN」を提供開始

　SCSK株式会社は3日、人工知能（AI）や深層学習により顧客独自のAIモデルを構築するツールキット「SCSK Neural Network toolkit（以下、SNN）」の提供を開始した。

　SNNは、深層学習技術を用いた画像認識やセンサーデータ、自然言語処理のベースモデルを複数準備し、顧客の持つデータやノウハウを追加学習することで、顧客独自のAIモデルを構築する。これにより、AIモデルのビジネス適合性検証が容易となり、業務効率化や生産性向上といったビジネス課題に迅速に対処できるようになる。また、サービスでは、顧客環境への適用検証を無償で提供する。

　SCSKでは、AI技術の実証実験や商用化に向けた検討支援を複数実施してきたが、各社特有の要件を実現するためには、顧客専用のAIモデルを迅速に構築することが求められると判断し、SNNを提供することにしたと説明。SNNでは、深層学習技術を活用したAIモデルを構築するために、ベースモデルやAIモデル構築支援ツールの提供、コンサルテーションなどの各種サービスを提供する。

　ベースモデルについては、PoC（Proof of Concept：概念実証）の実験段階では、性能評価を行う複数のベースモデルを無償提供。画像認識技術では、検出モデル、分類モデル、分割モデル、類似推定モデル、目視検査モデル、深度推定モデルを準備。センサーデータ処理技術として、異常検知モデルを準備する。

　また、自然言語処理、映像生成など、その他モデルについても順次リリース予定で、これらのモデルを組み合わせることで、窓口における待ち行列の導線解析や在庫切れの予測、セキュリティ監視などの業務活用が可能となる。

　AIモデル構築支援ツールとしては、ベースモデルに個別業務データを追加学習させる管理ツールを提供。また、AIモデル学習に必要なアノテーションやラベル編集に関する各種ツール、AIモデルをクラウドやオンプレミス、エッジデバイス環境上で稼働させる実行支援ツールを提供する。

　このほか、AI業務適用コンサルテーションやSNNを使ったPoCを提供し、PoCはSCSK「USiZEパブリッククラウドモデル」を使ったクラウド環境で提供する。また、構築したAIモデルを既存システムに搭載するシステムインテグレーションや、SNNを活用するためのAI/PoC推進（研修）プログラムも提供する。

　SCSKでは、2016年から共同実験を進めてきた保険業界向けの自動車事故削減施策や、ヘルスケア・健康推進施策、製造業界における品質向上や生産管理の最適化といった領域に対してSNNの適用を進めるとともに、コンサルティングパートナーである株式会社Asian Frontierとの協業により、顧客のAI業務適用を推進していくとしている。