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日本ユニシスとマイクロソフト、「BankVision on Azure」実現に向け共同プロジェクトを開始

 日本ユニシス株式会社と日本マイクロソフト株式会社は23日、日本ユニシスのオープン勘定系システム「BankVision」の稼働基盤として、Microsoft Azureを採用するための取り組みを推進するため、共同プロジェクトを4月から開始すると発表した。なお、パブリッククラウド環境でのフルバンキングシステムの実装は、国内初の事例になるという。

 日本ユニシスのBankVisionは、Windows Server、SQL Serverを基盤としたオープン勘定系システムで、2007年以来、すでに地方銀行10行に導入された実績を持つ。

 その後、クラウドサービスが急速に普及する中で、日本ユニシスは2016年度から日本マイクロソフトと共同で、Microsoft Azure(IaaS)上でのBankVisionの検証を進めてきたが、Microsoft米本社のAzureエンジニアリング部門との連携や、国内データセンター利用の体制などが整ったことから、今回、BankVisionの基盤としてMicrosoft Azureを採用するための共同プロジェクトを開始するという。

 この「BankVision on Azure」は、“新時代の金融サービス向け基盤”として、堅牢性を担保しながら、異業種やFintechなどと銀行機能をシームレスに連携できるコネクティビティを実現し、新たな収益機会を後押しするとしている。

 なお両社では、BankVision on Azure実現に向けた課題として“3つの挑戦”を挙げている。

 1つ目の挑戦は、強固な堅牢性と各種規制対応が求められるコアバンキングシステムを、パブリッククラウド上で実装できるようにすること。これにより、固定的なIT費用を適正化し、守りを固めながらも競争力強化のための戦略投資を支える基盤として活用できるという。

 2つ目は、オープンAPI公開基盤「Resonatex」対応により、周辺システムや先進サービスと低リスク・短期間で連携できるようにすること。これが実現すると、“未来のプラットフォーム”として、金融サービスの高度化・多様化を支えられるとしている。

 また3つ目の挑戦は、サービス単位での機能のモジュール化。これが実現すれば、金融サービスの構造変化に応じ、機能の選択によって、業態や経営基盤の変化を行えるようになるとした。

 こうした点を踏まえて両社では、フルバンキングシステムなどのミッションクリティカルシステムに求められるサポートレベルに基づき、サービス内容(レベルや体制)の検討を行うほか、Microsoft Azureの新規リリース機能の確認およびテストを進める。

 また、2016年度からの稼働検証において明らかになった、技術的課題への対策の検討、Microsoft Azure上のデータとサービスを利用した、データ活用・分析など新サービスの検討も行うという。

 両社は今後、BankVision利用行の基盤更改時期などに、Microsoft Azure化の提案を順次進めるほか、BankVisionのコア化(あらゆるサービスをAPI化、シンプル化、媒体レス)をはじめ、DevOps、オペレーションレスなどの開発・保守・運用の効率化を継続して推進。さらに、クラウド利用のメリットを最大化するべく、SQL DatabaseなどのPaaS活用を進める考えだ。