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NICTがサイバー演習自動化システム「CYDERANGE」を開発、本格運用開始へ

 NICT(以下、国立研究開発法人情報通信研究機構)ナショナルサイバートレーニングセンターは8日、サイバー演習自動化システム「CYDERANGE(サイダーレンジ)」を開発したと発表した。従来よりも効率的かつ低コストでサイバー演習を実現できる点が特徴という。

 セキュリティ人材育成事業を推進する上で演習効果をより高めるためには、品質の良い演習シナリオの開発と、演習環境の運用性の向上、また演習実施にかかる費用の低減が課題となっている。しかし演習プログラムの作成では、都度、シナリオや演習環境を手作業で作成することが一般的だったため、多くの時間と費用がかかってしまっていたという。

 こうした状況の中で今回開発されたCYDERANGEでは、これまでのCYDER(CYber Defense Exercise with Recurrence:実践的なサイバー防御演習)の事業運営を通じて得られた知見と、NICT持つサイバーセキュリティ研究の技術を生かし、スキルレベルや業務領域といった受講者のプロファイルにあわせ、最新事例を踏まえたサイバー演習シナリオを自動的に生成可能。さらに、生成されたシナリオの舞台となる演習環境を自動的に構築できる。

 また演習環境上では、データ収集エージェントが演習環境での受講者のあらゆる行動(キー入力、マウス操作、ウィンドウ操作など)を、パーソナルデータの適切な取り扱いに配慮しつつ収集し、データベースに蓄積する。

 今後、こうして得られた膨大な受講者データを機械学習などの技術によって分析することにより、演習による学習効果を精密に測定可能になるとしている。なお、演習データの記録方式には、フライトシミュレーターなどでも用いられている世界規格「Experience API」に準拠するとした。

 NICTではこのCYDERANGEを平成30年度(2018年度)からCYDER事業にて本格運用を開始し、金融、交通インフラ、医療といった分野ごとにきめ細かく最適化されたサイバー演習環境を、迅速かつ低コストに開発・運用する予定としている。