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NTTデータ、AIを活用した分析オペレーション自動化フレームワーク「AICYCLE」を開発
2017年12月20日 16:55
株式会社NTTデータは20日、企業におけるAIを活用した分析業務の自動化を実現する、分析オペレーション自動化フレームワーク「AICYCLE(アイサイクル)」を開発し、2018年1月から正式提供を開始すると発表した。
AICYCLEは、AIが予測を行う際の判断ロジックとなる「予測モデル」を、さまざまなビジネス関連データや、AIの予測結果・実績(予測と実績の良否)データを用いて自動的に評価・更新することにより、予測精度(予測モデルの品質)を維持する技術。
AIによる分析・予測モデルの構築には、高度な知識を持ったデータサイエンティストが必要不可欠となるが、ビジネスシーンでは予測モデルの作成時点から短期間で周辺環境が変化することも多く、当初作成した予測モデルを使い続けると、予測精度の低下(予測モデルの陳腐化)につながる問題がある。
こうした予測モデルの陳腐化を防ぐために、データサイエンティストは予測精度を犠牲にして長期間運用可能な予測モデルを構築したり、社会トレンドや法改正、ビジネスプロセス変更によって生じる変化を捉えることが可能なデータを収集し、それらデータを用いて予測モデルを更新してきた。しかし、データサイエンティストが社会的に不足する中で、予測モデルの更新を頻繁に行うことは非現実的であり、ビジネスにおけるAI活用が大きな課題となっていた。
こうした課題に対し、NTTデータでは予測結果と実績データを用いて予測モデルの精度をモニタリングし、精度低下を検知すると予測モデルを自動的に更新することで、予測精度を維持する技術としてAICYCLEを開発した。
AICYCLEは、1)予測モデル構築に必要なデータの前処理(ETL)・蓄積、2)予測モデルの精度低下を検知・再構築することで、予測精度を維持、3)予測の結果、実績データに加えて、過去運用した予測モデルを保存・管理、4)機械学習フレームワークは、顧客の要件・インフラ制約などに合わせて選択可能――といった要素を特徴として備える。
最新のデータを用いて予測モデルを再構築したとしても、予測精度が低く、ビジネスルールを満たすことができない場合、AICYCLEは予測を停止(=予測モデルの運用を停止)する。この際、過去に利用したデータや構築した予測モデル・予測結果・実績などを保存・管理しているため、それらを基にデータサイエンティストが解析を行い、新たな予測モデル構築を行うことが可能となっている。
技術については、NTTデータの技術開発本部に加え、データサイエンティストを多数擁する株式会社NTTデータ数理システムと連携して開発を行っている。
NTTデータでは、三菱重工航空エンジン株式会社の航空エンジンブレード製造工程に本技術を試験導入し、不適合品の早期発見と工程改善の効果について実証実験を実施。不適合製品の発生割合を47%削減、メンテナンスにかかる工場の停止時間を25%削減、今まで2カ月かかっていた予測モデル更新の所要時間を2分に短縮するなど、一定の効果を確認できたとして、実証実験結果のフィードバックを行った後に、正式提供することとなった。
NTTデータでは、提供する各種ソリューションにAICYCLEを適用していくことで、ビジネスシーンでのAI技術活用を促進し、顧客ビジネスのデジタルトランスフォーメーションを支援していくと説明。製造業に加えて、金融や流通、マーケティングなどの領域での導入も推進し、2020年までにAI・アナリティクス領域において500億円規模の売上を目指すとしている。