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NEC、2017年度上期連結決算は増収増益 通期の純利益は上方修正

 日本電気株式会社(以下、NEC)は10月31日、2017年度上期(2017年4月~9月)連結業績を発表した。売上高は前年同期比7.2%増の1兆2880億円、営業利益は同94.2%増の72億円、税引前利益は同143.8%増の308億円、当期純利益は同43.4%増の188億円となった。

NEC、2017年度上期連結決算は増収増益 通期の純利益は上方修正 2017年度上期の実績サマリー
2017年度上期の実績サマリー

 NEC 代表取締役執行役員社長の新野隆氏は、「パブリックは増収増益となったが、それ以外は減収減益。7月末時点の見通しに対しては、おおむね想定通りの結果になった」と総括した。

 また、「売上高は為替影響で100億円程度持ち上がっている。利益への影響はほとんどない」(NEC 代表取締役執行役員常務兼CFOの川島勇氏)とした。

NEC、2017年度上期連結決算は増収増益 通期の純利益は上方修正 NEC 代表取締役執行役員社長の新野隆氏
NEC 代表取締役執行役員社長の新野隆氏
NEC、2017年度上期連結決算は増収増益 通期の純利益は上方修正 NEC 代表取締役執行役員常務兼CFOの川島勇氏
NEC 代表取締役執行役員常務兼CFOの川島勇氏

セグメント別の業績

NEC、2017年度上期連結決算は増収増益 通期の純利益は上方修正 セグメント別業績
セグメント別業績

 セグメント別業績を個別に見ると、パブリックの売上高は前年同期比38.7%増の4070億円、営業利益は前年同期から67億円増の150億円。「社会公共領域は消防、防災システムが減少。社会基盤は領域は日本航空電子工業の連結子会社化により増収となった」という。

 エンタープライズは、売上高が前年同期比6.0%減の1918億円、営業利益は前年同期から35億円減の158億円。「前年第2四半期に大型案件があった流通・サービス業向けが、その反動で減収。IoT関連の投資費用の増加により、減益になった」とした。

NEC、2017年度上期連結決算は増収増益 通期の純利益は上方修正 パブリックの業績概要
パブリックの業績概要
NEC、2017年度上期連結決算は増収増益 通期の純利益は上方修正 エンタープライズの業績概要
エンタープライズの業績概要

 テレコムキャリアは、売上高は前年同期比3.7%減の2675億円、営業利益は前年同期から33億円減の6億円。「海外において、海洋システムが大型案件の一巡により減少。国内の通信事業者の設備投資が低調に推移したことが影響した」という。

 システムプラットフォームは、売上高は前年同期比2.0%減の3330億円、営業利益は前年同期から14億円減の63億円となった。「ハードウェアの減少になる減収になった」と述べた。

NEC、2017年度上期連結決算は増収増益 通期の純利益は上方修正 テレコムキャリアの業績概要
テレコムキャリアの業績概要
NEC、2017年度上期連結決算は増収増益 通期の純利益は上方修正 システムプラットフォームの業績概要
システムプラットフォームの業績概要

 その他事業では、売上高が前年同期比3.1%増の887億円、営業損失は前年同期から40億円改善したが、58億円の赤字となった。「海外向けセーフティ事業が増加したことにより増収。費用の効率化などにより利益が改善した」という。

NEC、2017年度上期連結決算は増収増益 通期の純利益は上方修正 その他事業の業績概要
その他事業の業績概要

通期予想の純利益を上方修正

 一方、2017年度の通期業績見通しを修正。売上高の前年比5.1%増となる2兆8000億円、営業利益の前年比19.5%増となる500億円は据え置いたものの、当期純利益は、当初見込みから50億円増、前年比28.2%増となる350億円へ上方修正した。

 「ルネサスエレクトロニクスの株式売却の影響や、パブリック、システムプラットフォームにおける指名停止の影響を再検証した結果などによる。当初は、指名停止の影響は売上高で600億円、営業利益で150億円としていたが、これを再検証した結果、売上高では400億円、営業利益で100億円となり、影響が減ってきた。指名停止の期間は半年間と想定していたが、5カ月間で終了することになり、下期ですべてが終わる。それにより、影響額が減少した。また、これまで調整額に入れていた80億円の戦略投資を具体化し、それぞれのBUに振り分けた。戦略投資は、エンタープライズではソリューション開発の強化で30億円、その他ではIoT基盤の開発やグローバル成長投資の加速で20億円。残りの30億円を調整額に残し、具体化については継続検討している」と語った。

 新野社長は、「上期は増収増益になった。2017年度はみなさまからの信頼を再度回復するために、年間計画を確実に達成し、期末配当の継続につなげる」とした。

NEC、2017年度上期連結決算は増収増益 通期の純利益は上方修正 通期業績を一部情報修正している
NEC、2017年度上期連結決算は増収増益 通期の純利益は上方修正 通期業績を一部情報修正している
通期業績を一部情報修正している

スマートエネルギー事業を見直し

 さらに、スマートエネルギー事業の見直しについても説明した。

 NECおよびNECエナジーデバイスが保有するリチウムイオン電池事業を担う持分法適用関連会社のオートモーティブエナジーサプライの全株式を日産自動車に譲渡。さらに、日産自動車は、同社が持つバッテリ事業およびバッテリ工場と一緒に、NECのスマートエネルギー事業をGSRキャピタルに譲渡することになる。

 「株式譲渡契約の締結に向け、GSRキャピタルとの交渉を進めているところである。本株式譲渡により、約100億円の営業外利益を計上する予定だが、現時点では、2017年度業績予想には織り込んでいない」としたほか、「当社は、電極は強みを持っていたのは確かだが、リチウムイオン電池の世界には、新たな技術が入っており、当社が持つ技術が世界的にもっとも優れた技術とはいえなくなってきた。リチウムイオン電池事業の売却理由は、もともと日産との合弁でスタートしており、日産の戦略が大きく変更したことが背景にある。日産の譲渡先であるGSRキャピタルに(当社からも)譲渡したほうが経済合理性があると考えた」と述べた。

 2018年1月に発表する予定の中期経営計画の基本姿勢についても触れ、「テレコムキャリアにおいては海外事業を抜本的に建て直すことが中期経営計画の柱になる。さらに、パブリックは国内事業のなかで利益率を高めていくこと、エンタープライズにおける成長をどう勝ち取り、収益を高めるかが鍵になる。また、海外事業の成長がこれまでは思い通りにいっていないところもある。スピードをあげて、海外事業の柱を作るかが重要である」と語った。

 なお、神戸製鋼の品質問題については、「宇宙事業において、アルミの部材を使用している。現在調査中であるが、問題は出ていないと考えている」と述べた。

NEC、2017年度上期連結決算は増収増益 通期の純利益は上方修正 スマートエネルギー事業の見直し
スマートエネルギー事業の見直し