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日本IBM、ベアメタルでも活用できる「VMware on IBM Cloud」のメリットを解説

AWSとの違いを強調

 日本アイ・ビー・エム株式会社(以下、日本IBM)は26日、同社のクラウドサービス「VMware on IBM Cloud」に関する最新動向の説明会を開催した。この時期に説明会を開催した理由について、IBM 理事 クラウド・サービス事業部長の田口光一氏は、「8月に開催されたVMworld 2017において『VMware Cloud on AWS』が発表され注目されている。IBMの取り組みとAWSの違いを説明したい」と述べている。

日本IBM、ベアメタルでも活用できる「VMware on IBM Cloud」のメリットを解説 IBM 理事 クラウド・サービス事業部長の田口光一氏
IBM 理事 クラウド・サービス事業部長の田口光一氏

 企業におけるクラウド化の課題について田口氏は、「オンプレミス環境で稼働しているシステムをクラウドに移行する際に問題になるのは、管理/監視やバックアップといった運用面の非機能要件。一般的なクラウド環境への移行では、これまでインフラで対応してきたこれらの非機能要件を、アプリケーション側で対応しなければならず、負荷が大きい」と述べ、この課題への"現実的な"解決策として、ベアメタル(物理サーバー)によるリフト・シフトを提案している。

 リフト・シフト(Lift Shift)とは、文字通り荷物を一度持ち上げてから降ろすという意味で、ここでは既存のVMware環境を変更することなく、インフラ部分だけをIBM Cloudのベアメタルに移行することを指す。

 米IBMはAWSに先駆け、2017年2月にVMwareとクラウド事業における戦略的パートナーシップを発表しており、すでにVMware on IBM Cloudは1400社が採用している。国内での採用事例も増えており、顧客名は非公開としながらも、仮想サーバーが1000台を超える大規模な導入事例もあるという。

 ベアメタルと一般的なホスティング型クラウドとの違いについて田口氏は、“最短10分、最長でも4時間で提供可能になる”、“メモリやディスクといったリソースの増減が柔軟であること、”“提供期間を1時間単位でも利用可能”などと説明し、「IBM Cloudのベアメタルは、クラウドならではの俊敏性や柔軟性を実現する」と述べている。

日本IBM、ベアメタルでも活用できる「VMware on IBM Cloud」のメリットを解説 IBM Cloudのベアメタルサービスと、一般的なホスティング型クラウドとの違い
IBM Cloudのベアメタルサービスと、一般的なホスティング型クラウドとの違い

 また田口氏は、VMware on IBM Cloudの特長について、世界40カ所以上あるIBMのデータセンター間ではユーザーが無償で専用線サービスを利用できることや、既存のVMwareライセンスをIBM Cloudに持ち込むことが可能(月額課金による追加も柔軟に可能)なことなどを挙げた。

 しかしなんといっても、IBM Cloudを企業が選択する最大のメリットは運用管理面にあるといえるだろう。同社のグローバルテクノロジーサービス(GTS)によるフルスコープ型の運用管理は、複雑化するハイブリッドクラウド環境においても柔軟に対応してくれる。もちろん、ユーザー自身による運用管理も可能だ。さらに、FortinetやF5などの仮想アプライアンスをWebポータルから追加することもできる。

日本IBM、ベアメタルでも活用できる「VMware on IBM Cloud」のメリットを解説 VMware on IBM Cloudの特長。フルスコープ型の運用管理を選択できるメリットは大きい
VMware on IBM Cloudの特長。フルスコープ型の運用管理を選択できるメリットは大きい

 さらに、利用可能なデータセンターの数が圧倒的に多いことや、すでに導入実績があること、ライセンスの柔軟性があること、GPU利用が可能なことなど、複数の項目でVMware on IBM CloudとVMware Cloud on AWSを直接比較。先行してサービスを提供しているIBMの優位性をアピールした。

日本IBM、ベアメタルでも活用できる「VMware on IBM Cloud」のメリットを解説 VMware on IBM CloudとVMware Cloud on AWSの比較
VMware on IBM CloudとVMware Cloud on AWSの比較

 また、9月にスペインのバルセロナで開催されたVMworld 2017 Europeでは、VMwareとIBMは「VMware HCX テクノロジー」を共同で発表している。これは、オンプレミスとクラウドのvSphere環境をシームレスに接続し、相互運用やアプリケーション・モビリティを実現する技術で、ゼロダウンタイムで大規模な移行を可能にするという。VMware HCX テクノロジーはIBMと仏OVH社が対応を発表しており、国内において提供可能なベンダーは現段階ではIBMのみとなっている。

日本IBM、ベアメタルでも活用できる「VMware on IBM Cloud」のメリットを解説 現段階でVMware HCX テクノロジーに対応するベンダーは国内ではIBMのみ
現段階でVMware HCX テクノロジーに対応するベンダーは国内ではIBMのみ

 そのほか、IBM Cloudはロゴマークが変更されたことや、2017年末までVMware on IBM Cloudの利用料が2カ月無料になるなどのキャンペーンを実施することなどを明らかにしている。

日本IBM、ベアメタルでも活用できる「VMware on IBM Cloud」のメリットを解説 IBM Cloudの新しいロゴマーク
IBM Cloudの新しいロゴマーク