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日本IBM、業務改善を前提としたRPAソリューションを提供

 日本アイ・ビー・エム株式会社(以下、日本IBM)は20日、RPA(Robotic Process Automation)分野向け戦略説明会を開催。あわせて、RPAソリューション「IBM Robotic Process Automation with Automation Anywhere」の提供を開始した。

BPMの一環としてRPAを活用することがIBMの目指す方向性

 米IBMは7月に、RPA製品を手掛ける米Automation Anywhereとの戦略的提携を発表した。しかし、「RPA導入で単純作業を効率化するにとどまらず、本質的な業務全体の改善を行うBPMの一環としてRPAを活用することが、IBMの目指す方向性」(日本IBM 理事 クラウド事業本部クラウドソフトウェア事業部長の望月敬介氏)と説明。これが、他社にはない特性となっている。

日本IBM、業務改善を前提としたRPAソリューションを提供 日本IBM 理事 クラウド事業本部クラウドソフトウェア事業部長の望月敬介氏
日本IBM 理事 クラウド事業本部クラウドソフトウェア事業部長の望月敬介氏
日本IBM、業務改善を前提としたRPAソリューションを提供 米Automation Anywhereとの戦略的提携
米Automation Anywhereとの戦略的提携

 RPAを導入することで、作業のスピードアップ、人的ミスの削減、人員最適化などのプラス面が生まれるが、この先の業務プロセス改善を見据えていることが強み。業務プロセス改善のステップとして、AIを活用した自動化、人の作業と自動化されたプロセスの統合、ビジネスロジックの自動化を実現する。

 IBMは業務改善/自動化のソリューションとして、人間でいえば中枢神経にあたるIBM Business Process Manager、右脳にあたるコグニティブサービスを提供するIBM Watson、左脳にあたるビジネスルールを担当するIBM Operational Decision Manager、目にあたるIBM Datacap、そして手にあたるRPAのAutomation Anywhereと、業務全体の効率化を実現するツール群がそろっている。

 RPAの活用にとどまらず、さまざまなツールとの連携によりBPMへつなげることで、さらに大きな効果を提供しようとしているわけだ。

日本IBM、業務改善を前提としたRPAソリューションを提供 RPA導入の効果
RPA導入の効果
日本IBM、業務改善を前提としたRPAソリューションを提供 業務改善/自動化のIBMソリューション
業務改善/自動化のIBMソリューション
日本IBM、業務改善を前提としたRPAソリューションを提供 IBM RPAの目指すところ
IBM RPAの目指すところ
日本IBM、業務改善を前提としたRPAソリューションを提供 IBM RPA採用の効果
IBM RPA採用の効果

 「これまでのBPMは人減らしというネガティブなイメージがつきまとっていたが、人材不足によりBPMをネガティブにとらえてはいられなくなっている。次世代に向けた改革に向け、BPMを導入するケースが増えている」(日本IBM クラウド事業本部 シニア・コンサルティング・ITスペシャリストの中村航一氏)。

日本IBM、業務改善を前提としたRPAソリューションを提供 日本IBM クラウド事業本部 シニア・コンサルティング・ITスペシャリストの中村航一氏
日本IBM クラウド事業本部 シニア・コンサルティング・ITスペシャリストの中村航一氏

 なおRPAは金融、通信/メディア、医療、流通、電力/ガス、製造業など幅広い業種で適用可能だが、「金融、製造、流通業のお客さまからの問い合わせが多くなっている」(望月氏)とのこと。日本での市場規模は、2016年度の8億円が、2018年度には5倍強の44億円規模となると見込まれている。

日本IBM、業務改善を前提としたRPAソリューションを提供 RPA適用業務
RPA適用業務
日本IBM、業務改善を前提としたRPAソリューションを提供 日本のRPA市場
日本のRPA市場

グローバルで700以上の導入実績を持つRPAソリューション

 今回、提供を開始したIBM Robotic Process Automation with Automation Anywhereは、Webアプリケーション、Microsoft Office、ERP連携、基幹システムなどのアプリケーションと連携し、広範囲な作業をボットで自動化できる。画面操作を記録するだけでボットを簡単に作成できるほか、約500種類のコマンドを利用したボットのカスタマイズも可能という。

 また、エンタープライズでの使用に耐える集中管理機能、ガバナンス、セキュリティ機能を装備。特に、すべてのボットの稼働状況やスケジュールなどを集中管理する、コントロールルームによるガバナンス面に強みを持っている。

 さらにRPAとBPMの連携により、人間の単純作業だけでなく、エンドトゥエンドのビジネスプロセスを管理することで、広範囲に業務を最適化する機能を提供する。

日本IBM、業務改善を前提としたRPAソリューションを提供 IBM Robotic Process Automation with Automation Anywhereの特徴
日本IBM、業務改善を前提としたRPAソリューションを提供 IBM Robotic Process Automation with Automation Anywhereの特徴
IBM Robotic Process Automation with Automation Anywhereの特徴

 すでにグローバルで700以上の導入実績も持つほか、導入の容易性、期間、コストなどトータルバリューが高いことが、採用が進む要因となっている。「管理機能が充実していることで、勝手にボットを動かしてセキュリティリスクが生まれるといったことを防ぐことができる」(中村氏)。

 価格は月額130万3000円(税別)。サポートはAutomation Anywhereに関する部分も含め、日本IBMから提供する。

日本IBM、業務改善を前提としたRPAソリューションを提供 サポート体制
サポート体制

 なお導入事例としては、ネットワーク回線の設定管理業務における活用例を紹介した。この設定管理業務においては、受付、設計、発注、資産化、竣工という一連の業務について、従来はFAX、紙で受発注業務を行っていたため、データを再入力する作業が必須となっていた。作業が煩雑で管理が難しかったが、最初にBPMで現行業務を整理。オペレーターの作業量を削減した上で、RPAを含めたツールを導入し、BPMを実現した。

 そして最終的には、人とボットが共存した業務全体をBPMで管理し、作業の可視化、効率化を達成したとしている。