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日本ヒューレット・パッカード、次世代のHPE Gen10サーバープラットフォームを発表

シリコンベースのセキュリティ機能を導入

 米Hewlett Packard Enterprise(HPE)の日本法人である日本ヒューレット・パッカード株式会社は20日、次世代のHPE Generation10(以下、Gen10)サーバープラットフォームを、本日より順次販売開始すると発表した。同日に行われた新製品発表会では、HPE Gen10サーバープラットフォームをリリースする背景や製品コンセプト、またセキュリティにフォーカスした機能強化ポイントについて説明した。

HPE Gen10サーバープラットフォームを発表する、日本ヒューレット・パッカード データセンター・ハイブリッドクラウド事業統括 DCHC製品統括本部 サーバー製品本部 カテゴリーマネージャーの阿部敬則氏(左)と、日本ヒューレット・パッカード データセンター・ハイブリッドクラウド事業統括 DCHC製品統括本部 統括本部長の本田昌和氏

“世界標準の安心サーバー”

 HPE Gen10サーバープラットフォームは、「世界標準の安心サーバー」として、業界標準サーバーにシリコンベースのセキュリティを導入した業界初の製品。現在、企業や政府にとって最大の脅威の1つとなっているファームウェアレベルへの攻撃に対応する、新たなセキュリティ標準となるサーバープラットフォームを実現している。また、セキュリティの強化とともに、ハイブリッドITの実現に不可欠なアジリティと柔軟な経済性をもたらす新機能およびサービスも提供するという。

 日本ヒューレット・パッカード データセンター・ハイブリッドクラウド事業統括 DCHC製品統括本部 統括本部長の本田昌和氏は、「当社は、1989年に業界初のx86サーバーをリリースし、1993年に業界初のラックマウントサーバー、2002年に業界初のブレードサーバーを発売するなど、x86サーバー業界をリードしてきた。また、近年は、自働サーバーやITインフラ統合、コンポーザルインフラなど、単なる機能強化ではなく、次世代のサーバー標準を切り開いていく取り組みを行ってきた」と前置き。

 その上で、「そして今回、デジタルトランスフォーメーションの流れが加速するなかで、ハイブリッドIT時代の新たな標準を造り上げるべく、『セキュリティ』『アジリティ』『経済性』の3つをコンセプトに、次世代のHPE Gen10サーバープラットフォームを投入する」と、次世代サーバーをリリースする背景について語った。

日本ヒューレット・パッカード データセンター・ハイブリッドクラウド事業統括 DCHC製品統括本部 統括本部長の本田昌和氏

 特にHPE Gen10サーバープラットフォームでは、「セキュリティ」を重点的に強化しており、自社製のカスタムシリコンである最新の「HPE Integrated Lights Out」(以下、iLO 5)と、各種ファームウェアとの間にセキュアなリンクを構築し、感染したファームウェアコードをサーバーが実行しないようにする「Silicon Root of Trust(シリコンレベルの信頼性)」を開発したという。

 日本ヒューレット・パッカード データセンター・ハイブリッドクラウド事業統括 DCHC製品統括本部 サーバー製品本部 カテゴリーマネージャーの阿部敬則氏は、「昨今、ハッキング技術の高度化にともない、サイバー攻撃はますます拡大・巧妙化している。特に、従来までの攻撃に加え、ハードウェアのファームウェアレベルに対する攻撃が相次いで発見され、今後大きな脅威になることが懸念されている。そこで、新製品では、こうした脅威からサーバーを防御するセキュリティ機能を大幅に強化。自社開発の最新管理チップ『iLO 5』内に、ファームウェアの正常性確認ロジックを組み込み、サーバー起動時に各ファームウェアの改ざんがないことを確認してから起動する仕組みを実装した。業界標準サーバーで、シリコンベースでのセキュリティ対策を実現しているのは当社が初となる」と、セキュリティ機能を重点強化する狙いを説明した。

日本ヒューレット・パッカード データセンター・ハイブリッドクラウド事業統括 DCHC製品統括本部 サーバー製品本部 カテゴリーマネージャーの阿部敬則氏

 このほか、セキュリティ機能の強化として、サーバー稼働中にオンラインでファームウェアの改ざん検知を行い、改ざんされていた場合には、健全性が確認されている最新のファームウェアに自動で復旧するセキュアリカバリ機能も提供。「iLO 5」をすべての信頼の起点とし、防御から改ざんの検知、そして復旧まで、すべてのステージでサーバーシステムをファームウェアレベルから保護することを可能としている。

ワークロードに応じたサーバーチューニング技術を搭載

 ハイブリッドITの実現に向けた「アジリティ」の機能強化では、インテルと共同開発した新しいサーバーチューニング技術のセット「HPE Intelligent System Tuning(ワークロード自働設定機能)」を提供。ワークロードごとにサーバーリソースを自動的に最適化することで、より高いパフォーマンスかつ効率的なサーバー環境の導入を実現する。

 また、TB(テラバイト)規模のデータ容量をメモリ速度で処理できるソリューション「HPE Scalable Persistent Memory」を実装し、新次元のコンピュート性能を可能にした。同ソリューションにより、アプリケーションのチェックポイント処理を最大27倍にまで高速化し、データベースの復元を最大20倍にまで高速化できるという。

 「経済性」の強化ポイントとしては、従量課金ベースの支払いモデル「HPE フレキシブル キャパシティ」を提供。実際の使用量に応じた料金を支払い、必要に応じて規模を増減できる柔軟なサービスによって、顧客それぞれのビジネス上の要件に合わせたITリソース管理を可能とし、投資の最適化を支援する。さらに、製造業が多い日本市場ならではの長期間保守の要望に応え、標準保証のアップグレードとして最大7年の長期保守パッケージを提供する。

さまざまな新製品を提供

 なお、今回発表したHPE Gen10サーバープラットフォームの各モデルの特徴は以下の通り。

 「HPE ProLiant DL360 Gen10」は、高密度で高性能を必要とするワークロードに最適な汎用1Uラックマウント型サーバー。新プロセッサの性能を最大限活用するため、NVDIMM(不揮発性DIMM)、高速なNVMeストレージのサポートを大幅に強化している。最大28コアのインテル Xeonプロセッサ・スケーラブル・ファミリーを2基搭載し、24個のメモリDIMMスロットに最大3TBのDDR4メモリを搭載している。

「HPE ProLiant DL360 Gen10」

 「HPE ProLiant DL380 Gen10」は、優れた拡張性、可用性を備え、データベース、ERP、データ分析など高負荷ワークロードに最適な2Uの汎用フラッグシップサーバー。大容量かつ最高クラスの性能を実現する「HPE Scalable Persistent Memory」をサポートし、さらにストレージ搭載容量を同じサイズの筐体で32%増量している。最大28コアのインテル Xeonプロセッサ・スケーラブル・ファミリーを2基搭載し、24個のメモリDIMMスロットに最大3TBのDDR4メモリを搭載している。

「HPE ProLiant DL380 Gen10」

 「HPE ProLiant DL560 Gen10」は、最大6TBのメモリで、大規模高速データ解析、インメモリ環境の導入に最適な2Uサイズのラックマウント型サーバー。DIMM上のメモリチップが2つ故障しても動作を継続、かつ性能劣化を起こさない(ADDDC)メモリ可用性を実装。さらに、メザニン構造にしたことで24台のストレージデバイスを搭載可能とし、高速なNVMeストレージ(12台)にも対応している。インテル Xeonプロセッサ・スケーラブル・ファミリーを4基搭載可能な処理能力と、強化された拡張性を2Uシャーシ内で実現している。

「HPE ProLiant DL560 Gen10」

 「HPE Apollo 6000 Gen10」は、12Uのシャーシに24ノードの「HPE ProLiant XL230k Gen10」を搭載可能な、スペースあたり性能・電力当たり性能を最適化したHPC向けスケールアウトソリューション。「HPE ProLiant XL230k Gen10n」には、最大28コアのインテル Xeonプロセッサ・スケーラブル・ファミリーを最大2基搭載し、16個のDDR4メモリを搭載可能となっている。

「HPE Apollo 6000 Gen10」と「HPE ProLiant XL230k Gen10」

 「HPE Synergy 480 Gen10コンピュートモジュール」および「HPE Synergy 660 Gen10コンピュートモジュール」は、サーバー、ストレージ、ネットワークを高密度に統合したブレード型フォームファクター製品で「HPE Synergy 12000フレーム」に搭載することが可能。「HPE Synergy 480 Gen10コンピュートモジュール」は、最大2基のインテル Xeonプロセッサ・スケーラブル・ファミリーを実装可能なハーフハイト型モデルで、汎用的なエンタープライズワークロード向けの製品となっている。

 「HPE Synergy 660 Gen10コンピュートモジュール」は、最大4基のインテル Xeonプロセッサ・スケーラブル・ファミリーを実装可能なフルハイト型製品で、要求の高いワークロードに対応する優れたキャパシティ、効率性および柔軟性を提供する。また、今回「HPE Synergyコンピュートモジュール」は25/50GbE(Gigabit Ethernet)接続にも対応している。

「HPE Synergy 480 Gen10」(左)と「HPE Synergy 660 Gen10」

 「HPE ProLiant BL460c Gen10」は、最大2基のインテル Xeonプロセッサ・スケーラブル・ファミリーを実装可能なハーフハイトフォームファクターのブレード型サーバー製品。「HPE c7000/c3000エンクロージャー」への搭載に対応し、従来のワークロードの継続利用に適した汎用的な統合・集約環境に最適なプラットフォームとなっている。

「HPE ProLiant BL460c Gen10」(左)と「HPE ProLiant MicroServer Gen10」

 価格(税別)は、「HPE ProLiant DL360 Gen10」が66万5000円から、「HPE ProLiant DL380 Gen10」が67万6000円から、「HPE ProLiant DL560 Gen10」が188万9000円から、「HPE ProLiant XL230k Gen10」が103万5000円から、「HPE Synergy 480 Gen10」が74万7000円から、「HPE Synergy 660 Gen10」が261万2000円から、「HPE ProLiant BL460c Gen10」が62万5000円。