ニュース

エッジ型IoTをノンプログラミングで――、インフォテリアのIoTプラットフォーム「Gravio」

 インフォテリア株式会社は21日、IoTのためのエッジコンピューティグ用ミドルウェア「Gravio(グラヴィオ)」を提供開始した。

 Gravioは、分散したエリアでの効率的なデータ収集に加え、専門知識がなくてもそのデータを活用できるよう支援する、エッジコンピューティング用ミドルウェア。Windows 10上で動作するので、既存のパソコン運用で培ったノウハウを活用することができる。

 今回、処理できる内容などを限定した「Gravio Basic」を無償提供。Basicよりも対応できるデータが多い「Gravio Standard」を月額2万円で販売する。さらに12月をめどに、クラウド対応の「Gravio Premium」を年額150万円、「Gravio Enterprise」を年額300万円で発売する予定だ。

サービスメニュー

 インフォテリアでは、企業の情報システムをつなぐ「ASTERIA」、コンテンツをデバイスにつなぐ「HandBook」、2017年2月に発売したスマートフォン用アプリを簡単に作成し、人とモノをつなぐ「Platio」を販売しているが、Gravioはこれら製品に続く4つ目の「つなぐ」ラインアップと位置づけている。

インフォテリアの「つなぐ」ラインアップ
インフォテリアのIoTソリューション

 代表取締役社長CEOである平野洋一郎氏は、「Gravioは、システムとモノ=IoTをつなぐ製品と位置付けている。IoTは、現在のようにFAなどだけでなく、企業の情報システムには欠かせないものとなるだろう」と言及した。

 同社ではこうしたIoTを取り巻く環境が変化していくことを想定し、「グラヴィアをエッジ・ミドルウェア分野で市場ナンバー1シェア製品とすることを目指す」(平野社長)方針だ。

インフォテリア 代表取締役社長 CEOの平野洋一郎氏

Gravio

 Gravioは、デバイスの接続管理、リアルデバイスからのデータ受信を行いフローの作成・管理を行う「Gravio Studio」、デバイスデータを保管し、Gravioフローを実行するサーバ「Gravio Flow Service」、作成したGravioフローなどの共有と運用管理サービスを行う「Gravio Cloud」の3つのパートで構成されている。

 市販のIoTセンサーからBluetooth、Wi-Fi、シリアルなどを介してデータを収集し、センサーデバイスの管理、各種演算、データ保存を行う。さらに大規模環境向けのGravio Cloudと連携し、集中管理、フローの実行を行う。そこから命令を実行し、IoT対応デバイスの駆動と制御を行えるとのこと。なお、データ連携としてクラウドデータセンターとの連携、メールやExcel、PDFへのレポート出力なども可能だ。

Gravioの概要
Gravioのシステム構成

 導入手順は、

1)Windows 10を登載したパソコンと、Gravioが認証しているセンサーデバイスを用意
2)マイクロソフトのWindows StoreサイトからGravioをダウンロード
3)Gravioアプリでサインアップ
4)センサーをGravio上で認識、登録
5)各種センサーデータを加工、整形、レポートする場合はフローを作成

という5つのステップになっている。

 製品の長所は、エッジサイドでの直感的なデータ加工・処理とレポート機能を持っていることが1点目。次にセンサーデバイスやアクチュエータに対して命令実行が可能で、エッジの魅力である利用エリア内におけるオールインワン化の実現していることが挙げられる。さらに、フローの作成と開発はGUIで行えること、Windows 10で動作することも特徴とした。

フローの作成と実行

 「ほかのIoT用プラットフォームとの大きな違いは、データを集めるだけでなく、下りの命令実行が可能な点。センサーデバイスに対し、命令を実行できる」(インフォテリア ASTERIA事業本部 マーケティング部 部長兼Gravio事業部 副事業部長の垂見智真氏)。

インフォテリア ASTERIA事業本部 マーケティング部 部長兼Gravio事業部 副事業部長の垂見智真氏

 IoTソリューションを利用するには、一般的に、技術要素としてクラウドやデータストア、現場で利用するアプリ、通信技術、センサーなどのIoT機器などの要素を理解している必要がある上、システム開発を行う場合にはクラウド開発者、アプリ開発者、通信事業者、デバイスベンダーなどが関わることになる。

 「異なるスキルを持っているところ同士の協力や連携が必要となり、機敏な改善は難しい。ちなみに、GE、ボッシュ、シーメンスなどIoTで先行する企業は、異なる技術要素、開発者をすべて自分たちで持って、展開している」(垂見氏)。

 利用可能なセンサーデータは照度センサー、音圧センサー、温度センサー、湿度センサー、入力デバイスなどだが、センサーの中には独自仕様のデータを吐き出すので、そのデータをそのまま利用できない場合もある。

 「こうした場合に生きてくるのが、インフォテリアがASTERIAで培ってきた知見。そのまま利用できないデータをキレイに加工できるアダプタを個別に提供していくことを計画している」(垂見氏)。

 インフォテリア自身も2017年2月にIoT製品「Platio」を発売し、社内にIoTのラボ「IoT Future Lab」を設立するなどIoTビジネスを手がけているが、「IoTで先行する工場で利用されているFAの関係者と、オフィスでITを利用しているOAの関係者は知見が異なり、横一列ではなかなか進んでいかないと感じている」(垂見氏)と、従来のITビジネスとは異なる側面があると指摘する。

 そこでIoT、ITのビジネスを行っているウフル、沖電気工業、さくらインターネット、Cerevo、SORACOM、DMM.make AKIBA、デル、日本マイクロソフト、パナソニックIS、ぷらっとホーム、Lenovo、レンジャーシステムズとの協業を行うことも同時に発表している。

 売上目標、販売目標数は公表していないものの、「情報システム部門にとっても必要となるIoTビジネスはこれから市場が出来上がる分野。市場を作りながらビジネスを進め、3年で1けたの後半億円のビジネスを目指したい」(平野社長)方針だ。

Gravioが稼働しているWindowsパソコン